2018年5月27日(日)

「境界線を抱いて」岸政彦 × 温又柔トークイベント 『はじめての沖縄』(「よりみちパン!セ」新曜社)刊行記念

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社会学者として沖縄を研究テーマとして20年になる岸政彦さんが、この5月、『はじめての沖縄』を上梓されます。観光客として沖縄と出会ったのち、うなされるかのようにして「沖縄病」になり、自分勝手な「沖縄イメージ」を沖縄に押しつけていた20代の頃、のちに研究者として沖縄に再び通い始めた頃のことが、この本の思考の出発点となっています。
目と耳と肌で、そして沖縄に暮らす人々への聞き取りから岸さんが感じる、沖縄の自由さや自治の感覚、共同体のつながりの濃さ、独特な「笑い」の感覚。私たちにとってもまた、沖縄の独自の文化や気候、慣習や規範などは、根強い憧れとしてあるでしょう。けれども、そこにはさまざまな複雑さと、軽やかに超えることのできない境界線があることに、岸さんの筆によって、わたしたちは思い至ります。であるならば、わたしたちは、「沖縄」についてどのような語り方を持つことができるのでしょうか。
そして今回、初対面となる温又柔さんは、「チューゴク語がへたで日本語はぺらぺらのタイワン人です」と書き、国と国、人と人、そして言葉と言葉の間にある境界について、独自の物語を描きながら、「わたしの言葉」を模索しつづけています。
そんな<わたし>や<わたしたち>は、親密さを感じながらも構造的に隔てられているものと、言葉を通して、どのようにして出会うことができるのでしょうか。境界線を尊重することと、境界線を越えていくこと。それを同時に達成することの困難さを抱きながらなお、新しい語りかたを思考し続けるおふたりに、じっくりとお話を交わしていただきます。

【プロフィール】
岸政彦(きし・まさひこ)
1967年生まれ。社会学者。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。博士(文学)。研究テーマは沖縄、生活史、社会調査方法論。著作に、『同化と他者化—戦後沖縄の本土就職者たち』(ナカニシヤ出版、2013年)、『街の人生』(勁草書房、2014年)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社、2015年、紀伊國屋じんぶん大賞2016受賞)、『愛と欲望の雑談』(雨宮まみとの対談、ミシマ社、2016年)、『質的社会調査の方法—他者の合理性の理解社会学』(石岡丈昇・丸山里美との共著、有斐閣、2016年)、『ビニール傘』(新潮社、2017年、第156回芥川賞候補、第30回三島賞候補)など。

温又柔(おん・ゆうじゅう WenYuju)
1980年、台北市生まれ。小説家。3歳から日本に在住。法政大学国際文化学部卒業。同大学院国際文化専攻修士課程修了。2009年、「好去好来歌」で第33回すばる文学賞佳作を受賞し、作家デビュー。両親はともに台湾人で、日本語、台湾語、中国語の飛び交う家庭に育つ。創作は日本語で行う。著作に、『来福の家』(集英社、2011年、のち、白水社、2016年)、『台湾生まれ 日本語育ち』(白水社、2016年、第64回日本エッセイストクラブ賞受章)、「真ん中の子どもたち」(集英社、2017年、第157回芥川賞候補)など。近刊に、連作短篇小説集『空港時光』(河出書房新社)

日程 / 2018年5月27日 (日)
時間 / 18:00~19:30 開場 17:30~
料金 / 1,350円(税込)
定員 / 110名様
会場 / 本店 大教室
お問合せ先 / 青山ブックセンター 本店
電話 / 03-5485-5511
受付時間 / 10:00~22:00

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