チャールズ・ブコウスキーがこの世を去ってから20年以上経った今年、突如として彼の新刊『ワインの染みがついたノートからの断片』(青土社)が発売されました。詩や小説、書簡集を含め、すでにアメリカ本国では100冊に及ぶ著作があるといわれているブコウスキーですが、生活のためにパルプ雑誌やタブロイド紙に書きまくった文章はまだまだ存在します。本書は、そんなテキストを蒐集する熱心な人物によって2008年にアメリカで編まれた未収録&未公開作品集です。
スタイルとは何の盾もないことだ。
スタイルとは何の見せかけもないことだ。
スタイルとは究極の自然らしさだ。
スタイルとは無数の人間がいる中でたった一人でいるということだ。
―――――チャールズ・ブコウスキー(本書より)
酒、競馬、セックス、そして詩……。お馴染みのモチーフを散りばめた身辺エッセイから、風変わりなローリング・ストーンのコンサート評、敬愛する作家についての書評や序文、そして師と仰ぐジョン・ファンテの作品との出会いから晩年の彼との交流を綴った文章まで。正気と狂気のあわいで、孤独と怒りを抱えて、暴力と放浪の日々をすごした男が、唯一無二のことばで、ときにパンクにときにやさしく描きだす、社会の片隅で生きる者たちの物語の数々は、ブコウスキーが直接耳元で囁いているような「声」が感じられる、ファンには堪らない内容です。
この作品集の刊行を記念して、翻訳を手がけた中川五郎さんと鉄割アロバトロスケット主宰で作家の戌井昭人さんをお迎えして、トークイベントを開催します。中川さんは、日本で初めてブコウスキーが紹介された『詩人と女たち』をはじめ、『くそったれ!少年時代』『死をポケットにいれて』など彼の著作を数多く翻訳し、日本語でのブコウスキーの文体を確立させ影響を及ぼしたひとり。一方、ブコウスキーのファンを公言する戌井さんは、ご自身でも駄目男を主人公にした独特な作品を著しています。ブコウスキーの魅力はどこにあるのか、また現在の時点から彼の作品と人生をどのように評価できるのか、ブコウスキーについて徹底的に語りつくす一夜です。
時 間 _ 20:00~22:00 (19:30開場)
場 所 _ 本屋B&B 世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F
入場料 _ 1500yen + 1 drink order