〇『庭とエスキース』について
他者にカメラを向けることで “生きること” に近づけるのではないか。そう思っていた写真家である著者が出会ったのは、北海道で小さな丸太小屋に暮らし、自給自足の生活を営む「弁造さん」だった。以来、著者は季節の移ろいを追うようにして、糧を生み出す美しい庭を育みながら、絵描きになる夢を抱き続ける弁造さんを14年間に渡って訪ね続けた。弁造さんの死後、時が経つほどに鮮やかさを増していくこれらの日々。弁造さんとともに過ごした時間から拾い集めた “他者の記憶” は著者の胸のなかで、人が老いること、生きることを静かに問い続ける。
弁造さんの “生きること” を思い紡がれた24 篇の記憶の物語と40 点の写真。人が人と出会ったことの豊かさを伝える、心揺さぶる写文集。
〇スライド&トークの内容について
〈弁造さんのことを想うこと。1998年に弁造さんと出会って今日まで、なぜか弁造さんのことが頭から離れる日はありませんでした。畑と林からなる庭を作り、自給自足で完成しない絵を描き続ける弁造さんの日々は、“生きること”から発せられる不思議な彩りを宿した光で、僕はずっとその光を浴び続けているのかもしれません。
弁造さん、そしてあの美しい庭や描き残されたエスキースについてスライドを交えながらお話させていただきたいと思っています。
奥山淳志(おくやま・あつし)
1972年大阪生まれ、奈良県育ち。京都外国語大学卒業後、出版社に勤務。 1998年岩手県雫石町に移住し、写真家として活動を開始。以後、東北の風土や文化を撮影するほか、 人間の生きることをテーマにした作品制作をおこなう。 受賞歴に2006年「Country Songs ここで生きている」でフォトドキュメンタリーNIPPON2006、2015年「あたらしい糸に」で第40回伊奈信男賞、写真集『弁造 Benzo』および個展「庭とエスキース」(ニコンサロン)で2018年日本写真家協会新人賞、 2019年第35回 写真の町 東川賞・特別作家賞がある。2019年『庭とエスキース』(みすず書房)を上梓。
*「弁造さんのエスキース展――今日も完成しない絵を描いて」(6月7日~25日)
開催日
2019年6月6日(木)
時間
19時30分スタート *イベント当日、お店は18時にてクローズ致します
会場
Title 1階特設スペース
参加費
500円+1ドリンク500円
定員
20名
お申し込み
手順1:メールの件名にイベント名、メール本文にお名前(氏名)/電話番号/枚数(1人2枚まで)を明記して、以下のアドレスに送信ください。
title@title-books.com
手順2:「予約完了」の返信をいたします。(メールの受信設定にご注意ください)。
手順3:参加費は当日会場受付でのお支払いとなります。
お申し込み・ご予約は定員に達し次第締め切らせていただきます