【隆祥館書店】
日本がまだバブルの余韻に浸っていた1992年、国会では、日本初のPKO参加をめぐり、〝専守防衛のための軍事力〟自衛隊を海外に派遣するのか? 憲法違反ではないのか、任務地であるカンボジアは内戦が終わり本当に停戦しているのか? と、世論を二分する与野党の議論が沸騰していた。すったもんだの末、PKO協力法が成立、自衛隊は、政府が国連のUNTAC(アンタック=国連カンボジア暫定統治機構)と交渉して、もっとも安全なタケオに駐屯することになったが、その大騒ぎの陰で、日本の75人の警察官が「文民警察官」として、武器も持たず丸腰でカンボジアに赴くことになる。
1992年10月、75人が首都プノンペンに到着してもまだ任地は定まっていず、結局、3~4人単位で分散、全国29か所の任務地に配置され、そのなかには「レッドエリア」と言われるもっとも危険な地域も含まれていた。停戦が合意していたはずの政府や各派の武装解除は進んでいず、なかでも、ポル・ポト派は、武装解除を拒否、彼らの仕業と思われるテロやゲリラ活動が頻発していたのだ。
1993年5月4日。タイ国境に近いカンボジア北西部アンピルで、日本人警察官5人が襲撃され、高田晴行(当時警部補・33歳)が命を落とし、4人が重軽傷を負った。湾岸戦争以来、日本政府の〝悲願〟であった人的な国際貢献の場で起きた惨劇は検証されることなく、封印されたまま23年の月日が流れた。
「高田がそろそろ話せと言っているのかな」NHKスペシャルの取材班に、長い沈黙を破り重たい口を開いた隊員たち。彼らは現地で日記や、当時普及し始めた家庭用ビデオカメラで50時間を超える映像を記録していた。「戦闘が起こると防空壕に身を潜めるしかなかった」「市街戦そのものの戦場」「頭が狂い出しそう」――「国連平和維持活動の現実」、その過酷な中身は想像をはるかに超える。知らされなかったこの事実を何とか伝えなければと信念をもって「沈黙」を破った隊員たち――
今回は、隊員たちを取材し映像化し、一冊の本を書きおろしたNHKディレクタ-旗手啓介さんにご登場いただき、今回のドキュメンタリーにかかわるさまざまなお話をお聞かせいただく、場を設けることになりました。人の命より大切なものはないと信じる私にとって、知らせなければならないという使命感にかられ企画しました。この機会にぜひ!
※映像番組「ある文民警察官の死~カンボジアPKO23年目の告白」は、文化庁芸術祭賞優秀賞、ギャラクシー賞大賞など数々の賞を受賞しされました。
旗手 啓介
1979年3月生まれ。神奈川県出身。
2002年NHK入局。ディレクターとして福岡局、報道局社会番組部、大型企画開発センターを経て、2015年から大阪局報道部所属。
主な作品に、NHKスペシャル「サミュエル・エトー アフリカを背負う男」「宇宙の渚 46億年の旅人 流星」、「調査報告 日本のインフラが危ない」、「巨龍中国 大気汚染 超大国の苦闘」など
司会 二村知子 (ふたむら ともこ)
井村雅代コーチ(当時)に師事し、シンクロナイズドスイミングを始め、現役時代はチーム競技で2年連続日本1位、日本代表出場のパンパシフィック大会では2年連続世界第3位に。現役引退後、隆祥館書店に入社。2011年から「作家と読者の集い」と称して作家と読者の思いを直接つなぐト-クイベントを開催、メディアでは、知らされていない真実を追求する場として注目されている。2016年からは「ママと赤ちゃんのための集い場」を毎月開き、温かい社会を目指している。
『ある文民警察官の死~カンボジアPKO23年目の告白』(講談社)発刊記念イベント
NHKディレクタ-旗手啓介さんによるト-クライブ 司会・聞き手:二村知子
開催日:平成30年2月17日(日)
時間:14:30開場 15:00開演
会場:隆祥館書店8階 多目的ホ-ル
参加費:3,200円 (内訳:参加費1,256円+『ある文民警察官の死 ~カンボジアPKO23年目の告白』1944円 )
トークライブのみ:3,200円 当日の場合:参加費500円アップになります。
(要予約・事前購入制とさせていただきます。申込み順)
振込先
三井住友銀行上町支店(普通)1353923
カ)リュウショウカンショテン
申込み・お問合せ:隆祥館書店
TEL:06-6768-1023
住所:大阪市中央区安堂寺町1-3-4 谷町6丁目⑦番出口向かい
Eメ-ル:ryushokan@eos.ocn.ne.jp
主催:隆祥館書店
後援:講談社