こんばんは、天狼院スタッフの野呂です。
3月7日の夜ファナティック読書会「狂」では、たくさんのお客さまにお越しいただき、また当日参加できなかった方からもたくさんのお声・いいね!をいただき、ありがとうございました。
( 【東京3/7Mon 夜ファナティック読書会】うわこれめっちゃ狂ってる!! ……でも、なんだか惹かれる。そんな「狂」本語りませんか?≪初めての方、聞くだけの方も大歓迎!≫)
先日のFacebookページへの投稿でもお話しした通り、それはそれは楽しい会となりまして、
本で人と繋がれる喜びを、お客様に教えていただきました。
すっかりファナティック中毒になってしまった私ですが、
ここで大きな壁にぶち当たります。
それは……、
次のテーマ、どうしよう(笑)
初めてのファナティックマスターで、偶然テーマがヒットして、成功することができた。
しかし、次はそううまくはいくまい……
「狂」ファナに来ていただいたお客様に、どんな次テーマで開催したらよいか聞いたところ、
「エロ」、「死」、「宇宙」……
おお、やっぱりなかなかぶっ飛んでいます(笑)
とても惹かれるテーマではありますが、
「狂」の次に「死」なんて持ってきた日には、私そうとう病んでる人に思われるな……(笑)
というためらいがあって、
それもいいけど今は何かクッション材がほしい! と思いました。
クッションとはいえ、手抜きというか、ただ気の抜けたテーマでは、いいクッションにならない。脱力した体にフィットする、気持ちのいいクッションはないか?
そこで勝手ながら、「弟」というテーマを、次のファナティックのテーマにすることに決めました。
なぜ「弟」というテーマがクッション材になると思うのか。
私の紹介本は、『一瞬の風になれ』の著者・佐藤多佳子さんのデビュー作、『サマータイム』(新潮文庫)です。
『サマータイム』は初め、年後の姉を持つ青年・伊山進の、小5の回想シーンから始まります。その日は台風の接近する、ある夏の暑い日でした。
「あんた、山で大きな木の下じきになって死ぬのと、海でおぼれて死ぬのとどっちがいい?」
この本の最初の会話は、彼の、気の強い姉・伊山佳奈のこの言葉から始まります。
両方やだよ、という弟に、
「だめよ。あんた、早死にするの」「伊山進は溺れて死ぬのよ。あと二年くらい生きられるかも」「今日が運命の日かもよ。あんた、天国と地獄のどっちへ行くの?」
と立て続けに浴びせる姉。
新しく友だちになった、広一くんという大人びた少年と進との会話。
「佳奈がすごいゼリーを作ったんだ。うまくすると、食えるかも」
「なんで姉さんなのに呼び捨てなの?」
「そう呼べって言うんだもん。外国みたいでかっこいいんだってさ」
「君の姉さんっていいね」
「今日、ヒステリーだよ」
その後、佳奈の視点から、佳奈が小1、進が幼稚園年長のときの話も語られます。
「私はピアノは欲しくなかった。進は一番欲しがっていた自転車を買ってもらった。これはサベツだ。私は、ずっとずっと小さい時から、弟が自分よりいい思いをしないように、気をつけて見はっていたのだ」
……この進と佳奈の関係性が、自分の弟との関係性とまさにそっくりなのです!
私にとって弟とは、
第一に「敵」であり、第二に「おもちゃ」であり、
第三に「話のネタ」、第四に「絶対的に下の存在」、そして第五に「告発者」です。
(【年の近い弟・姉を持つ人必読 姉にとっての「弟」という存在について】この春、やっと大学生になれる弟へ ≪のろチャンネル≫)
だから幼女佳奈の「弟ってちっとも可愛くない!」という気持ちがすごくよく分かるし、
弟の視点から見た「わがままで気取り屋」の佳奈の描写がすごく面白い(し恥ずかしくもある)。
弟に限らず、ないですか?
この二人、私とあの人にそっくり!
この関係性、めっちゃ共感できる!
というお話。
あまり気構えずに話せるテーマだと思い、クッション材として、
今回は「弟――その他、関係性に共感できる本」をテーマとしたいと思います。
もちろん、ストレートに兄弟でもいいですし、親子、友人、恋人、幼馴染、先生と生徒、私とペット、なんでもOKです。
そして今回のテーマは、特に≪ファナティック初心者≫の方にとても参加しやすいテーマだと思っています。
本の紹介って……どんな風にすればいいの?
どこが好きなのかって言われても……なんとなく好き! じゃ伝わらないしな……。
今まで聞き専で、自分も紹介してみたい気もするけど、みんなうまくて……。
そんな方でも、今回は、普段友達に話すような自分の身近な人についてのエピソードに、「この本のこの二人はそんな感じです!」と付け加えれば、立派な本の紹介になっちゃいます(笑)
実は私自身、この前のファナティックが、初マスターであるだけでなく、本を紹介するのも初でした。
もともと人前で話すのが得意でないのもあって、なかなかうまく話せなくて、
会自体はとても楽しかったのですが、そこが少し引っかかっていました。
そんな私でも、楽しく紹介できるテーマはないか……と考えて、
弟をバカにする話ならいつもやっているからできるかも! と(笑)
興味があっても紹介するのをためらって参加しないのはもったいない!
という思いから、紹介のハードルが低くなるようなテーマにしました。
人前で話すのが苦手でも、普段本をたくさん読まなくても、
何か一つでも「好きな本」「共感できる本」があれば、
少しでも「本が好き」な気持ちがあれば、ファナティック読書会は楽しめます。
もちろんファナティック上級者のみなさんも、素敵な本を紹介しに来てくださいね!
3月31日(木)、あなたも「ファナ友」になりませんか?
夜ファナティック読書会「弟―その他関係性に共感できる本」ご参加お待ちしております。
【概要】
日時:3月31日(木)
19:30~21:30 (19:15受付開始)
定員:何人でも受け入れます!
参加費:1000円+1オーダー(ドリンクでもフードでも可。)
※プラチナクラスにご加盟の方は半額でご参加いただけます。
場所:東京天狼院
【天狼院書店とは】
現在、池袋、表参道、福岡に3店舗店を構える書店。
本を読むだけでは得ることのできない体験や知識『READING LIFE』の提供をテーマに掲げ、イベントの開催、カフェ事業、映画館事業などを通して様々な体験を提供しています。
【ファナティック読書会3.0について】ファナティック読書会とは、大好きな本を「ファナティック(熱狂的)」に紹介していただく、天狼院書店オリジナルの読書会です。思う存分、お好きな本をご紹介ください。それについて、語ってください。ジャンルは問いません。
また、ご紹介いただいた書籍をその場で発注し、店頭に並べるというしくみをとっている、書店だからこそできる読書会となっています。