『制作へ』の表題論考「制作へ」は一種の身体論であり、身体拡張論である。制作を通じて身体を〈作品〉として外化し、〈作品〉を足場に次なる制作へと進むこと。
身体は環境に作られつつ、環境を作る。その循環、往還運動。僕は芸術論ではなく制作論を展開している。
その射程の中にはもちろん範疇としての建築も含まれている。
いやむしろ、環境を制作するという言葉を環境を建築すると言い換えれば、建築は「制作」を考える上で切っては切り離せないのではないだろうか?
今回のトークでは建築家の門脇耕三氏、木内俊克氏をお招きする。
門脇氏は〈身体と建築〉はかつて論点として確かに存在していたが、現在では議論が縮小していると指摘する。
しかし、情報環境の趨勢を考慮すれば、今後はむしろ重要性が増していくだろうと言う。
木内氏には制作と足場、それによって訓練された身体性を元に次なる制作を進める建築家と、それを理論的にではなく実践として共有、あるいは運用することまで含んだ運動としての建築という論点を提示して頂いた。
上記の二つを起点にしつつ、お二人には自作を含め過去の参照すべき建築/建築家の実践のスライドを用いた紹介を交えながら、お話し頂く。
そして、その後、三人で対話を進めていければと思う。この対話をきっかけに、再度新しくも古い身体論と建築という視点から、現代の情報環境を含めた制作の議論が活性化することを祈っている。
≪プロフィール≫
上妻世海 (こうづま・せかい)
生年:1989年生まれ
生業:文筆/現代美術
主な書籍:『制作へ』(オーバーキャスト 2018) 『脱近代宣言』(共著 水声社 2018)
主な展覧会:「Malformed Objects 無数の身体のためのブリコラージュ」(山本現代 2017)「時間の形式、その制作と方法 – 田中功起作品とテキストから考える」(青山目黒2017)
門脇 耕三(かどわき・こうぞう)
建築家、建築学者。明治大学専任講師、明治大学出版会編集委員長、アソシエイツ株式会社パートナー。博士(工学)。
1977年神奈川県生まれ。2001年東京都立大学大学院修士課程修了。東京都立大学助手、首都大学東京助教などを経て、2012年より明治大学専任講師。同年にアソシエイツを設立。
専門は建築構法、構法計画、建築設計。効率的にデザインされた近代都市と近代建築が、人口減少期を迎えて変わりゆく姿を、建築思想の領域から考察。建築の物的なエレメントへのまなざしに根ざした独自の建築論も組み立てている。
著書に『シェアの思想/または愛と制度と空間の関係』(LIXIL出版,2015)、作品に《門脇邸》(2018)など。
木内 俊克(きうち としかつ)
木内建築計画事務所代表、東京大学大学院建築学専攻Advanced Design Studies Design Think Tank担当。
1978年東京都生まれ。2004年東京大学大学院建築学専攻修了。Diller Scofidio + Renfro (2005-2007, New York)、R&Sie(n) Architects (2007-2011, Paris) を経て、2012年より木内俊克建築計画事務所(現・木内建築計画事務所)を設立。
舞台美術・建築から、パブリックスペース・都市計画に至るまで領域横断的なデザインの実践を行う傍ら、東京大学他でのコンピュテーショナルデザイン教育/研究活動に従事。2015年からは、東京大学Design Think Tankにて都市で活動する人々の視点や関心のデータ的把握とそのプロセスを通した都市介入について研究を行っている。
代表作に都市の残余空間をパブリックスペース化した『オブジェクトディスコ』(2016)など。
開催日時:2018年11月30日(金) 19時00分~(開場18時30分)
開催場所:東京堂書店 神田神保町店6階 東京堂ホール
参加費: 800円(要予約)
参加ご希望の方は店頭または電話にて、『上妻さん × 門脇さん × 木内さんトークイベント参加希望』とお申し出いただき、名前・電話番号・参加人数をお知らせいただくか、下記「お申し込みはこちら」から専用予約フォームにご入力の上、送信してください。
イベント当日と前日は、電話にてお問い合わせください。
ご予約受付電話番号:03-3291-5181
※当日17:00より1階レジカウンターにて受付を行います。 受付時にお渡しするイベントチケットは6階入口にて係員にご提示いただきますのでそのままお持ちください。 ※6階には待機場所を設けておりませんので、開場時間前に6階へお上がりいただくのはご遠慮ください。 ※会場での書籍のご購入は現金のみの対応となっており、クレジットカード・図書カード・電子マネー等でのお支払いはできません。また、東京堂のポイントカードへのポイント付与もできませんので予めご了承ください。 ※やむを得ずキャンセルされる場合は、お手数ではございますが電話かメールにてご予約のお名前・イベント名をご連絡ください。