2015年9月27日(日)

岸政彦さん『断片的なものの社会学』× 星野智幸さん『呪文』トークイベント

実在の人々のさまざまな印象深い断片、物語からこぼれ落ちるような物語を集めて反響を呼んだ岸政彦著『断片的なものの社会学』。その帯に、星野智幸さんは、次のような推薦の言葉を寄せています。

この本は何も教えてはくれない。

ただ深く豊かに惑うだけだ。

そしてずっと、黙ってそばにいてくれる。

小石や犬のように。

私はこの本を必要としている。

また、本書中の、拾い上げた一つの小石の個別性を明かす文章について、星野さんは、「文学の定義だとさえ感じる」とも、おっしゃっています。
折しもこの9月、星野智幸さんが新しい小説『呪文』を刊行されます。 そのなかで描かれるのは、ある商店街で起きた些細な衝突をきっかけに、物語が増幅され、反転し、乱反射していくようすです。私たちが置かれている社会的・文化的な状況を、より先鋭化させたような悪夢的フィクションです。
社会学の論文には載らないような、「物語の外側」に惹きつけられてきたという岸政彦さん。そして、フィクションにおいて、「社会の見る夢」を精密に切り出し拡大してみせる星野智幸さん。
いったい物語とはなんでしょう。それはどのように作動するのでしょう。 この社会に流通する「邪悪な物語」に対抗するには? 物語の外側にあるものとは? このたび、本の刊行を記念して、ご友人でもあるお二人に、ざっくばらんに語り合っていただきます。

岸 政彦

岸 政彦

(きし・まさひこ)

1967年生まれ。社会学者。大阪市立大学大学院文学研究科単位取得退学。博士(文学)。龍谷大学社会学部教員。研究テーマは沖縄、被差別部落、生活史。著書に『同化と他者化──戦後沖縄の本土就職者たち』(ナカニシヤ出版、2013年)、『街の人生』(勁草書房、2014年)など。

星野智幸

星野智幸

(ほしの・ともゆき)

1965年、ロサンゼルス市生まれ。1988年、早稲田大学第一文学部の文芸専修卒業。2年半の新聞記者生活を経て、メキシコへ留学。1997年「最後の吐息」で第34回文藝賞を受賞して、小説家デビュー。2000年「目覚めよと人魚は歌う」で第13回三島由紀夫賞を受賞。2003年『ファンタジスタ』で第25回野間文芸新人賞、2011年『俺俺』で第5回大江健三郎賞、2015年『夜は終わらない』で第66回読売文学賞を受賞。

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