2021年3月3日(水)

『モダンサッカーの教科書Ⅲ』(footballista)出版記念 片野道郎 × 浅野賀一オンライン対談「モダンサッカーとは何か?――5つの進化から読み解く」

【ジュンク堂書店 池袋本店】
開催日時:2021年03月03日(水) 19:30~

片野道郎(ジャーナリスト・翻訳家)
浅野賀一(『footballista』編集長)

JUNKUDO IKEBUKURO ONLINE
19:30開演

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【内容紹介】
『モダンサッカーの教科書Ⅲ』の共著者の1人でジャーナリストの片野道郎氏と、サッカー専門誌『footballista』の浅野賀一編集長が、モダンサッカーとは何か?を5つの視点から読み解く。

進化①:戦術の進化――システムとポジションの流動化
→ペップ・グアルディオラ登場以降の10年間で欧州サッカー最先端のプロサッカーの在り方が大きく変わった。[4-4-2]のような「システム」、CFやSBという固定的な「ポジション」ではなく、「シチュエーション」に応じたプレー原則という「タスク」によってサッカーが規定されるようになってきている。これはまさに戦術のパラダイムシフトであり、プロの現場でもこのトレンドをフォローできない旧世代の指導者は姿を消しつつある。

進化②:トレーニングの進化――統合型トレーニング
→進化した戦術を実現するためには、トレーニング方法も変わらなければならない。かつてはキャンプの前半で走り込みをして体を作り、その後戦術トレーニングに移行するなど用途ごとに分断されていたトレーニングが統合され、初期の体作りからボールを使ったトレーニングで、フィジカル、戦術、そしてメンタル的な要素まで統合的にトレーニングするやり方が一般的になっている。ポルトガル発祥の戦術的ピリオダイゼーションなどの新たな理論が、統合型トレーニングのバックボーンになっている。

進化③:分析の進化――チーム分析のフレームワーク
→アナリストによるチーム分析の進化も見逃せない。敵チームだけでなく、自チームの戦術の浸透度も詳細に測れるようになった。ここではバルディが講師を務めるFIGC(イタリアサッカー連盟)で採用されている(サッカーを「攻撃」「ネガティブトランジション(攻→守の切り替え)」「守備」「ポジティブトランジション(守→攻の切り替え)」「セットプレー」の5つの局面に分ける)チーム分析のフレームワークを例に解説する。

進化④:テクノロジーの進化
→②のトレーニングの進化、③の分析の進化はテクノロジーの発展が支えている。前者はGPSなどの登場で選手個人の走行距離やスピード、仕事量などが詳細に測れるようになり、戦術トレーニングを行いながらの負荷調整が可能になった。後者は試合中にプレーをタグ付けするソフトや映像編集ソフトが分析の効率化&スピード化をもたらし、試合中に監督や選手に分析結果をフィードバックするリアルタイム分析の伝達手段としても一役買っている。

進化⑤:監督の進化
→こうした新しいサッカーの浸透によって監督に求められる役割も変わってきている。多種多様な専門領域のスタッフを管理するマネジメント能力、新しいサッカー理論やテクノロジーへの理解……これらの能力を持つ監督は必ずしも元有名選手というわけではない。28歳でドイツ1部リーグの監督になったユリアン・ナーゲルスマンに代表されるプロ選手経験を持たない「ラップトップ監督」が各地で台頭してきている。

片野道郎(かたの・みちお)
1962年生まれ、宮城県仙台市出身。95年からイタリア・アレッサンドリア在住。ジャーナリスト・翻訳家として、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えている。主な著書に『チャンピオンズリーグ・クロニクル』、『それでも世界はサッカーとともに回り続ける』、共著に『モダンサッカーの教科書』シリーズ、『サッカー“ココロとカラダ” 研究所』など。

浅野賀一(あさの・がいち)
1980年、北海道釧路市生まれ。3年半のサラリーマン生活を経て、2005年からフリーランス活動を開始。2006年10月から海外サッカー専門誌『footballista』の創刊メンバーとして加わり、2015年8月から編集長を務める。西部謙司氏との共著に『戦術に関してはこの本が最高峰』(東邦出版)がある。

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