【ジュンク堂 難波店】
人類による動物たちの扱いの問題は、今日、臨界点に達しています。
大規模工場式畜産による地球温暖化、土地収奪、南北問題、大量絶滅――膨大な動物利用に支えられた私たちの生活は、環境、人間、そして動物たちに、史上例のない破壊的な影響をもたらしてきました。
他方、ペットや家畜を商品として大量消費する社会は、労働者をはじめとする人間をも消耗品のごとく大量消費する文化を形づくっています。
労働者は使い捨ての「人材」やあるいは「社畜」となることを強いられ、震災の被災者たちは「廃用」となった家畜のように棄民され、外国人技能実習生は奴隷労働のような状態に追いやられています。
動物の生を徹底して管理し、その尊厳を否定するわたしたちの社会は、同時に人間の尊厳を否定する社会にもなっているのです。
そして、そのふたつは決して無関係ではありません。
こうした中、人間と動物の関係を問い直し、両者の尊厳をともに回復させようとする気運が世界で高まっています。
動物解放運動やビーガニズムの広まりは、その表われといえるでしょう。
動物「愛護」ではなく、動物の「解放」、人間の「解放」が問われているのです。
本トークセッションでは、野宿者支援活動の経験をもとに動物論『いのちへの礼儀』を著わした生田武志氏と、動物研究の最新作『現代思想からの動物論』(ディネシュ・J・ワディウェル著)を日本に紹介した翻訳家・井上太一氏をお招きし、人間と動物、双方の解放をめざす社会正義の展望について考えます。
【プロフィール】
生田武志(いくた・たけし)
1964年6月生まれ。
大学在学中から釜ヶ崎の日雇労働者・野宿者支援活動に関わる。
2000年、群像新人文学賞評論部門優秀賞。
野宿者ネットワーク代表。
「フリーターズフリー」編集発行人。
著書に『<野宿者襲撃>論』『釜ヶ崎から 貧困と野宿の日本』『いのちへの礼儀――国家・資本・家族の変容と動物たち』など
井上太一(いのうえ・たいち)
1984年生まれ。翻訳家。
動物倫理の関連書籍を紹介することに従事し、国内外で動物利用をテーマとする講演活動も行なう。
おもな訳書に『侵略者は誰か?』『ビーガンという生き方』『動物の権利入門』など。
■会場… 3階カウンター前特設会場。入場料無料(定員30名)
■受付… 3階カウンターにて。電話予約可(06-4396-4771)