幻戯書房の海外文学叢書〈ルリユール叢書〉第3弾として刊行された、ポール・ヴェルレーヌ『呪われた詩人たち』(倉方健作訳)、トリスタン・コルビエール『アムール・ジョーヌ』(小澤真訳)の同時刊行を記念し、フランス文学研究者の倉方健作さん、小澤真さんの翻訳者トークイベントを行います。
『呪われた詩人たち』は、初版(1884年)・新版(1888年)を併せた本邦初の全訳オリジナル版、抄訳紹介に留まっていたコルビエールの唯一の詩集『アムール・ジョーヌ』の完全翻訳は本邦初です。
ヴェルレーヌは『呪われた詩人たち』で、アルチュール・ランボー、ステファヌ・マラルメらフランス象徴派の代表詩人とともに、トリスタン・コルビエールという無名詩人を紹介しています。
ランボーとのベルギー放浪中に、コルビエールの詩集『アムール・ジョーヌ(黄色い恋)』の存在を知り、初めて読んだときは笑い転げたそうです。
『呪われた詩人たち』はコルビエール、ランボー、マラルメ、デボルド゠ヴァルモール、ヴィリエ・ド・リラダンの5人の詩人を論じるほか、「哀れなレリアン」として自分自身に一章を割いた、独自のフランス詩人論となっています。
日本でコルビエールの詩を紹介したのは、詩人・中原中也でした。
1929年、中也は「生得の詩人達」という題名で、『呪われた詩人たち』に収められた「コルビエール」の章を自身で訳出し紹介しました。
『アムール・ジョーヌ』の訳者・小澤さんは、中原中也の詩に、コルビエールの影響や愛着が見て取れるといいます。
中也もまた、ヴェルレーヌの『呪われた詩人たち』を通じて、コルビエール、ヴェルレーヌほか「呪われた詩人たち」の詩作品に親しんだのです。
「呪われた詩人」とはいったい何者か。
ヴェルレーヌとコルビエールというフランス詩人と作品について、それぞれ専門とする二人のフランス文学者・翻訳者が、今回の翻訳にかけた情熱や苦心を交えつつ、今、フランスの近代詩を翻訳で味わう楽しみ、喜びを大いに語ります。フランス原詩の一部朗読などもご期待ください。
【出演者プロフィール】
倉方健作(くらかた・けんさく)
1975年東京生まれ。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程退学後、同研究科で博士号(文学)取得。
現在、九州大学言語文化研究院准教授。
専門はヴェルレーヌを中心とする近代詩。
共著に、『カリカチュアでよむ19世紀末フランス人物事典』、『あらゆる文士は娼婦である 19世紀フランスの出版人と作家たち』(ともに白水社)、共訳に『知の総合をめざして 歴史学者シャルチエとの対話』(藤原書店)がある。
小澤真(おざわ・まこと)
1977年千葉県生まれ。
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得後満期退学。
現在、早稲田大学ほか非常勤講師。
主な論文は « « Rondels pour après » – Berceuses pour demain ». Les Cahiers Tristan Corbière. No 1, Paris : Classiques Garnier, 2018. 専門はフランス文学および社会福祉学。
時間 _ 19:00~21:00 (18:30開場)
場所 _ 本屋B&B 東京都世田谷区北沢2-5-2 ビッグベンB1F
▼入場料
■前売1500円+ドリンク500円(ともに税別)
■当日2000円+ドリンク500円(ともに税別)