2019年9月21日(土)~2019年10月7日(月)

(10月7日まで開催中)サンライト 永井宏さんが残したもの 永井宏散文集『サンライト』(夏葉社)出版記念

永井宏さんは、美術作家として活発に作品を発表してきた方ですが、同時にたくさんの詩や文章も残しました。
神奈川の海辺の町で暮らしながら作品を作り続け、また自身で「サンライト・ギャラリー」を運営し、「誰にでも表現することはできる」「暮らしそのものがあなたの作品になるんだ」といいながら、たくさんの人に表現することを勧め、背中を押し、励まし続けた人でもありました。

ギャラリーを閉じたあとは各地でワークショップを開催し、小さなブックレーベルを立ち上げ、出版も手がけました。早くからポエトリーリーディングを主催し、自作の歌も歌いました。ワークショップからはたくさんの表現者が生まれ、2000年代になって花開いた「暮らし系」「生活系」のメディアの担い手たちの多くはそんな永井さんの活動に直接、間接の影響を少なからず受けていました。2003年に僕がはじめたアノニマ・スタジオはまさにそうでした。

今回出版される『サンライト』は、永井さんの残した8冊の本から26の散文を集めて編んだものです。少年時代の永井さんが過ごした東京、雑誌編集部にいたころに吸収した映画や音楽、喫茶店の文化。メディアの世界から距離を置き、海辺の町で身近な暮らしに視線を向けた表現を紡ぎ出すまで。永井さんが提唱した「ネオ・フォークロア」という考え方への道筋がぼんやりと浮かんでくるような構成を目指しました。

その編集の過程で永井さんの奥さまを訪ねた折、たくさんの絵やオブジェを見せていただきました。初めて永井さんの作品を目の当たりにした夏葉社の島田さんもデザインを担当いただいた櫻井久さんとともに静かに興奮して「美術の作品集がないなんて、もったいない」と盛り上がり、いつか永井さんの美術作品も紹介したいと思いはじめていました。

Titleの辻山さんからこの展示のお話をいただいたのは、その直後のこと。辻山さんはご著書『ことばの生まれる景色』の中でも永井宏さんの『夏の仕事』を取り上げてくださっており、永井さんの美術作家としての魅力は以前からよくご存知だったのです。

今回は永井さんの平面作品と同時に、『サンライト』には収録されなかった短い文章も展示する予定です。
永井さんの残した眼差しと言葉に触れてください。

編集者 丹治史彦(信陽堂編集室)

開催日
2019年9月21日(土)ー 2019年10月7日(月)

時間
12:00~21:00 水曜、第三火曜日定休日 *イベント開催日(9月26日、27日)は18時にて終了

場所
Title2階ギャラリー

永井宏(ながい・ひろし)
美術作家。1951年東京生まれ。1970年なかごろより、写真、絵画、ビデオなどによる作品を発表。80年代は「BRUTUS」(マガジンハウス)などの雑誌編集に携わりながら、表現活動を続ける。1992年、神奈川県の海辺の町に転居。葉山で「サンライト・ギャラリー」を開設し生活に根差したアートを提唱し、創作を続ける。雑誌「12 water stories magazine」を創刊、、現在の「ひとり出版社」の走りとも言える小さな出版レーベル「WINDCHIME BOOKS」を立ち上げる。2011年4月12日、59歳で永眠。
主な著書に『雲ができるまで』(リブロポート)、『カフェ・ジェネレーションTOKYO』(河出書房新社)、『夏の仕事』(メディアファクトリー)、『ロマンティックに生きようと決めた理由』『モンフィーユ』(アノニマ・スタジオ)など。

丹治史彦(たんじ・ふみひこ)/展示構成丹治史彦(たんじ・ふみひこ)/展示構成
編集者、信陽堂代表。1967年宮城県塩竃市出身。リブロポート、メディアファクトリーを経て2003年アノニマ・スタジオ設立。「ごはんとくらし」の本やイベントを手がけ、永井宏さん、高山なおみさん、細川亜衣さん、内田真美さん、早川ユミさん、中川ちえさんらの本を出版。2009年、屋久島に住む。2010年、信陽堂編集室として活動を開始。2011年より滋賀県近江八幡市の菓子舗「たねやグループ」の広報誌『ラ コリーナ』のディレクションを担当している。

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