椹木野衣トーク&レクチャーシリーズ
「震災以後の世界~ジャンルの破壊と溶解。創造の地平を目指して」番外編
美術批評家 椹木野衣さんとさまざまなゲストとともに「震災以後の世界」を考えるトークシリーズ「震災以後の世界~ジャンルの破壊と溶解。創造の地平を目指して」。昨年2015年春より、岩渕貞哉さん、保坂健二朗さん、グランギニョル未来(赤城修司さん、飴屋法水さん、山川冬樹さん)をお招きし、全3回で開催をしてきました。
今年2016年が東日本大震災から5年であること、目黒区美術館にて東京ではじめて気仙沼のリアス・アーク美術館の常設展示「東日本大震災の記録と津波の災害史」の紹介がされる展覧会が開催されることも相まって、本シリーズの番外編として、リアス・アーク美術館 学芸係長の山内宏泰さんをゲストにお迎えし、「震災以後の美術館」について考えていきます。
宮城県気仙沼市のリアス・アーク美術館は気仙沼湾を見下ろす丘陵地帯にあります。
2011年3月11日、その立地から津波の影響こそ及びませんでしたが、地震により建物は大きな損傷を受けました。このたびご登壇いただく山内さんご自身も被災され、ご自宅を失い、美術館で約1ヶ月間、生活をされていました。しかし、そんな状況の中でも、「震災被害を後世に伝え、通じて地域文化の再生に寄与する」という使命のもと、山内さんはじめ、学芸の方が中心となり、震災直後より被災状況の写真撮影、被災物の収集などを通じ「震災の記録・調査活動」をはじめました。
その数、写真 約3万点、被災物 約250点。2013年春の同館フルオープンの際、これらの資料の一部、そして過去の津波災害の歴史資料を展示する常設展示室「東日本大震災の記録と津波の災害史」が新設されました。過去と現在をつなぎ、震災の記憶を風化させずに、復興の一翼を担いたいという強い想いが込められているこの場所は、まさに「未来のための」常設展示室であると言えるでしょう。
では、一体どのような想いで、記録・調査活動に踏み切り、本常設展示室新設を決めたのでしょう。
そして、いかにして美術館の機能を活かし震災を伝えようとしているのでしょうか。
今回は、そんなリアス・アーク美術館の主に震災以後の活動を追うとともに、椹木さんが携わられている見に行くことができない展覧会「Don’t follow the wind」についてもお話いただくことで、両活動から美術館の役割を改めて考えるとともに、美術館が担う未来への使命を考えていきます。
また、震災など生命と大きく関わる事態が派生した時に美術館や美術活動だからこそできることを考え、美術館と生命のつながりを考える機会にもなればと思います。
概要
日程:2016年3月1日 (火)
時間:19:00〜21:00 開場 18:30
料金:1,944円(税込)
定員:110名様
会場:本店 大教室
お問合せ先
青山ブックスクール
電話 03-5485-5513
メール culture@boc.bookoff.co.jp
営業時間 平日 10時~20時
土・日・祝休み
住所
東京都渋谷区神宮前5-53-67
コスモス青山B2F
青山ブックセンター本店内
関連展覧会情報
気仙沼と、東日本大震災の記憶
リアス・アーク美術館
東日本大震災の記録と津波の災害史
2016年2月13日(土)~2016年3月21日(月)
目黒区美術館にて
展示告知ページ
Don’t follow the Wind
2015年3月11日~
東京電力福島第一原子力発電所付近の帰還困難地域
展示告知ページ
山内宏泰(やまうち・ひろやす)
1971年5月1日、宮城県石巻市生まれ / 1994年、宮城教育大学中学校美術教員養成課程卒業、同大学院入学(リアス・アーク美術館勤務のため9月で中退)。同年10月よりリアス・アーク美術館学芸員(現在同館学芸係長、気仙沼市在住) スローフード気仙沼理事 / 平成24・25・26・27年度人間文化研究機構国立歴史民俗博物館共同研究員 / 平成25年11月~気仙沼市東日本大震災伝承検討会議委員、平成26年10月~気仙沼市東日本大震災遺構検討会議委員 1994年ころから美術家として個展、グループ展など多数。また舞台美術家、舞台衣装家として多数の舞台に参加。
*専門は美術教育、造形理論、現代美術、地域文化教育、津波文化史研究と普及、 東日本大震災大津波で自宅を流失。震災後は各地で「津波の災害史、文化史」等に関する講演多数。
館学芸業務としては、展覧会企画・展示・教育普及・展示管理・資料収集等学芸業務全般を担当。
リアス・アーク美術館常設展示「東日本大震災の記録と津波の災害史」企画担当。
受賞歴
2004年7月 平成15年度宮城県芸術選奨新人賞受賞(美術・彫刻) / 宮城県
2009年3月 「第6回(2008年度)TMOまちづくり大賞」まちづくりデザイン賞受賞 / 気仙沼商工会議所
2015年1月 平成26年度地域創造大賞、総務大臣賞(リアス・アーク美術館が受賞)
著書
「砂の城」近代文芸社・2008.10 / 山内ヒロヤス
*明治三陸大津波を題材とした小説。
椹木野衣(さわらぎ・のい)
美術批評家。1962年生まれ。著書に『日本・現代・美術』(新潮社、1998年)、『シミュレーショニズム』(増補版・ちくま学芸文庫、2001年)、『戦争と万博』(美術出版社、2005 年)、『なんにもないところから芸術がはじまる』(新潮社、2007 年)、『新版 平坦な戦場でぼくらが生き延びること 岡崎京子論』(イースト・プレス、2012 年)、『後美術論』(美術出版社、2015年)など。現在、多摩美術大学教授。
これまでの椹木野衣トーク&レクチャーシリーズ
第1回
『後美術論』(美術出版社)刊行記念
「後美術」にみる芸術批評の可能性 ゲスト:岩渕貞哉
講座詳細
第2回
『アウトサイダー・アート入門』(幻冬舎新書)刊行記念
アウトサイダー・アートから考える芸術の根源 ゲスト:保坂健二朗
講座詳細
第3回 グランギニョル未来と考える
“見に行くことができない”展覧会 「Don’t follow the Wind」の企て
ゲスト:赤城修司、飴屋法水、山川冬樹(グランギニョル未来)
講座詳細