ある日のこと。
ヴェネツィアの古本屋で、著者はこんな話を耳にします。
トスカーナの山深き村に、何世紀にもわたって、イタリアじゅうに本を届けた人々がいた、と。
それが、モンテレッジォ村と著者との出会いです。
なぜ、そんな山深き村の人たちが?
実は、イタリアでも、このモンテレッジォ村の歴史は、ほとんど知られていません。
不思議に思い、何かに衝き動かされるように、モンテレッジォ村へと向かった著者は、中世にまでさかのぼる、本と共に生きてきた村の人々の歴史に触れ、心を揺さぶられ、その歴史の真実に迫っていきます。
そして、村に泊まり込み、フィールドワークの日々を送る著者と村の人々との交流は、一冊の本となって結実しました。
このたびこの本の刊行を祝して、モンテレッジォ村の皆さんが初めて日本を訪問することになりました。
「旅する本屋」の子孫がゲストで参加してくれる今回のトークショー、是非、お楽しみください!
【刊行記念ブックフェア開催のお知らせ】
『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』の刊行を記念して、著者の内田洋子さんがおすすめする本を集めたブックフェアを3月10日~4月25日迄、代官山 蔦屋書店・3号館1階 旅行フロアにて開催いたします。
本には、内田洋子さんの想いがこもったコメントを添えています。
また、このたびの書籍を出版した「方丈社」おすすめの本も揃えました。
どうぞお手に取って、豊かな本の世界を旅してください。
【参加条件】
書籍 『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』(方丈社刊/1,944円税込)を当店にて、ご予約・ご購入頂いたお客様に参加券をお渡しいたします。
(書籍は3月27日以降のお渡しとなります)
もしくは、参加費 1,080円(税込)を、お支払い頂いたお客様に参加券をお渡しいたします。
【お申込み方法】
下記①~③にて、参加お申込み受け付けいたします。
①店頭 (代官山 蔦屋書店 3号館1階 レジカウンター)
②お電話(03-3770-2525)
③オンラインストア
【対象商品】
『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』内田洋子 (方丈社刊/1,944円税込)
【ご注意事項】
※イベント開始15分が過ぎてもお越し頂けなかった場合は、座席には他のお客様にお座りいただきますのでご了承ください。
※当日は参加券の番号に関係なく、お好きな席にお座りいただきます。
※参加券の再発行はお断りさせていただきます。
※お客様のご都合による参加費の払い戻しはお受けできませんのでご了承ください。
※止むを得ずイベントが中止、内容変更になる場合があります。
※店内での撮影及び録音はご遠慮ください。
【プロフィール】
内田 洋子 (Yoko Uchida)
1959年神戸市生まれ。東京外国語大学イタリア語学科卒業。
通信社ウーノ・アソシエイツ代表。2011年『ジーノの家 イタリア10景』で日本エッセイスト・クラブ賞、講談社エッセイ賞をダブル受賞。
著書に『ジャーナリズムとしてのパパラッチ イタリア人の正義感』『ミラノの太陽、シチリアの月』『イタリアの引き出し』『カテリーナの旅支度 イタリア 二十の追想』『皿の中に、イタリア』『どうしようもないのに、好き イタリア 15の恋愛物語』『イタリアのしっぽ』『イタリアからイタリアへ』『ロベルトからの手紙』『ボローニャの吐息』『十二章のイタリア』『対岸のヴェネツィア』。
翻訳書に『陽気にでもほどほどに』(カルロ・マリア・チボッラ著)『イタリアを食べる』(ステファニア・ジャンノッティ著)『パパの電話を待ちながら』(ジャンニ・ロダーリ著)などがある。
現在、イタリア在住。
【内田洋子さんからのメッセージ】
読者の皆様へ
ヴェネツィアで暮らしていたとき、よく通っていた古本屋があった。寡黙で、でも穏やかな人柄の店主はまだ若く、各国からの客たちの頼みごとを疎まずに聞き入れては、必ず依頼に応じた本を見つけてくるのだった。
<ただ者ではないな>
店主と客のやりとりを聞くために、店に通うようになった。
店には、<ヴェネツィア>と<美術>に関する本に的を絞って、しかしすべての分野で本揃えしてあった。いったいどのようにして、と店主に棚揃えの秘訣を尋ねたところ、
「父から習いました」
紹介された老父は、
「祖父が流れ着いて、この町で本売りを始めたのです」
と、答えた。
祖父はトスカーナ地方の山村の出身だ、と言い、誇らしげに村の話を始めたが、その名前も場所も聞いたこともない。
「その村の住人は、本を行商して生計を立ててきたのです。今でも毎夏、村では本のフェスティバルを開いていますよ」
驚くことを言った。
イタリア半島じゅうを、この小さな名も無い山村から本を籠に入れて行商に歩いた人たちがいた。その本の行商人たちのおかげで、各地に書店が生まれ、<読むということ>が広がったのだと知った。
なぜ山村の住人が、食材や雑貨ではなく本を売り歩いたのか。聞けば、村人たちは長らく読み書きができなかったという。
「何かわからないけれど、紙に書かれたものは、きっと世の中の土台となり未来を築くものに違いない。僕たちはこれを広めるために、売って歩こう」
と決める。
村人たちのことをもっと知りたくて、山を訪ねた。人に会い、石造建築物を見て、山間の食堂で食べ、川辺の宿に泊まるうちに、さまざまなことを見聞きした。
点在する寒村や教会。塔。険しい山道。交差する尾根伝いの道。
中世から山の人たちが運び続けたのが、本だったと知る。
村人たちが本を運んだ歴史は、知の伝達の歴史であり、見聞の伝令の足跡である。
この村がある山で、『本の露店商の賞』が生まれたのは、1953年のことである。世界で初めての本屋大賞だ。
本を愛し、本を売ることに命を賭けた人たちがいた。
わずかに生存している子孫たちの話を聞きながら、『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋の物語』の連載を書いた。何かに惹かれるようにして、一生懸命に書いた。
内田洋子
会期 / 2018年04月07日(土)
定員 / 60名
時間 / 19:30~21:00
場所 / 蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース
主催 / 代官山 蔦屋書店
共催・協力 / 方丈社
問い合わせ先 / 03-3770-2525
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オンラインストアでの受付は2018/4/5(木)午前9時の受注分までとさせていただきます。