【ジュンク堂 難波店】
約10年前、ギリシャの財政危機のニュースは世界中を驚愕させ、誰もがギリシャの行く末に注目しました。
日本では「ギリシャは対岸の火事ではない」などとして、その後の消費増税が決められました。
『黒い匣』(朴勝俊ほか訳、明石書店)が明らかにするのは、「ギリシャ救済策」の欺瞞と暴力性、欧州諸国の民主主義の解体、そして世界的な経済秩序の機能不全という普遍的な問題で、本書は「史上最高の政治的回顧録」といわれております。
その著者であり、ギリシャの経済学者で急進左派連合(シリザ)政権の財務大臣を務めたバルファキスは、“反緊縮”を提唱します。
“反緊縮”とは、財政緊縮を掲げてきた新自由主義に対抗し、公共支出拡大と金融緩和による雇用拡大を提唱する世界的な路線のことです。
日本では“薔薇マークキャンペーン”が、99%の人々の生活を底上げする「反緊縮の経済政策」を呼びかけています。
『「反緊縮!」宣言』(松尾匡・朴勝俊ほか著、亜紀書房)は、未来への希望を語る、新たなニューディール政策の宣言書なのです。
“反緊縮”の提唱者には、世界各地で台頭する左派ポピュリズム的手法を展開する者も多いといえます。
ポピュリズムは、アメリカのトランプ大統領を代表とする排外主義的なイメージがありますが、政治理論家シャンタル・ムフは『左派ポピュリズムのために』(山本圭・塩田潤訳、明石書店)で右派ポピュリズムや新自由主義政策に対抗するための左派ポピュリズム戦略を提起します。
イベントでは、ギリシャをはじめ、欧州の左派ポピュリズムを概観しつつ、“反緊縮”とはどのようなものか、そして左派ポピュリズムとどのような関係にあるかを考えます。これからの政治・経済で重要な軸を深いところから理解する、絶好の機会といえます。
【プロフィール】
朴勝俊(ぱく・すんじゅん)
薔薇マークキャンペーン呼びかけ人。関西学院大学総合政策学部准教授。
著書に『「反緊縮!」宣言』(共著、亜紀書房)など。
山本圭(やまもと・けい)
立命館大学法学部・准教授。現代政治理論、民主主義論。
著書に『不審者のデモクラシー――ラクラウの政治思想』(岩波書店)など。
塩田潤(しおた・じゅん)
神戸大学・大学院国際協力研究科博士後期課程在籍。政治社会学。
訳書に『左派ポピュリズムのために』(明石書店)。
開催日時:2019年06月29日(土) 15:00~
会場・受付時:3階カウンター前特設会場。入場料無料(定員30名)
◆ジュンク堂書店難波店
TEL 06-4396-4771
協賛:明石書店/亜紀書房
薔薇マークキャンペーン/市民社会フォーラム/ひとびとの経済政策研究会