2015年9月6日(日)

平野啓一郎と陳岡めぐみトーク&レクチャードラクロワの衝撃~絵に人生を捧げた1人の画家の物語

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国立西洋美術館にて「ボルドー展―美と陶酔の都へ―」が9月23日まで開催されています。
本展で、ひときわ圧倒的なたたずまいのドラクロワの《ライオン狩り》。大胆な構図と豊かな色彩で描かれた本作からは、火事によってその上部を失ってもなお、すさまじい臨場感と、生命力を感じずにはいられません。

ドラクロワは、革命からナポレオンの登場と失脚へ向かった激動の時代を経て、古典派から情熱的なロマン派が台頭しはじめた転換期の中で頭角を現し、その描写から「絵画の虐殺者」と批判されることもありました。しかし、その作品はまさに新しい表現の幕開けにふさわしく、詩人のボードレールやゴーティエなど、幅広く芸術界から賞賛を受けるとともに、のちにセザンヌや、ルノワール、ゴッホなど名だたる画家たちに影響を与えました。
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小説家 平野啓一郎さんも、ドラクロワに魅せられた1人です。1280ページからなる長編小説『葬送』。この主人公の1人がドラクロワです。舞台は、二月革命下のパリ。ドラクロワとショパン、そして小説家サンドらを通じ、芸術家の芸術や人生に対する想いや苦悩が描かれています。また、物語の構成と描写には、ドラクロワの絵画の制作技法が取り入れられており、その骨子から内容にいたるまでドラクロワの精神が息づいているのです。

ドラクロワが65年の生涯で描いた作品は9000点にも上ると言われ、パリの市庁舎の装飾や、ルーヴル宮の天井画を依頼されるなど、目覚ましい活躍を見せました。そんなドラクロワは、いかに時代と向き合い、新しい芸術表現を切り開いていったのでしょうか。

今回は、平野啓一郎さんをお招きし、本展担当の国立西洋美術館研究員 陳岡めぐみさんとともに、ドラクロワの生涯、彼が生きた時代やロマン主義者たちの姿勢を辿るとともに、平野さんに『葬送』に込められた想い、いかにして絵画技法を小説に活かしたのかをお話しいただくことで、ドラクロワの魅力に迫っていきます。

 

平野 啓一郎

撮影:松蔭浩之

平野 啓一郎

ひらの けいいちろう

作家。
1975年、愛知県生まれ。北九州市で育つ。京都大学法学部卒業。1998年、「日蝕」でデビュー。同作で第120回芥川賞を受賞する。2009年、『決壊』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、『ドーン』で第19回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。ほかの著書に、小説『葬送』『高瀬川』『滴り落ちる時計たちの波紋』『顔のない裸体たち』『あなたが、いなかった、あなた』『かたちだけの愛』『空白を満たしなさい』『透明な迷宮』などのほか、エッセイ『文明の憂鬱』『モノローグ』『私とは何か――「個人」から「分人」へ』、対談集『ディアローグ、エッセイ&対談集『「生命力」の行方~変わりゆく世界と分人主義』などがある。

陳岡 めぐみ

陳岡 めぐみ

じんがおかめぐみ

国立西洋美術館主任研究員
1972年東京生まれ。1999-2000年にリヨン第二大学に留学、2005年に東京大学大学院博士課程修了、博士(学術)。専門は近代フランス美術。これまでに「所蔵水彩・素描展―松方コレクションとその後」「ユベール・ロベール 時間の庭展」(西洋美術振興財団学術賞)「モネ 風景をみる眼」展などを担当。著書に『市場のための紙上美術館』(渋沢クローデル賞LVJ賞)など。

国立西洋美術館公式サイト:http://www.nmwa.go.jp

展覧会情報

ボルドー展 ―美と陶酔の都へ―

2015年6月23日(火)~9月23日(水・祝)
国立西洋美術館にて
公式サイト:http://www.tbs.co.jp/bordeaux2015/

ボルドー展 出品作品

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