明治、大正、昭和の昔から廃寮までの駒場寮の歴史と、そこに生きた学生たちを描いた哀愁の青春ノンフィクション『東大駒場寮物語』。
本書の著者であり、元寮委員長で駒場寮存続運動にかかわった松本博文氏は、駒場寮OBに取材し、過去資料を読み込む中で、本には到底書けないキワどい話も多数発掘したといいます。
また、駒場寮は「3年で1単位も取らずただただ麻雀をしていた麻雀太郎」「パンの耳だけしか食べない哲学者」といった、奇天烈な人を集める不思議な磁場があった空間でもありました。
駒場寮に吸い寄せられた一人が、中川淳一郎氏です。
中川氏は一橋大在学中から駒場寮に出入りし、社会人として働いていた99年からは寮の住人となり、廃寮の瞬間に立ち合うことになります。
両氏が語る駒場寮にまつわる破天荒で奇々怪々な話を通じて、かつて寮で行われた「クリスマス粉砕コンパ」を彷彿とさせる、刺激的かつ不毛な夜に誘います。
松本博文(まつもろ・ひろふみ)
ルポライター、第132期駒場寮委員長、将棋観戦記者。1973年、山口県生まれ。93年、東京大学に入学し、駒場寮に入寮。東大将棋部に所属し、在学中より将棋書籍の編集に従事。同大学法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力し、「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。コンピュータ将棋の進化を描いたデビュー作『ルポ電王戦』(NHK出版新書)が話題となり、第27回将棋ペンクラブ大賞(文芸部門)を受賞。近著に『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)がある。
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973年生まれ。東京都立川市出身。1995年一橋大学プロレス研究会(HWWA)入団。1997年博報堂入社、配属はCC局。2001年退社、無職を経てライター・編集者に。この間に駒場寮に2年間住んでいた。2006年からネットニュースの編集者。けっこう多くのニュースサイトに関与中。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)など。