2016年8月27日(土)

【文ラボ】谷崎潤一郎「刺青」を音読して原稿用紙に書き写す!かの文豪・谷崎潤一郎の名文を堪能し、名作文学の美しい文体を身に染み込ませよう!じっくり自分と向き合うための90分《大人のための国語教室》

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スタッフ川代です。
まだ高校生の頃、どんな本を読んだときに一番気分がよくなりましたか、と聞かれたら、やっぱり私は「谷崎潤一郎」だと答えるでしょう。
十代で、まだ彼氏ができたこともなく、恋がどんなものなのかすらよくわかっていなかったときに、それでも何かを知っているふりをしたくて、少しでもはやく大人に近づきたくて、それで、谷崎の「痴人の愛」を買いました。

どうしてそれを手に取ったのか、よく覚えてはいないのですが、おそらく、雑誌か何かのコラムで、「恋愛の達人」を名乗るエッセイストか何かが、「女を磨くために読むべき5冊」とかのうちの一つに、痴人の愛をピックアップしていたのだと思います。

きっと痴人の愛を読みさえすればいい女になれると信じきっていた私は、文庫を何もためらうことなく買い、そして一気に読み進めました。なんだか、痴人の愛は、読んでいるだけで自分が大人になれたような、気分が良くなるような小説でした。

痴人の愛は、想像している以上に、色っぽい本でした。
いえ、何も内容がどぎつかったり、「エロ」なシーンがたくさん散りばめられていたわけではありません。

明確に、はっきりとした描写もそれほどないのです。

けれど、なんだか、文章から、何か今までに感じたことのないような匂いが、湧き出ているような気がしました。

私の知らない何かがある。どうしてか、ふんわりと、私の鼻腔を刺すような、ものすごい色気が、その文章から香り立っていました。

そんな今までに知らない何かを教えてくれた「痴人の愛」のページをめくる手がとまらず、私は一気に活字を目で追い、気がつけば、最後まで一気に読んでしまっていました。

谷崎潤一郎、すごい。
これは、本当にすごい。

読み終わった後の感想といえば、それくらいでした。

もう、なんというか、口にすることができないのです。なぜか、背徳感のようなものすら覚えました。服用してはいけない劇薬を飲み込んでしまったような感覚がありました。
私は本当にこれを読んでよかったのだろうか。本当に、今のこの年で、まだ何も知らない年で、こんなものを読んでよかったのか。

あまりの文章力に、私は衝撃を受けてしまって、もっとその文章を味わいたいのは山々なのだけれど、どうしてか、これ以上読んではいけないような気持ちが先行してしまって、痴人の愛だけで断念してしまったのです。

だから、その強い印象がいつまでたっても抜けず、結局大学生になり、恋愛をするようになっても、本屋で働くようになっても、まだ谷崎潤一郎の作品に手をつけられずにいました。

「これは、最強の小説だよ」

そう、店主の三浦に言われて、その本を差し出されても、どうしても手を出す気になれなかったのです。

刺青。

それが、三浦が私に手渡した、小説のタイトルでした。

結局、私はまだ、刺青を読むことができていません。

あの痴人の愛の衝撃がすごすぎて、また読む気になれていないのです。

ビビっている、という表現が一番しっくりくるかもしれません。

なんだか、またあの背徳感を感じてしまうような、ちゃんと読んだら別の世界に行ってしまうんじゃないかという、不安を感じさせるような、そんな文章。

谷崎潤一郎。

けれど、私はもう、その谷崎へのビビった気持ちを、捨てたいと思います。

本屋で働いている以上、もう、いい加減、谷崎の作品とも向き合わなければならない。

いや、というよりも、私がもうそろそろ我慢できないんですね。
もう、読みたいんです。またあのひどく魅惑的な香りの漂う、文章の世界に入っていきたいのです。

どうせやるなら、ちゃんと読みたい。
というわけで、文ラボの課題にすることにしました。

文ラボは、課題図書をみんなで音読して、そのあとに原稿用紙に文章を書き写すというイベント。

ゆっくりと自分と向き合い、文章と向き合います。

きっと、音読している間に、谷崎の文章のリズムが。
書き写している間に、独特の文章の癖が、つかめてくると思います。

中学、高校の頃の授業のように、ゆっくりと文章を音読する機会など、なかなかありません。けれど、これが、やってみると案外、面白いんです。体に染み渡るように、言葉が広がっていく。

前回は「走れメロス」を課題にしたのですが、そのあまりのリズム感のよさに、笑い出してしまったほどでした。参加した皆さんが、「すごい!!」と興奮ぎみに語っておられました。

当日は、中学や高校の頃よくやった、「丸読み」(句点ごとに別の人に順番に読む音読の仕方)をしたいと思います。10代の頃にタイムスリップしたような気持ちで、体験していただければと思います。

普段、忙しくて自分と向き合う時間がない、という方は、ぜひ。きっと集中して、心を落ち着かせられるだろうと思います。

コーヒーと、原稿用紙と、お気に入りのペンと、「刺青」。

土曜の午後の一時間半、ちょっと贅沢な過ごし方をしてみませんか。

【概要】
日時:8月27日(土)14:00〜15:30

▼コンテンツ

14:00〜14:10 自己紹介

14:10〜14:40 「刺青」をみんなで交代で音読しよう!

14:40〜14:50 休憩

14:50〜15:30 「刺青」を原稿用紙に書き写そう!

定員:20名様
参加費:1,000円+1オーダー
持ち物:
・谷崎潤一郎「刺青」(当日、店舗でご購入も可能です*数に限りがあります)
・お気に入りのペン
・原稿用紙
*イベントで使いますので、お持ちでない方は店頭にて新潮文庫「刺青・秘密」をお買い求めください。すでにお持ちの方は必ずお持ちください。
*天狼院の原稿用紙「Mk-Ⅱ(マークツー)」をお買い求めのお客様は500円引きで参加いただけます。
*原稿用紙をお持ちでない方にはコピー用紙をお渡しします。が、原稿用紙のマス目に字を埋めていくのが文ラボの醍醐味ですので、なるべくお持ちいただければと思います。
*プラチナクラスの方は参加費半額(500円+1オーダー)でご参加いただけます。
*「月刊天狼院書店」編集部(読/書部)の方は参加費無料(別途1オーダー)でご参加いただけます。
場所:天狼院書店「東京天狼院」

*CLASS天狼院プラチナクラスについて→ 【破格の割引サービス】「CLASS天狼院」誕生〜最上ランク「プラチナクラス」は全店合計100名様限定〜《詳細・決済ページ》:http://tenro-in.com/tsushin/15866

 

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「Peatix」または「店頭」による事前決済制
※お支払いが確認出来次第、受付完了となりますのでご注意ください。
(当日お席がございましたら店頭お支払いも受け付けさせていただきます。)

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お問い合せ
TEL:03-6914-3618
*こちらのイベントは「Peatix」または「店頭」による事前決済制です。お支払いが確認出来次第、受付完了となりますのでご注意ください。
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