2015年3月7日(土)

『“お金”から見る現代アート』トーク&レクチャー 著者・小山登美夫さん×保坂健二朗さん

小山登美夫ギャラリーディレクターの小山登美夫さんの著書『その絵、いくら?』(講談社)が『“お金”から見る現代アート』(講談社+α文庫)として文庫化されたこの機会に、小山さんと保坂健二朗さん(東京国立近代美術館主任研究員)によるトーク&レクチャー「現代アートの価値の決め方、つくり方」第2弾を開催します。
日本には約1000以上もの美術館があるとされ、そのコレクションの量・質ともにアジアでは群を抜き、世界をみても引けを取りません。また、世界の年間の展覧会動員数をみると、常に日本で開催された展覧会が上位を占めます。

このように美術が好きな人が多く、美術を楽しむ環境が充実している中でも、現代アートや若手作家の作品の所蔵や美術館での展示機会はまだまだ少ないといえるでしょう。しかし、美術館に見いだされ、所蔵され、展示環境を整えられるということは、今なお、現代アートの作家や作品の価値に影響をするとともに、マーケットが成立する要因にも繋がります。現代アートのマーケットがまだ成熟していない日本であれば、なおさらそう言うことができます。

そこで、第2弾の今回は、美術館をキーワードに、現代アートの価値の決め方、つくり方に迫りたいと思います。

ギャラリストとして世界のアートマーケットで活動をし、常に新しい作家の発掘に目を光らせ、コレクターや美術館、鑑賞者などに向けて、新しい作家や作品を提案し続けている小山さんは現在の日本の美術館をどのように見ているのでしょうか。
そして、「現代美術のハードコアは実は世界の宝である」「高松次郎ミステリーズ」など斬新な企画展を次々と打ち立てている保坂さんは学芸員として美術館にどのような役割を感じているのでしょうか。

お2人とともに、現在の日本の美術館の現状と問題点を見つめ、今一度美術館の役割を考えるとともに、いかにして現代アート、若手作家の価値づくりのシステムをつくり、そのマーケットを確立していくかを考えていきます。

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小山 登美夫photo by Makiko Nawa

小山 登美夫 こやま とみお

1963年東京生まれ。1987年東京芸術大学芸術学科卒業。
1987年〜1989年までに西村画廊勤務。1989年〜1995年まで白石コンテンポラリーアートでの勤務を経て、1996年に江東区佐賀町に小山登美夫ギャラリーを開廊。

奈良美智、村上隆をはじめとする同世代の日本アーティストの展覧会を多数開催した後、現在は世代を超えて、菅木志雄や蜷川実花、杉戸洋、三宅信太郎、福井篤、川島秀明などを展示。また、国外アーティストのリチャード・タトルやステファン・バルケンホル、ライアン・マッギンレーなどを日本に紹介する。また、オープン当初より、バーゼル、マイアミ、ロンドン、香港、シンガポールなどのアートフェアへも積極的に参加。日本アーティストの実力を世界に知らしめるとともに、マーケットの充実と拡大を模索し、若手アーティストの発掘、育成にも力を注ぐ。 2005年11月に江東区清澄白河にギャラリーを移転。2012年、シンガポールに支店をオープン。2008年より明治大学国際日本学部特任准教授。

著書に「現代アートビジネス」(アスキー新書)、「この絵,いくら?」(講談社)、「何もしないプロデュース術」(東洋経済新報社)、「見た,訊いた、買った古美術」(新潮社)

小山登美夫ギャラリーWEBサイト:www.tomiokoyamagallery.com

保坂 健二朗 Photo by Keizo Kioku

保坂 健二朗 ほさか けんじろう

東京国立近代美術館主任研究員
1976年茨城県生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了(美学美術史学分野)。2000年より同館に勤務。企画した主な展覧会に「建築はどこにあるの?」(2010)、「イケムラレイコ」(2011)、「Double Vision」(2012)、「フランシス・ベーコン展」(2013)、「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」(2014)、「Logical Emotion」(2014)、「高松次郎ミステリーズ」(2014)など。

共著・監修に『キュレーターになる! アートを世に出す表現者』(フィルムアート社 2009)、 『福祉×美術×表現×魂』(3331 Arts Chiyoda 2013)、『アール・ブリュット アート 日本』(平凡社 2013)など。『すばる』『朝日新聞』で連載を持つ。

東京国立近代美術館公式WEBサイト:www.momat.go.jp

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