ミヅマアートギャラリーディレクター三潴末雄さんとゲストが「日本」をテーマに語り合う対談シリーズ「日本再再再発見」。2011年 猪子寿之さんを皮切りに、植島啓司さん&高橋正宣さん、高橋龍太郎さん、椹木野衣さん、茂木健一郎さん、原研哉さん、会田誠さんとさまざまな現場で活躍をされている方をゲストに招き、開催をしてきました。 今回は、ミヅマアートギャラリーの作家30名との出会いや魅力を三潴末雄さんが語る『MIZUMA 手の国の鬼才たち』(求龍堂)の刊行を記念し、美術史家の山下裕二さんをゲストにお招きして開催いたします。
会田誠、青山悟、池田学、OJUN、天明屋尚、宮永愛子、山口晃など、三潴さんはギャラリストとして、日本の現代美術を語る上で欠かすことのできない名だたる作家たちを見出してきました。三潴さんのもとに集まってきた作家たちはもくもくと手を動かし、ひたむきに制作を続け、その技術力と情熱、そして美学をもって人々を圧倒します。
三潴さんは作家たちとの出会いを通じ、「日本や東南アジア(中略)、このアートの辺境の、その地層の中に、欧米が作り出した現代アートをひっくり返す程のエネルギーが潜んでいる(本書8頁)」と「手の国」の「鬼才」たちの力を確信されています。そして今もなお、作家の魅力を発信するとともに、まだ見ぬ才能に出会うために、日本とアジアを中心に世界中を駆け回り、挑戦し続けています。
今回は、古今の壁を飛び越えて日本美術の魅力を発信し続ける美術史家の山下裕二さんをお迎えし、三潴さんと作家の出会いをお話しいただきながら、古の日本美術を参照することでミヅマアートギャラリーの作家の魅力、そして手の国の底力を掘り下げて考えていくとともに、鬼才を見出してきた三潴さんの審美眼、先見力にも迫ります。
トーク終了後、三潴末雄さんと山下裕二さんによるサイン会を開催します。
サイン対象は三潴さんと山下さんのご著書です。
三潴さんからのメッセージ
欧米が創出してきた経済文化の価値基準への違和感は、とみに募るばかりです。 グローバリズムの名のもとに、一元化されていく世界経済金融システム。 欧米とISISやタリバン、アルカイダとの不毛な戦い。 欧米主導の国際的なアートシーンとアートマーケットの仕組み。 異教徒を認めない、一神教の姿勢が世界を不幸に陥れているのではないでしょうか。 八百万の神々と共に生きている、私たち多神教の民が持っている共生思想こそ世界を救える途ではないかと最近強く思っています。日本のアートの世界も欧米のコンテキストや価値観から卒業して、自分たちの独自な美的表現で世界を変えて行けたらと思っています。
山下裕二 やました・ゆうじ
美術史家。1958年、広島県生まれ。東京大学大学院卒業。明治学院大学文学部芸術学科教授。室町時代の水墨画の研究を起点に、縄文から現代美術まで、日本美術史全般にわたる幅広い研究を手がける。
著書に『室町絵画の残像』、『岡本太郎宣言』『日本美術の二〇世紀』『狩野一信・五百羅漢図』『一夜漬け日本美術史』など、企画監修した展覧会に『ZENGA展』『雪村展』『五百羅漢展』『白隠展』『超絶技巧!明治工芸の粋』などがある。
三潴末雄 みづま・すえお
ミヅマアートギャラリー東京、北京、シンガポールディレクター。
東京生まれ。成城大学文芸学部卒業。1980年代からギャラリー活動を開始、1994年ミヅマアートギャラリーを青山に開廊(現在は市谷田町) 2000年からその活動の幅を海外に広げ、インターナショナルなアートフェアに積極的に参加。 日本、アジアの若手作家を中心にその育成、発掘、紹介をし続けている。また、アジアにおけるコンテンポラリーアートマーケットの更なる発展と拡大のため、2008年に北京にMizuma & One Galleryを、2012年にシンガポールのギルマンバラックスにMizuma Galleryを開廊した。 毒と批評精神に溢れた作家を世界に紹介するとともに、ジパング展等の展覧会を積極的にキュレーションし、その活動の幅を広げている。これまでに会田誠、山口晃、O JUN、宮永愛子などの作家を輩出している。
主な展覧会企画歴
2005-NY、ロンドン、香港、台北などで展覧会を多数企画
2008 Off the Rails、北京
2010 TOKYO DESIGNERS WEEK2010 TDW-ART「ジャラパゴス展」、東京
2011 TOKYO DESIGNERS WEEK2011 TDW-ART「エルピスの空」、東京
2011「ジパング展」東京、大阪、京都
2012-2013「ジパング展」新潟、高崎、八戸、秋田
ミヅマアートギャラリー公式WEBサイト:http://mizuma-art.co.jp