2022年3月25日(金)

速水健朗 × 倉本さおり × 仲俣暁生 × 橋本輝幸 × 斎藤哲也「文化系トークラジオLifeイベント今読本! 2022年春~今こそ読み直したい本」


速水健朗です。

「積読」は、今読まなくとも、手元に置いておいて、未来のどこかで読む(であろう)本のことですが、その逆は何でしょう?
すでに読んだ「既読本」? 
今後も絶対に読まない「絶読本」? 
いえ、そのどちらでもなく、「今読本」です。

「今読本」とは、「今読みたい本」のことではなく、今このタイミングで読むと、あのときと違う読み方ができる本のことです。
あ、今さっき僕が思いついた造語なので、ネットで調べても何も出てきませんが。

「かつてとは違う読み方」というのはどういうことか。
トランプが大統領時代にオーウェルの『1984年』が、パンデミック中の世界でカミュの『ペスト』が読み直されました。
また、リーマンショック後の世界で1930年代のケインズが再評価されたり、19世紀のマルクスを新解釈することが哲学の分野で流行ってたりもします。
これらはどれも「今読本」の一種です。

本は、過去に記述されたものですが、現実の方が本に擦り寄ってしまうということがときどき起こります。
というか、よくあります。
偶然の場合もあれば、歴史の繰り返しがそう見えてしまう場合もあり、いろんな「今読本」のパターンがあるのだと思います。でも、どちらも普遍性とは何かを考えるための最適な材料です。

僕がおすすめする「今読本」は、予測が外れたのちの未来予測本です。
例えば、エマニュエル・トッドとジャック・アタリは、未来予測の名手としてよく読まれている著者たちですが、今のロシアの戦争についてトッドは、ロシアの政治的安定を評価するなど、予測を外しています。
一方、アタリは『2030年ジャック・アタリの未来予測―不確実な世の中をサバイブせよ!』の中で、ロシアのウクライナへの侵略の可能性をかなり正確に指摘していました。
意地の悪い見方ではありますが、どちらの能力が高いかを比較したかったわけではなく、戦争前に、知識人は何を分析することが可能だったのか、それ自体に興味がありました。

こんな具合に、今回のLifeイベントでは、フィクション、ノンフィクションに限らず、「今読み直すべき本」についてあれこれ議論をしてみたいと思います。
出演者は、倉本さおりさん、仲俣暁生さん、橋本輝幸さん、斎藤哲也さんと速水健朗。参加いただいたみなさんには、特製のブックリストも配布します。

ぜひ、ご参加ください。

【出演者プロフィール】
速水健朗(はやみず・けんろう)
1973年石川県生まれ。
編集者・コラムニスト。
コンピュータ雑誌記者を経て、フリーに。
現代メディア論、カルチャー、都市論、書評の分野などで活動。
主な著書は『ラーメンと愛国』(講談社現代新書)、『東京どこに住む』『フード左翼とフード右翼』(朝日新書)など。日本経済新聞夕刊に書評を連載中。

倉本さおり(くらもと・さおり)
ライター、書評家。
法政大学大学院兼任講師。共同通信文芸時評「 デザインする文学」、週刊新潮「ベストセラー街道をゆく!」 連載中。
小説トリッパー、ダ・ ヴィンチにてレビュー欄をレギュラー担当中のほか、文芸誌、 週刊誌、新聞各紙で書評やコラムを中心に執筆。
『文學界』 新人小説月評(2018)、毎日新聞文芸時評「私のおすすめ」( 2019)、文藝「はばたけ! くらもと偏愛編集室」(2019~21)。
共著に『 世界の8大文学賞 受賞作から読み解く現代小説の今』(立東舎)など。

仲俣暁生(なかまた・あきお)
1964年東京生まれ。
文筆家、編集者。
「マガジン航」編集発行人。著書『ポスト・ムラカミの日本文学』(朝日出版社)、『極西文学論』(晶文社)、『再起動せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)、『失われた「文学」を求めて|文芸時評編』(つかだま書房)ほか。

橋本輝幸(はしもと・てるゆき)
1984年北海道生まれ。
大学卒業後の2008年から会社員ときどきSF書評家・研究家。
編書に『2000年代海外SF傑作選』『2010年代海外SF傑作選』(共にハヤカワ文庫SF)など。
キジ・ジョンスン『霧に橋を架ける』( 三角 和代訳、創元海外SF叢書)、チャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(円城塔訳、新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)ほか解説執筆。

斎藤哲也(さいとう・てつや)
1971年生まれ。
ライター・編集者。
人文思想系、社会科学系の編集・取材・構成を数多く手がける。
1971年生まれ。東京大学哲学科卒業。
著書に『試験に出る哲学──「センター試験」で西洋思想に入門する』(NHK出版新書)、『読解 評論文キーワード』(筑摩書房)、監修・編集に『哲学用語図鑑』(プレジデント社)など。原稿構成を手がけた本に『ミャンマー金融道――ゼロから「信用」をつくった日本人銀行員の3105日』(泉賢一・河出新書)、『言語が消滅する前に』(國分功一郎、千葉雅也・幻冬舎新書)ほか多数。
____________________________________________________________________________

【配信での参加につきまして】
・配信はZoomのウェビナー機能というサービスを使用いたします
・インターネット接続環境下のPCやスマートフォン、タブレットからのご視聴が可能です
・イベント中、お客様の顔や音声などは配信されませんのでご安心ください
・配信はリアルタイムと見逃し配信(1ヶ月)でお楽しみいただけます。視聴URLは準備出来次第お知らせいたします
・視聴は登録制です。1名分のチケットで複数人がご登録されている場合はご連絡もしくは配信の停止を行うことがございます。ご注意ください
・ご利用の通信環境により配信の遅延が起こる場合がございます。ご了承ください。
※参加者の方には特製ブックリストをメールでお送りする予定です。

【キャンセルにつきまして】
・ご購入直後にイベント配信用のURLが送信される都合上、ご購入後のお客様都合によるキャンセルは承っておりません。何卒ご了承ください。

【開催時間】
2022/03/25 20:00-22:00

【開催場所】
オンライン配信

【入場料】
■配信参加:1,650円(税込)

チケットのご予約はこちら

イベント情報の詳細はこちら