2016年1月22日(金)

『行商列車 〜〈カンカン部隊〉を追いかけて〜』(創元社)刊行記念 山本志乃 × 平川克美 「小商いのいま・むかし、そして未來」

かつての高度経済成長時代を支えた「行商のおばちゃん」。その後のモータリゼーションの浸透と輸送技術の発達で、「行商」という小商いはすっかり見かけなくなりました。とりわけ、行商人専用の車輛を編成して運行される「行商列車(鮮魚列車)」は、かつては各地方で見られたものの、現在では近鉄大阪線を残すだけとなっていて、鉄道マニアでもなかなかお目にかかれません。

実は行商のおばちゃんが運んだのは、鮮魚ばかりではありませんでした。行商人は、よその土地の情報をもたらす「客人(まれびと)」でもあったし、また、伊勢地方の行商人たちが専用の鮮魚列車を仕立てて「カンカン(ブリキカン)」で毎朝運んでくる鮮魚は、「産地直送」という概念をはぐくみ、大阪の大衆の魚食文化を支えました。行商人は単なる小規模な移動販売以上の、地方文化を根底から支える存在だったのです。

本書『行商列車 〜〈カンカン部隊〉を追いかけて〜』は、気鋭の“旅の民俗学者”山本志乃さんが、伊勢地方の近鉄大阪線と鳥取地方の因美線(すでに行商列車を廃止)の行商人たちへ(事実上最初で最後の)取材を敢行した、唯一無二の探訪記です。そして本書の刊行を機に、『小商いのすすめ』や『「消費」をやめる』などの著作で経済成長神話に異をとなえる論客の平川克美さんを対談相手に、小商いの過去・現在・未来について、豊富な実例をまじえて語ります。

行商という生業(なりわい)には、豊かに蓄積されたスキルがあり、いまだ汲み尽くされていない知恵があるのです。

【出演者プロフィール】
山本志乃(やまもと・しの)
旅の文化研究所主任研究員。定期市や行商に携わる人たちの生活誌、庶民の信仰の旅などを調査研究。著書に『女の旅――幕末維新から明治期の11人』(中公新書)のほか、最新刊『行商列車――〈カンカン部隊〉を追いかけて』(創元社)などがある。

平川克美(ひらかわ・かつみ)
リナックスカフェ代表取締役、立教大学特任教授。著書に『小商いのすすめ――「経済成長」から「縮小均衡」の時代へ』『「消費」をやめる――銭湯経済のすすめ』(ともにミシマ社)、『移行期的混乱――経済成長神話の終わり』(筑摩書房)などがある。

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時 間 _ 20:00~22:00 (19:30開場)
場 所 _ 本屋B&B 世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F
入場料 _ 1500yen + 1 drink order

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