第1回
心脳問題を、思弁的実在論の問いと結びつけて考えることで、以前大澤が論じた「脳の社会性」をさらに追究する。哲学的な議論になるが、できれば、哲学に興味のある人にとってだけではなく、脳科学や人工知能の研究者にとっても意味ある問題提起をしたい。
日時:2016年7月10日(日)
14:00~16:00(開場 13:30)
料金:1,350円(税込)
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第2回
脳と自己意識や自我という問題について考えてみたい。一部で論じられている「神経倫理学」にも触れながら、それがどこまでほんとうの倫理学の問題への答えになっているかも考察してみたい。
日時:2016年8月10日(水)
19:00~21:00(開場 18:30)
料金:1,350円(税込)
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第3回
いわゆる「シンギュラリティ」の問題を視野に入れ、社会学的・政治学的な問題を考える。脳科学や人工知能の展開の社会的意味を捉えるもの。
山本・吉川『脳がわかれば心がわかるか』第4章の主題を引き継ぎ、鈴木健氏の「なめらかな社会」にも触れる予定。
日時:2016年9月18日(日)
14:00~16:00(開場 13:30)
料金:1,350円(税込)
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それぞれ独立でも聴いていただけるし、3回を関係づければ理解がより深まる、となるようつとめたい。(大澤真幸 / 文責太田出版編集部)
大澤真幸 おおさわ・まさち
1958年長野県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任。 思想誌『THINKING「O」』(左右社)主宰。専攻は比較社会学・社会システム論。
著書に、最新刊『憲法9条とわれらが日本──未来世代へ手渡す』(井上達夫、加藤典洋、中島岳志との共著、筑摩書房)の他、『行為の代数学』(青土社)『虚構の時代の果て』(筑摩書房)『ナショナリズムの由来』(講談社、毎日出版文化賞)『不可能性の時代』(岩波新書)『〈自由〉の条件』(講談社)『社会は絶えず夢を見ている』(朝日出版社)『〈世界史〉の哲学』(古代篇、中世篇、東洋篇、講談社)『夢よりも深い覚醒へ』(岩波新書)『自由という牢獄』(岩波書店、河合隼雄学芸賞)他多数。恩師・真木悠介(見田宗介)との共著に『二千年紀の社会と思想』(太田出版)、『現代社会の存立構造/現代社会の存立構造を読む』(朝日出版社)がある。「〈世界史〉の哲学」(近世篇)、「社会性の起原」を各々『群像』『本』に連載中。
山本貴光 やまもと・たかみつ
1971年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。
コーエーでのゲーム制作を経て、文筆家・ゲーム作家。関心領域は書物、映画、ゲーム、原節子など。 著書に、最新刊『脳がわかれば心がわかるか』(吉川浩満との共著、太田出版)、他に『文体の科学』(新潮社)、『コンピュータのひみつ』(朝日出版社)、『問題がモンダイなのだ』(吉川との共著、ちくまプリマー新書)ほか。訳書に『MiND──心の哲学』(吉川との共訳、J・サール著、朝日出版社)ほか。「哲学の劇場」主宰。
吉川浩満 よしかわ・ひろみつ
1972年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。
国書刊行会、ヤフーを経て、文筆業。関心領域は哲学、卓球、犬猫鳥、単車など。 著書に、最新刊『脳がわかれば心がわかるか』(山本貴光との共著、太田出版)、他に『理不尽な進化──遺伝子と運のあいだ』(朝日出版社)、『問題がモンダイなのだ』(山本との共著、ちくまプリマー新書)ほか。訳書に『MiND』(山本との共訳、J・サール著、朝日出版社)ほか。「哲学の劇場」主宰。
「哲学の劇場」
1997年開設。哲学 / 科学 / 芸術関連の書評、作家情報などを発信。
www.logico-philosophicus.net
概要
日程:2016年7月10日 (日) 〜 2016年 9月 18日 (日)
時間:各回により異なります。詳細をご確認ください。
料金:1,350円(税込)
定員:各回110名様
会場:本店 大教室
お問合せ先
青山ブックセンター 本店
03-5485-5511 (10:00~22:00)
書籍情報
『脳がわかれば心がわかるか』
著者:山本貴光+吉川浩満
2,400円+税
太田出版:www.ohtabooks.com
著書から|増補改訂版に寄せて
「旧版刊行から約10年、じつにたくさんのことがありました。本書のテーマである心脳問題をめぐる状況も大きく動いています。
たとえば、脳科学における知見の蓄積、神経美学や神経経済学といった新分野の興隆、あるいは脳波によってコンピュータを操作するブレイン゠マシン・インターフェイスのような技術の発展は、旧版で論じた問題をさらに先鋭化させています。これまで技術的な限界もあってウヤムヤのままにしてきた諸問題に、私たちはいよいよ直面しつつあるのです。
それだけではありません。私たちの無意識のバイアス(認知の偏り)を暴きだす行動経済学の知見や、数度目のブレイクスルーを果たしつつある人工知能研究は、脳科学とは別の角度で、私たちの自己認識と社会のあり方を根底から変えつつあります。いまや心脳問題自体が些細な問題となりつつあるのではないかとすら思えるほどです。
しかし、それは心脳問題の解決を意味しません。本文で確認するとおり、心脳問題は私たちの心と身体をめぐるもっとも根本的な哲学問題であり、これからも何度でも回帰してくるでしょう。見ぬふりを決め込むのでもなければ、このような厄介な問題に対処する方法は多くありません。ひとついつでも有効な手は、問題そのものの性質や条件を、一度は真正面から考え抜いてみることです。たとえ解決はできなくても、理解することが力になります。諸科学の知識と技術によって人間の定義そのものが揺らぎつつある現在、あらためて何が問題であるかを示す里程標として、この増補改訂版を提示する次第です。」
「増補改訂版へのまえがき」より