ナビりんが行くわよ!

【Vol.17】ドラマ「重版出来!」が毎回楽しみでしょうがないわ!!

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番組ホームページより

「重版出来!」超おもしろいわよね!
原作既読のナビりんは「きっと沼さんの回があるだろうし、それは見るのがツラい回になるわね……」と思っていたのだけど、この間の放送は、その「沼さんの回」。観ていて胸が一杯になりました。でも、沼さんのその後の姿が最後に描かれていて、なんだかちょっと救われた気持ちに。実はあのシーンは原作にはありません。原作では夜行バスで故郷に帰る沼さんのモノローグで終わります(第四巻ラスト)。
その前の「安井さんの回」も、最後に和田編集長が安井さんを労う言葉をかけるシーンは原作ではさらっと流れるシーンでしたが、ドラマでは和田さんがしっかり安井さんの目を見て感謝の言葉を投げかけることで、安井さんが自ら選んだ「編集者としての生き方」の意味が視聴者に伝わったと思います。もちろん、安田顕さん(安井さん)、ムロツヨシさん(沼さん)も名演技でした。

誤解を恐れずに言えば、原作はマンガの世界の厳しさ、シビアな現実をそのまま描いており、ドラマの視点はそこに登場人物への視線の優しさが加えられているように思えます。これはどちらがいいということではなくて、メディアとしての特徴、読者、視聴者へ伝え方の違いなのかなと思うわ。

このドラマの脚本を書いている野木亜紀子さんはここ数年、人気作を次々と手がけている脚本家さん。特に原作ものの脚本では現在No.1と言える人気脚本家さんです。最近では「空飛ぶ広報室」「図書館戦争(映画、テレビ)」という有川浩さんの人気小説の脚本を手がけ、「空飛ぶ広報室」では、有川浩さんに「野木さんが脚本を担当してくださるのであれば、何にも心配いらないなと思いました」と言わせるほど。「重版出来!」の前後にも「俺物語!!」「アイアムアヒーロー」(どちらもマンガ原作の映画化)などの人気作を手がけているのよ。

この「重版出来!」でも、先に書いた安井さん回や沼さん回だけでなく、今まで放送された全編通じて、原作を深く理解した上でのエピソードの取捨選択と、その膨らませ方、掘り下げ方はみごとで、多分すべての原作ファンをも納得させているんじゃないかしら。
オリジナルの脚本ではなく、原作ものの脚本で光る才能。「重版出来!」で描かれているマンガの世界とちょっと重なるところがあるわね。

そしてもちろんドラマだけでなく、原作未読の方にはぜひ松田奈緒子さんの原作を読んでほしいのです。週刊バイブス編集部の人たちや、様々なタイプのマンガ家さんと、その回りにいる人々。ドラマにも登場するそういう人たちだけではなく、(多分ドラマには登場しない)本に関わる人たちが原作には沢山描かれています。その人たちが皆魅力的!

たとえば、仕事がいつも深夜におよびシンデレラになれないDTPオペレーター、週刊バイブスの巻頭グラビアに登場するグラビアアイドルと、そのグラビアのレタッチ技術でしのぎを削る二つの印刷会社のプリンティングディレクター。興都館校閲部の女性部員と外部校閲会社の社長さん(鴎来堂の柳下さんがモデル)。元柔道選手のバイク便ライダー。舐めると何の紙だか即座にわかる興都館資材部の部員。国宝級と言われる製版職人。網走で親子四代続く小さな街の本屋さん…… などなど、単に登場するだけではなく、ちゃんとそれぞれのエピソードが描かれています。三蔵山先生のところの残ったアシさんにもちゃんとエピソードが! ナビりんのお気に入りはプリンティングディレクターさんのエピソードよ。
名書店員、河さんは毎回いい味出してるし! 折々に盛り込まれている、書店員さんたちの見せる「現場力」も見逃せません。第二回で描かれた「たんぽぽ鉄道」特設コーナーのシーン、八丹先生と一緒に泣いてしまったわ。

しかし、仲田伯はいいわ。ネームに悩む東江さんに「ネームに悩むってどういうことですか? 頭の中に流れてきたものをそのまま描けばいいんじゃないですか」と素で言ってしまう、このバランス感覚皆無さはやっぱり天才?
自己肯定と自己否定を繰り返すマンガ家さんたち。ドラマでは描かれていなかったけれど、あのメロンヌ先生も「マンガは天才しかやっちゃいけない商売なんだよ。オレみたいなのはただ幸運が続いていただけ」と苦悩するし、逆にドラマでは「才能があるかなんて私だってわからない」と泣いた東江さんが、原作では「才能があるの。でも天才じゃない」と自ら言い切ります。恋人に振り回され、時に情緒不安定になる高畑先生も「オレは弱くない、マンガの中だけは!」と深夜ネームを編集部にFAXで送りながら呟いてましたね。
自らの才能を信じて前に進む。現実の厳しさの前に自らの才能に蓋をする。そして悩み葛藤する。五百旗頭さんが言うように「ひとりでどこまでも泳いでいけるマンガ家」になれるのはほんの一握りだけなのでしょう。

あ、そうそう。主人公の黒沢心を演じる黒木華さんは、最初は「小熊っぽさが足りない」と思ってたけれど、回を重ねるごとに、いい意味で彼女なりの「別の黒沢心」にちゃんと成長しているように思えるわ。最終話まで楽しみに見守っていきましょう!

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ビックコミックスピリッツ「重版出来!」

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