このたび、西洋美術の入門講座としてスタートした「藤原えりみから学ぶ西洋美術のABC」のイタリア美術編(全2回シリーズ)を開講します。
2015年春に、「ボッティチェリとルネサンス」(Bunakmura ザ・ミュージアム)、「グエルチーノ展」(国立西洋美術館)が同時期に開催されます。サンドロ・ボッティチェリ(1445-1510)と言えばルネサンス期を代表する画家で《春》や《ヴィーナスの誕生》は多くの人が一度は目にしたことがあるでしょう。一方、グエルチーノ(1591-1666)は、カラヴァッジョ(1571-1610)やカラッチ一族によって幕開けされたバロック美術を発展させたと言われる重要な画家です。
では、ボッティチェリとグエルチーノがそれぞれ活躍をしたルネサンスとバロックとは、どのような時代、そして様式だったのでしょうか。
今回は、ゲスト講師としてボッティチェリ展から宮澤政男さん、グエルチーノ展から渡辺晋輔さんと、それぞれの展覧会を担当された学芸員さん、研究員さんをお招きし、藤原えりみさんとともに、ルネサンスとバロックの基礎をおさえながら、イタリア美術への理解を深めていきます。
さらに、ルネサンスからいかにしてバロックに移り変わっていったのかを追い、西洋美術がいかに美術と向き合い、過去の表現と葛藤をしてきたのかを考える機会にしたいと思います。
日程詳細
第1回 2015年4月2日(木) 19:00~21:00 |
ルネサンス~ボッティチエリを中心に ゲスト講師:宮澤政男(Bunkamura ザ・ミュージアム 上席学芸員) |
第2回 4月28日(火) 19:00~21:00 |
バロック~グエルチーノを中心に ゲスト講師:渡辺晋輔(国立西洋美術館主任研究員、グエルチーノ展担当) *グエルチーノ展より、受講生のみなさまに「プレスリリース」のプレゼントがございます。 |
展覧会情報
ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美
2015年3月21日(土・祝)~6月28日(日)
Bunkamura ザ・ミュージアム
展覧会公式サイト:http://botticelli2015.jp/
グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家
2015年3月3日(火)-5月31日(日)
国立西洋美術館(東京・上野公園)
展覧会公式サイト:http://www.tbs.co.jp/guercino2015/
グエルチーノ(1591-1666年)はイタリア・バロック美術を代表する画家の一人として知られます。カラヴァッジョやカラッチ一族によって幕が開けられたバロック美術を発展させました。一方、彼はアカデミックな画法の基礎を築いた一人でもあり、かつてはイタリア美術史における最も著名な画家に数えられました。19世紀半ば、美術が新たな価値観を表現し始めると、否定され忘れられてしまいましたが、20世紀半ば以降、再評価の試みが続けられており、特に近年ではイタリアを中心に、大きな展覧会がいくつも開催されています。国立西洋美術館もグエルチーノの油彩画を1点所蔵していますが、今回はこの知られざる画家の全貌を、44点の油彩画によってお見せします。わが国初のグエルチーノ展です。 出品作品の多くはチェント市立絵画館からお借りします。実はチェントは2012年5月に地震に襲われ、大きな被害を受けました。絵画館はいまもって閉館したままで、復旧のめども立っていません。本展は震災復興事業でもあり、収益の一部は絵画館の復興に充てられます。
宮澤 政男
みやざわ まさお
Bunkamuraザ・ミュージアム 上席学芸員
1981年東京外国語大学外国語学部フランス語学科卒業。1984年より1年間ベルギー政府給費留学生としてブリュッセル自由大学に留学。1986年学習院大学大学院博士前期課程人文科学専攻(西洋美術)を終了後、ベルギーでのフリーランスの美術コーディネーター・通訳・翻訳などの職歴を経て、1996年よりBunkamuraザ・ミュージアムに勤務。
Bunkamura ザ・ミュージアム公式サイト:
http://www.bunkamura.co.jp/museum/
渡辺 晋輔
わたなべ しんすけ
国立西洋美術館主任研究員
1972年鎌倉生まれ。東京大学大学院博士後期課程中退。専門はイタリア美術史。これまでに「ウルビーノのヴィーナス展」「カポディモンテ美術館展」「ラファエロ展」などを担当。 著書に『ジョットとスクロヴェーニ礼拝堂』(小学館)、『西洋版画の見かた』(国立西洋美術館)など。
国立西洋美術館公式サイト:http://www.nmwa.go.jp/
藤原 えりみ
ふじはら えりみ
美術ジャーナリスト
東京芸術大学大学院美術研究科修了(専攻/美学)。女子美術大学・國學院大学非常勤講師。
著書『西洋絵画のひみつ』(朝日出版社)。共著に『西洋美術館』『週刊美術館』(小学館)、『現代アート事典』『ヌードの美術史』(美術出版社)、『現代アートがわかる本』(洋泉社)、『チームラボって、何者?』(マガジンハウス)。訳書に、C・グルー『都市空間の芸術』(鹿島出版会)、M・ケンプ『レオナルド・ダ・ヴィンチ』(大月書店)、C・フリーランド『でも、これがアートなの?』(ブリュッケ)など。