9月に出版された『記憶する体』(春秋社)は、さまざまな障害をもつ人の体にやどる重層的な時間と知恵を解き明かす、11の章からなる短編集のような本です。
その中に、中途障害の方、つまり人生の途中で障害を得た方がたくさん登場します。彼らの体が面白いのは、記憶として知っている健常者の体と、現在の障害のある体、その2つを持っているように見えること。
本イベントでは、この本をめぐる、私、伊藤亜紗のレクチャーを聞いたあと、参加者全員で「第2の人生」について語りあいます。
「第2の人生」といっても定年後の話ではありません。
入学、転職、引っ越し、離婚などなど、人生には転機がつきものです。
それまでずっと続いてきた時間がぷつんと切れ、まったく別の人生が始まる。
そのとき、体はどうなるのか?
切断を、人はどう生きるのか?
中途障害はもちろんですが、それ以外のさまざまなトピックをとりあげながら、第2の人生を生きる体について、哲学カフェのような形で楽しく自由に話し合う会です。
第2の人生まっただなかの方、まだ予定はないけどそのうち迎えるかもしれない方、たくさんの方のお越しをお待ちしています。 (伊藤亜紗)
【プロフィール】
伊藤亜紗(いとう・あさ)
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授。
マサチューセッツ工科大学(MIT)客員研究員。
専門は美学、現代アート。
もともと生物学者を目指していたが、大学3年次より文転。
東京大学大学院人文社会系研究科美学芸術学専門分野博士課程修了(文学博士)。
主な著作に『ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖』(水声社)、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社)、『目の見えないアスリートの身体論』(潮出版社)、『どもる体』(医学書院)ほか。