建築家・青木淳さんの10年ぶり、3冊目の単著『フラジャイル・コンセプト』が刊行されました。
青木さんは、「原っぱ(=人々が行動することによって楽しさを発見する空間)」と「遊園地(=人々の楽しみ方があらかじめ与えられている空間)」という二つ空間のあり方を提唱され、「原っぱ」のような建築空間をつくることをこれまで試みてこられました。
そんな青木さんは、東日本大震災以降、建築の土台が揺らいでしまったなかで、手さぐりで言葉をひとつひとつ探り当てながら、文章をものされてきました。そうした青木さんの体温を感じられる数々の文章を、この度『フラジャイル・コンセプト』というタイトルのもと編み上げました。
「フラジャイル・コンセプト」とは、モノづくりのはじまりにあるコンセプトというものは、その言葉の強さとはうらはらに、本来あやふやなものであり、試行錯誤のなか、結局、事後的に発見されるものなのでないか、という問題提起を含んだ、青木さんの新たなキーワードであり、若き作り手たちへのメッセージとなる言葉です。
ゲストには、窓について考察した小品集『戸惑う窓』や、東日本大震災を挟んで現在も続く雑誌連載をまとめた『曇天記』を刊行されたばかりの、作家の堀江敏幸さんをお招きします。白か黒か、晴れか雨か、冷たいか熱いか、という二分法をしりぞけ、二つの領域のあわいを言葉にされてきた堀江さんも、フラジャイルな資質の持ち主といえます。
初対談となる、お二人のあいだで、どのような言葉のキャッチボールが行われ、「くうき」が作られていくかを、お楽しみいただければと思います。
・「建築・都市レビュー叢書」(NTT出版)
21世紀の建築・都市についての議論を活発化させ、新たなパラダイムに応答する、世代・分野を超えた新しい知の「プラットフォーム」を生み出すことを目指す。通称R本。
【プロフィール】
青木淳(あおき・じゅん)
1956年横浜生まれ。82年、東京大学工学部建築学科修士課程修了後、磯崎新アトリエに勤務。91年に青木淳建築計画事務所設立。個人住宅を始め、《青森県立美術館》、《杉並区大宮前体育館》に代表される公共建築、ルイ・ヴィトンの商業施設など、作品は多岐に渡る。99年に日本建築学会作品賞、2004年に芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。 主な著書に『JUN AOKI COMPLETE WORKS』(1・2・3巻)、『原っぱと遊園地』(1・2巻)、『青木淳 ノートブック』、編著に『建築文学傑作選』などがある。
堀江敏幸(ほりえ・としゆき)
1964年岐阜県生れ。1999年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、2003年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、2004年同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞、2006年『河岸忘日抄』、2010年『正弦曲線』で読売文学賞、2012年『なずな』で伊藤整文学賞、2013年『振り子で言葉を探るように』で毎日書評賞を受賞。近刊に、『坂を見あげて』、『曇天記』、『オールドレンズの神のもとで』がある。
日程 / 2018年7月2日 (月)
時間 / 19:00~20:30 開場 18:30~
料金 / 1,350円(税込)
定員 / 110名様
会場 / 本店 大教室
お問合せ先 / 青山ブックセンター 本店
電話 / 03-5485-5511
受付時間 / 10:00~22:00