2016年3月25日(金)

高柳誠『高柳誠詩集成Ⅰ』(書肆山田刊) 評論集『詩論のための詩論』(玉川大学出版部刊)刊行記念 異界の詩人・高柳誠と<高柳誠詩>の世界を読む

高山宏:もはややり残した仕事があるとも思っていないが、建石修志の画業と高柳誠の詩にオマージュをささげ損なっているという気分は強い。大体、高柳誠の詩と言って、それは本当に詩なのか、ではそもそも何がどうなっていれば「詩」と呼ばれうるのか。「ゲネラ(ジャンル)」と「アルス」、殊に「アルス・マカロニカ」というジャンル発生そのものについて、ご本人と、そしてぼくのこの世で唯一の「詩集」を持つ阿部日奈子さんとのお話、力(りき)入りそうね。

阿部日奈子:高柳誠は変わらない。いつまでも<おにいさん>という感じ。もちろんこれは訝って言うのである。私もフィクショナルな詩を書いてはいるが、歳を重ねて関心の在り処は違ってきたし、そのときどきの世相に揺さぶられもする。ところが高柳はひとり<紫水晶の中心の不動の一点>に棲んで若いままだ。彼にとって、歳月や外界や現実とはいったい何なのか。自然界を詠いながら、反自然的な存在である詩人に、素朴な疑問をぶつけてみたい。

高柳誠:今回、初期の七詩集を収めた『高柳誠詩集成Ⅰ』が刊行され、ようやく自分でも過去の作品と向き合える視座を得ることができた。もっとも信頼する文学者である高山宏・阿部日奈子両氏が、そこにどんな新しい光を当てて読み解いて下さるのか、誰よりも私自身が一番楽しみにしている。またこのセッションが読者の皆さんとの出会いの場となって、今後の詩作への新たな展望への契機となれば…などと虫のいいこともひそかに考えている。

高山宏
1947年生れ。17,18世紀を中心とする英文学、美術史、表現芸術の著作・翻訳書多数。『アリス狩り』『近代文化史入門 超英文学講義』『アリスに驚け』(近刊)訳書ハドソン『ルイス・キャロルの生涯 不思議の国の数学者』フィッシャー『キャロル大魔法館』キャロル『鏡の国のアリス』ニューエール『さかさまさか』等々。
阿部日奈子 1953年生れ。詩人。詩集『植民市の地形』(歴程新鋭賞)『典雅ないきどおり』『海曜日の女たち』(高見順賞)『キンディッシュ』
高柳誠 1950年生れ。詩人、詩集『卵宇宙/水晶宮/博物誌』(H氏賞)『都市の肖像』(高見順賞)『触感の解析学』『星間の採譜術』『月光の遠近法』(三部作で歴程賞)『月の裏側に住む』評論『リーメンシュナイダー中世最後の彫刻家』他詩集多数。

ジュンク堂書店・池袋本店
イベント開催日: 2016年3月25日(金) 19:30〜

★入場料はドリンク付きで1000円です。当日、会場の4F喫茶受付でお支払いくださいませ。
※事前のご予約が必要です。1階サービスコーナーもしくはお電話にてご予約承ります。
※トークは特には整理券、ご予約のお控え等をお渡ししておりません。
※ご予約をキャンセルされる場合、ご連絡をお願い致します。(電話:03-5956-6111)

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