今年2月末、『挑発する写真史』(平凡社)を上梓した、写真家・金村修さんと写真評論家・タカザワケンジさん。以前、青山ブックセンターで開かれた連続講座〈金村修写真ゼミ「写真史は目と脳を刺激する!」〉をベースに大幅な加筆・修正を加えた本書は、「『写真史』とはあくまで(仮)である」一方、「すぐれた写真家は自分自身の写真史を持っている」という前提からスタート。各講義3名の写真家をランダムに選ぶことで、これまで見えてなかった写真家の真実と写真の《正体》に迫ります。さらに「写真史」として編み上げられることで、生まれてくる「新しい写真」の可能性について言及しますが、果たしてそれは――。
本イベントでは、自らも写真講座を開く、本書装幀を担当されたデザイナー・大原大次郎さんをゲストに迎え、今回限りのスペシャル鼎談とし、写真の未来について存分に語っていただきます。
金村修 かねむら・おさむ
1964年、東京都生まれ。写真家。20代半ばまでミュージシャンを志す。1989年、東京綜合写真専門学校に入学。タブロイド紙配達のアルバイトをしながら、都市の写真を撮り始める。在学中の92年、オランダの写真展「ロッテルダム・フォト・ビエンナーレ」に作品が選出される。93年、東京綜合写真専門学校研究科を卒業。同年に最初の個展を開催する。95年最初の写真集『Crash landing』を刊行。96年、ニューヨーク近代美術館が行なった展覧会「New Photography 12」に「世界に注目される6人の写真家」のうちの一人として選ばれる。97年、東川町国際写真フェスティバル新人作家賞、日本写真協会新人賞受賞。2000年、史上2番目の若さで、土門拳賞を受賞。14年、伊奈信男賞を受賞。
タカザワケンジ
1968年、群馬県生まれ。写真評論家。91年、早稲田大学第一文学部卒業。「アサヒカメラ」「IMA」「PHaTPHOTO」などの写真雑誌に寄稿。評論のほか、写真家への取材、写真集の編集構成、国内外の写真展やフォトアートフェア、フォトフェスティバルへの取材、写真をテーマにした実験的な展示など、現代写真の最先端に目配せしつつ、写真全般について精力的なフィールドワークを続けている。携わった写真関連書に、高梨豊著『ライカな眼』(毎日コミュニケーションズ、編集・構成)、渡辺兼人写真集『既視の街』(東京綜合写真専門学校出版局+AG+ Gallery、構成・解説)、Val Williams『Study of PHOTO 名作が生まれるとき』(ビー・エヌ・エヌ新社。日本語版監修)など多数。東京造形大学、東京綜合写真専門学校、東京ビジュアルアーツで非常勤講師を務める。
大原大次郎 おおはら・だいじろう
1978年、神奈川県生まれ。タイポグラフィを基軸とし、出版,CI計画、宣伝美術、パッケージデザイン等に従事するほか、展覧会やワークショップを通して、言葉や文字の新たな知覚を探るデザインプロジェクトを積極的に展開する。近年のプロジェクトには、重力を主題としたモビールのタイポグラフィ〈もじゅうりょく〉、スケートボードに彫られた文字を身体や環境要因によって変化させていく彫刻〈文字に乗る〉、山岳写真と登山図を再構築したグラフィック連作〈稜線〉などがある。受賞歴にJAGDA新人賞、東京TDC賞など。
概要
日程:2017年3月10日 (金)
時間:19:00~20:30 開場 18:30
料金:1,080円(税込)
定員:50名様
会場:本店内 小教室
お問合せ先
青山ブックセンター 本店
03-5485-5511 (10:00~22:00)
書籍情報
『挑発する写真史』
「現実を撮っても、真実は写らない。写真は現実から何かを奪っている」。
写真の「上手/下手」、写真を「撮る/撮らない」、写真家の「純粋さ/仕事」、写真家の「正解/誤解」。写真の《歴史》を象るものとは。都市を撮り続ける写真家と、写真の最先端を読み解く評論家。「撮ること=見ること」という視点から、写真の《正体》に対話で迫る。講義は「芸術か、記録か」の範疇を超えた――。