2020年10月30日(金)

温又柔 × 小竹由美子 × 小林エリカ「痛みがフィクションに生まれ変わるとき」 温又柔『魯肉飯のさえずり』(中央公論新社)&カリ・ファハルド=アンスタイン『サブリナとコリーナ』(新潮クレスト・ブックス)W刊行記念

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※本イベントはオンライン配信でのみご参加いただけるイベントです。詳細につきましてはページ下部をご確認ください。
 
温又柔さんの初の長編小説『魯肉飯(ロバプン)のさえずり』と、カリ・ファハルド=アンスタインの短編集『サブリナとコリーナ』の刊行を記念して、オンライン配信のトークイベントを開催します。
 
『魯肉飯(ロバプン)のさえずり』は、台湾人の母と日本人の父とのあいだに生まれた桃嘉が、〈ふつう〉の幸せを求めて選んだはずの結婚生活に亀裂が生じるなか、台湾を訪れて母方のルーツに改めて触れることで、異国の地で子育てをしたかつての母の愛の深さに気づき、ありのままの自分を受け入れていく母と娘の感動的な物語です。
同時にそこには、日本語と台湾語、中国語の複数の音がこだまする豊かな日常の世界が浮かび上がります。
 
「カタコトの日本語に台湾のことばをたっぷり織りまぜたママ語を話すオカアサンの気持ちをめいっぱい想像したくて、書くことを決意した小説。(…)このくにで暮らすたくさんのママやオカアサンたちに心から捧げたい、私の初めての長篇小説。」
(温さんのブログ「温聲提示」より)
 
一方、このたび翻訳されたデビュー短篇集『サブリナとコリーナ』がアメリカで大きな注目を集めているカリ・ファハルド=アンスタインは、コロラド州デンバーに生まれ育ったチカーノ(メキシコ系アメリカ人)。
デンバーは全米で最低水準の失業率を誇るという都市ですが、人口の3割以上がヒスパニック、ラティンクス、アメリカ先住民とされており、こうした多様な人種からなるコミュニティの多くの人々が、近年の地域再開発によるジェントリフィケーションがもたらした急速な発展の犠牲となっています。
『サブリナとコリーナ』は、そうしたヒスパニック系コミュニティを取り巻く様々な暴力、とりわけその犠牲となりながらも白人社会からは「見えない存在」として扱われてきた女性たちの姿を描いています。
同時に大きなテーマとなっているのは、「アメリカになる前」からその地にいた先祖をルーツにもつ彼女たちにとっての、アイデンティティの揺らぎについてです。
 
「わたしたちの先祖にとってスペイン語で話すのは恥ずかしいことだったのだと思います。そして今わたしは、スペイン語をしゃべれないことが恥ずかしい」とファハルド=アンスタインは言う。
「わたしはスペイン語を身につけたい。でもまた同時に、自分がモノリンガルであることを恥ずかしく思わないでいられるようになりたいとも思っています」
(「波」8月号掲載インタビュー記事より)

本イベントは、温さんと、『サブリナとコリーナ』を翻訳された小竹由美子さん、さらに加えて、マンガ家・作家の小林エリカさんをゲストにお迎えしてお送りします。
小竹さんは、ファハルド=アンスタインが最も敬愛する作家と公言するアリス・マンローの翻訳を手がけてきた方でもあります。
そして小林エリカさんは、2020年の東京オリンピックを舞台に核と聖火をめぐる光と闇を描いた小説『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社)を、3世代の女をめぐる物語としても展開していました。
目に見えないもの、埋もれた歴史、家族の記憶などを起点に、リサーチに基づく史実とフィクションを織り交ぜて表現をする小林エリカさんは、『魯肉飯のさえずり』と『サブリナとコリーナ』をどのように読まれたのでしょうか。物語の力を信じる3者が共鳴するトークに、どうぞご期待ください。
 
【出演者プロフィール】
温又柔(おん・ゆうじゅう)
1980年台湾・台北市生まれ。
3歳のときに家族と東京に引っ越し、台湾語混じりの中国語を話す両親のもとで育つ。
2009年「好去好来歌」ですばる文学賞佳作を受賞。
2015年『台湾生まれ 日本語育ち』(白水Uブックス)で第64回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞、2017年『真ん中の子どもたち』(集英社)が第157回芥川龍之介賞候補にノミネートされる。
その他の著書に『来福の家』(白水Uブックス)、『空港時光』(河出書房新社)、エッセイ集『「国語」から旅立って』(新曜社)などがある。
2020年4月より朝日新聞の書評委員を務める。
 
小竹由美子(こたけ・ゆみこ)
1954年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒。
訳書にアリス・マンロー『イラクサ』『ディア・ライフ』『ピアノ・レッスン』『ジュリエット』、ネイサン・イングランダー『アンネ・フランクについて語るとき僕たちの語ること』、ジュリー・オオツカ『屋根裏の仏さま』(共訳)、ウェイク・ワン『ケミストリー』、ジョン・アーヴィング『神秘大通り』(以上、いずれも新潮社)ほか多数。
 
小林エリカ(こばやし・えりか)
1978年東京生まれ。作家・マンガ家。
2014年『マダム・キュリーと朝食を』(集英社)で第27回三島由紀夫賞・第151回芥川龍之介賞にノミネート。
2019年に発表した『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(集英社)で第7回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。
その他の著書に、『親愛なるキティーたちへ』(リトル・モア)、『彼女は鏡の中を覗きこむ』(集英社)、コミック『光の子ども 1〜3』(リトル・モア)、訳書にアンネ・フランク・ハウス編『アンネのこと、すべて』(日本版監修石岡史子/ポプラ社)他多数。
展示に、個展「野鳥の森 1F」(Yutaka Kikutake Gallery 、東京)、グループ展「The Radiants」(Bortolami Gallery、ニューヨーク)、「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」(国立新美術館、東京)他、国内外で作品を発表。
 
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配信参加:¥1,500(税別)
書籍つき配信参加(イベント後発送):¥1,500+『魯肉飯のさえずり』¥1,650(ともに税別)※随時発送、サインなし
サイン書籍つき配信参加(イベント後発送):¥1,500+著者サイン入り『魯肉飯のさえずり』¥1,650(ともに税別)※イベント後発送
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時間 _ 20:00〜22:00
場所 _ オンライン配信のみ
▼入場料
■配信参加:¥1,500(税別)
■書籍つき配信参加(イベント後発送):¥1,500+『魯肉飯のさえずり』¥1,650(ともに税別)※随時発送、サインなし
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