生誕150年を経て、今なお話題のつきない稀代の人類学者・南方熊楠は、無類の猫好きという一面を持っていました。このことは水木しげるの漫画『猫楠』などの伝記作品を通して広く知られています。けれどもその熊楠と猫との触れ合いが実際にはどのようなものであったのかについて、文献資料に基づいてきちんと検証されることは、これまでほとんどありませんでした。
そこでこのたび刊行されたのが、ひたすら熊楠と猫の関係性に焦点をあてた初の単行本『熊楠と猫』です。熊楠が猫とどのように戯れ、絵に描き、考察し、あるいは俳句を作っていたかを、熊楠自身の手紙や原稿を通して探りました。
今回は『熊楠と猫』の刊行を記念して、執筆陣のうち3名が、それぞれの専門の立場から語らいつつ、熊楠の自筆資料を多角的に分析、紹介し、〈南方熊楠と猫〉の実態を探ります。
【プロフィール】
杉山和也(すぎやま・かずや)
1983年、千葉県生まれ。青山学院大学大学院博士後期課程、在学中。専門は説話学・国文学研究史研究。著書に『南方熊楠と説話学』(平凡社、2017年)。論文に「日本に於けるネコの認識――猫またの出現をめぐって――」『平成二五年度 名古屋大学大学院国際言語文化研究科 教育・研究プロジェクト「文化創造の展開および発展」報告書』(2014年1)。「日本に於けるサメの認識――朝比奈義秀のサメ捕獲譚のことなど――」『軍記と語り物』(第52号、2016年)など。
志村真幸(しむら・まさき)
1977年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学非常勤講師。専門は南方熊楠研究。著書に『日本犬の誕生-純血と選別の日本近代史』(勉誠出版,2017年)。編著書に『異端者たちのイギリス』(共和国、2016年)。共訳に『南方熊楠英文論考[ノーツ アンド クエリーズ]誌篇』(集英社、2014年)。
岸本昌也(きしもと・まさや)
1965年、埼玉県生まれ。白百合女子大学非常勤講師。専門は日本近代政治史・軍事史。論文に「日タイ『宗教外交』の展開-昭和十八年仏舎利奉遷をめぐって」(『政府と民間』、山川出版社、1995年)、「戦歿者追悼のカタチ-英霊の『骨の系列』」(別冊『正論』24、2015年)、「南方熊楠・藤岡長和関係書簡」(『熊楠研究』11、2017年)など。
日程 / 2018年7月11日 (水)
時間 / 19:00〜20:30 開場 18:30〜
料金 / 1,350円(税込)
定員 / 50名様
会場 / 本店内 小教室
お問合せ先 / 青山ブックセンター 本店
電話 / 03-5485-5511
受付時間 / 10:00~22:00