2015年12月11日(金)

根津美術館から学ぶ 物語絵のABC~文学と美術が出会うとき ―源氏物語、平家物語、曾我物語、酒呑童子―

青山ブックセンター本店(表参道)
イベント開催日: 2015年12月11日(金)

今回のシリーズ「美術館とコレクション」は東京 青山に位置する私立美術館 根津美術館から「物語絵」を学びます。講師は、同館学芸部学芸第二課長の野口剛さんです。

日程:2015年12月11日 (金)
時間:19:00~21:00 開場 18:30~
料金:2,700円(税込)
定員:45名様
会場:本店内 小教室
お問合せ先:青山ブックスクール
電話 03-5485-5513
メール culture@boc.bookoff.co.jp
営業時間:平日 10時~20時 土・日・祝休み
住所:東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F
青山ブックセンター本店内
アクセス情報

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根津美術館は、日本では数館しかない第2次世界大戦以前からの歴史を持つ美術館です。根津美術館のコレクションは、実業家で茶人の初代・根津嘉一郎(1860-1940)の蒐集品が基礎となっています。自身の蒐集品を秘蔵にせず「衆と共に楽しむ」という氏の意志を受け継ぎ、二代・嘉一郎の手によって昭和16年に開館しました。今ではコレクションの数は 7,414件に及び、中には国宝7件、重要文化財87件、重要美術品94件が含まれます。その中でも人気を博している尾形光琳の《国宝 燕子花図屏風》を併設される庭園に燕子花が咲く時期に展示し、屏風と庭園を共鳴させるなど、根津美術館の企画展はコレクションの魅力を最大限に引き出す工夫が細部まで行き届いています。

そんな根津美術館では、11月14日から「物語をえがく―王朝文学からお伽草子まで」が開催されます。伊勢や源氏物語などの王朝文学から平家物語や酒呑童子などのお伽草子まで、さまざまな物語を描いた絵画作品が展示される、物語絵の展覧会です。原典である物語の多くは、誰しもが一度はそのタイトルを耳にしたことがある有名な古典文学ですが、実は読んだことはない、教科書に載っていたような気がする・・・という人は少なくないかもしれません。しかし、不思議と物語絵を前にすると、物語を読んだことがなくても、どのような場面や状況なのかを感じるこができたり、描かれている人物から声が聞こえてきそうな感覚になったりと、物語を楽しく思い描くことができるのではないでしょうか。

今回は物語絵の誕生と展開、その歴史を概観するとともに、とくに物語を絵画化する方法と、絵に描かれた物語がいかに受容されたかを考えることで、物語絵と古典文学、双方の魅力に迫ります。絵師たちがどのように物語を描いたのかを見ていくことで、日本人の想像力や読解力の豊かさを感じていただく機会になればと思います。 さらに、初代・嘉一郎が蒐集力と審美眼を基にいかにしてコレクションを築きあげてきたか、そのコレクションをどのように活かして展示を作るのか、コレクションの形成から展覧会企画の裏側までお話しいただきます。

野口剛さんからのメッセージ
物語は古くから絵に描かれ、楽しまれました。たとえば、最古の歌物語である伊勢物語の存在が文献上に知られるのは源氏物語のなかですが、そこで伊勢物語は早くも絵巻となって登場します。もちろん源氏物語も、成立後まもなく絵に描かれたと考えられます。絵は、物語の享受において重要な役割を果たしてきたのです。
今回は、絵巻、画帖、屏風など、さまざまな形式の物語絵が、いかに楽しまれたのかを紹介します。なかでもとくに源氏物語に取材した「源氏絵」がどのような場面を絵画化しているかを分析することで、源氏絵の楽しみ方や、そもそも源氏物語の魅力はどこにあるのかを考えてみたいと思います。

野口 剛のぐち・たけし
1966年福岡県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。京都文化博物館を経て、2008年より根津美術館に勤務。日本の中・近世の美術、とくに17~18世紀の京都の絵画史を研究。京都文化博物館にて「京の絵師は百花繚乱」「近世京都の狩野派展」、根津美術館にて「KORIN展」「燕子花と紅白梅」などの展覧会を企画。著書に『王朝文学と物語絵』(共著、竹林舎、2010年)など。

シリーズ「美術館とコレクション」について
毎回、日本全国の美術館の所蔵品・コレクションから、さまざまな作品やテーマをピックアップし、それぞれの美術館の学芸員さんにレクチャーいただきます。美術館のコレクションについてお話しいただくことで、美術鑑賞&美術館をさらに楽しむための講座シリーズです。講座の概要、これまでのアーカイブなどは下記のリンクからご確認いただけます。
シリーズ「美術館とコレクション」とは

根津美術館について
根津美術館は、東武鉄道の社長などを務めた実業家・初代根津嘉一郎(1860~1940)が蒐集した日本・東洋の古美術品コレクションを保存し、展示するためにつくられた美術館です。
昭和15年(1940年)の財団設立当時、約4,600件でスタートした当館の所蔵品の数は、現在約7,400件を超え、これらのうちには、国宝7件、重要文化財87件、重要美術品94件がふくまれています。コレクションの大部分は、初代根津嘉一郎の旺盛な蒐集の成果で、蒐集の対象は、日本・東洋古美術の広いジャンルにわたり、コレクションの幅の広さにつながっています。
 また晩年、自ら青山と号して茶の湯をたのしむなかで集めた茶の道具の数々も、コレクションの重要な柱となっています。初代嘉一郎没後に購入された作品、さらに、篤志家から寄贈された作品もあり、購入品や寄贈品は、コレクションにさらなる魅力を加えています。
 2009年には現代日本を代表する建築家隈研吾氏の設計により新しい本館が完成しました。また本館から一歩外に出ると、そこには4棟の茶室を含む17,000㎡におよぶ庭園が広がっています。四季の移り変わりを感じることができる都会のオアシスであり、根津美術館を訪れる楽しみのひとつとなっています。

根津美術館 WEBサイト:http://www.nezu-muse.or.jp/

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