展覧会「根源的暴力」が巡回中のアーティスト・鴻池朋子による、対話と書下ろしを収めた著作『どうぶつのことば』が9月初旬に刊行されます。昨年の神奈川県民ホールギャラリーでの展示は作品集『根源的暴力』としてまとめられましたが、今回の著作は、とりわけ東日本大震災以降、自然界における人間の境界を「人間はものをつくる」という観点から問い直し、アーティストとしての矛盾を、他者に投げかけるかたちで再度模索していく過程が、さまざまな専門家との対話や書下ろしを通して、赤裸々に語られています。
トークでは、対話に登場される教育学者・矢野智司さん(京都大学)と、本の対話では語れなかった作品《皮緞帳》を中心に、人間と動物の境界から現代の暴力をさらに探っていただきます。《皮緞帳》は牛の革をつぎあわされた高さ6メートル、幅24メートルにおよぶ大作です。制作した本人も「《皮緞帳》については、私にはまだ“出てきてしまった”だけ、の状態で、現在もこれがよくわからず言語化ができていません」と語っています。
この作品からいったい何が見えてくるのか、どうぞお楽しみください。
終了後、鴻池朋子さんのサイン会も開催いたします。
「根源的暴力」巡回展は、今年夏に群馬県立近代美術館をへて、12月には新潟県立万代島美術館で開催されます。
「鴻池朋子展 根源的暴力 Vol.3 皮と針と糸と」
2016年12月17日~2017年2月12日
鴻池朋子 こうのいけ・ともこ
美術家。1960年秋田県生まれ。1985年東京藝術大学絵画科日本画専攻卒業。現代の神話を壮大なトータルインスタレーションで発表。主な個展に2009年「インタートラベラー 神話と遊ぶ人」東京オペラシティアートギャラリー(霧島アートの森巡回)、’11年「獣の皮を被り 草の編み物」ギャラリーヒュンダイ(韓国)、’13年「Earthshine」ウェンディ・ノリス ギャラリー(サンフランシスコ)、’15年「根源的暴力」神奈川県民ホール、’16年 群馬県立近代美術館、新潟県立万代島美術館巡回、他。主なグループ展に’08年「広州トリエンナーレ」(中国)、’10年「釜山ビエンナーレ」釜山市立美術館(韓国)、’16年「Nousぬう」金沢21世紀美術館、「Temporal Turn」スペンサー美術館(カンザス)他。著書に、絵本『みみお』(青幻舎)、『インタートラベラー 死者と遊ぶ人』、絵本『焚書 World of Wonder』、『根源的暴力』(いずれも羽鳥書店)。
矢野智司 やの・さとじ
京都大学大学院教育学研究科教授 / 教育人間学。1954年兵庫県生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士課程教育学専攻中退。著書に『動物絵本をめぐる冒険──動物‐人間学のレッスン』(勁草書房、2002年)、『贈与と交換の教育学──漱石、賢治と純粋贈与のレッスン』(東京大学出版会、2008年)、『幼児理解の現象学──メディアが開く子どもの生命世界』(萌文書林、2014年)、『大人が子どもにおくりとどける40の物語──自己形成のためのレッスン』(ミネルヴァ書房、2014年)など。
概要
日程:2016年9月25日 (日)
時間:18:00~19:30 開場17:30
料金:1,080円(税込)
定員:50名様
会場:本店内 小教室
お問合せ先
青山ブックセンター 本店
03-5485-5511 (10:00~22:00)
書籍情報
『どうぶつのことば──根源的暴力をこえて』
鴻池朋子[著]/ A5判上製 / 384頁 / 本体価格3400円+税
羽鳥書店
アーティスト・鴻池朋子による、対話と書下ろし。
矢野智司(教育人間学)、石倉敏明(芸術人類学)、吉川耕太郎(考古学)、村井まや子(比較文学・おとぎ話研究)、福住廉(美術評論家)