2020年11月7日(土)

渋谷哲也 × 松永美穂「忘却に抗うために——映画と文学の2つの『アウステルリッツ』」  映画『アウステルリッツ』(セルゲイ・ロズニツァ監督)公開記念

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※本イベントは配信のみでご参加いただけるイベントです。詳細につきましてはページ下部をご確認ください。
 
セルゲイ・ロズニツァ監督のドキュメンタリー映画『アウステルリッツ』(2016)が、11月14日〜12月11日に渋谷のシアター・イメージフォーラムにて劇場公開されるのを記念して(同監督の『国葬』『粛清裁判』とあわせて公開)、トークイベントを開催します。
 
映画『アウステルリッツ』は、第2次大戦中にナチスドイツがユダヤ人の大量虐殺を行った、ベルリン郊外にあるザクセンハウゼン強制収容所跡地が舞台となっています。
戦争終結から約70年後の敷地内に据えられたカメラは、世界各地から訪れる“観光客”の姿を長回しのショットで淡々と捉えていきます。
「表象不可能」と語られるホロコーストをどのように映像で伝えることができるのか。
本作は、アラン・レネやクロード・ランズマンなど、先人が取り組んできたテーマにロズニツァ監督が挑んだ実験的なドキュメンタリー作品といえるでしょう。
 
同時に、ロズニツァ監督が本作を製作するきっかけとして挙げているのが、ドイツ生まれの作家W・G・ゼーバルト(1944-2001)の同名作品『アウステルリッツ』(2001)です。「アウステルリッツ」という名のウェールズの建築史家は、ヨーロッパ各地の帝国主義の遺物の駅舎、裁判所、要塞都市、病院、監獄を見て回り、語り手の〈私〉に向かって博識を開陳しながら、暴力と権力の歴史を語っていきます。
小説ともエッセイとも、旅行記とも、回想録ともつかない独特の文体で、かつテキストに無数の写真を織り交ぜた構成も特徴になっています。
ロズニツァの映画のいわゆる原作とは異なりますが、直線的な時間の流れに抵抗し、消し去られる歴史、忘れ去られようとする者たちの痕跡や埋もれた記憶を、現在の私たちの前に浮かび上がらせようとする点で通底しています。
 
本イベントでは、ドイツ映画研究が専門の渋谷哲也さんと、ドイツ文学が専門の松永美穂さんをお招きし、映画と文学の2つの『アウステルリッツ』が扱うそれぞれの背景を解説しながら、ロズニツァとゼーバルトに共通する眼差しについて、そして忘却に抗うために映画や文学ができることについて語っていただきます。
 
◎セルゲイ・ロズニツァ〈群衆〉ドキュメンタリー3選 特設サイト
 
監督:セルゲイ・ロズニツァ Sergei Loznitsa
ベルリン在住。1964年ベラルーシで生まれ、ウクライナの首都キエフで育つ。
科学者としてウクライナの国立機関でAIの研究をしていたが、1991年、ソ連崩壊後、モスクワの全ロシア映画大学に入学する。
1996年よりソクーロフの製作で有名なサンクトペテルブルク・ドキュメンタリー映画スタジオで映画製作を始め、これまで21作のドキュメンタリーと4作の長編劇映画を発表してきた。
長編劇映画では『In The Fog』(2012)が第65回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞し、『Donbass』(2018)が第71回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」最優秀監督賞に輝く。
2010年以降製作した10作品全てが世界三大映画祭に選出される快挙を成し遂げる。
 
【出演者プロフィール】
渋谷哲也(しぶたに・てつや)
ドイツ映画研究。東京国際大学国際関係学部教授。
著書に『ドイツ映画零年』(共和国、2015)、編著書に『ファスビンダー』(共編、現代思潮新社、2005)、『国境を超える現代ヨーロッパ映画250──移民・辺境・マイノリティ』(共編、河出書房新社、2015)、『ナチス映画論──ヒトラー・キッチュ・現代』(共編、森話社、2019)など。
また『わすれな草』『あやつり糸の世界』『イエロー・ケーキ』などドイツ映画の字幕翻訳を多数手がける。
 
松永美穂(まつなが・みほ)
ドイツ文学、翻訳家。早稲田大学文学学術院文化構想学部教授。
訳書にベルンハルト・シュリンク『朗読者』『夏の嘘』『階段を下りる女』『オルが』、ペーター・シュタム『誰もいないホテルで』(以上、新潮クレスト・ブックス)、ウーヴェ・ティム『ぼくの兄の場合』(白水社エクス・リブリス)、ヘルマン・ヘッセ『車輪の下で』(光文社古典新訳文庫)、インゲ・シュテファン『才女の運命』(フィルムアート社)ほか多数。
W・G・ゼーバルト『鄙の宿』(白水社)では解説を執筆。
 
協力:白水社
 
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・イベントによって商品の発送が開催後になることもございますのでご注意ください。
 
【チケットにつきまして】
・視聴参加:¥1,500(税別)
・前売鑑賞券付きチケット:1,500+「セルゲイ・ロズニツァ《群衆》ドキュメンタリー3選」¥3,273(ともに税別)
・書籍付きチケット:¥1,500+W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ(新装版)』¥3,000(ともに税別)
・前売鑑賞券+書籍付きチケット:¥1,500+「セルゲイ・ロズニツァ《群衆》ドキュメンタリー3選」¥3,273+W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ(新装版)』¥3,000(いずれも税別)
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時間 _ 19:00~21:00
場所 _ オンライン配信のみ
▼入場料
■配信参加:1500円(税別)
■前売鑑賞券付きチケット:1500円+「セルゲイ・ロズニツァ《群衆》ドキュメンタリー3選」3273円(ともに税別)
■書籍付きチケット:1500円+W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ(新装版)』3000円(ともに税別)
■前売鑑賞券+書籍付きチケット:¥1,500+「セルゲイ・ロズニツァ《群衆》ドキュメンタリー3選」¥3,273+W・G・ゼーバルト『アウステルリッツ(新装版)』¥3,000(いずれも税別)

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