2016年4月19日(火)

黒田清輝のABC 第1回西洋絵画の衝撃。黒田精輝が抱いた葛藤と使命~本当に伝えたかったこと

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黒田清輝が今年、生誕150年をむかえます。
明治維新の幕開けとなった大政奉還からも150年経ちます。
その節目の年に、東京・上野公園の東京国立博物館にて「生誕150年 黒田清輝」展が開催されます。本展は、黒田作品のみならず、黒田が影響を受けた、ラファエル・コランやミレーなどフランス絵画が合わせて展示される斬新な展示であるとともに、大変貴重な機会です。

黒田清輝は18歳になる年に法律を学ぶために単身フランスに留学します。しかし、留学先での画家仲間との交流から描くことの楽しさに目覚め、法律学校を退学。その後、ラファエル・コランを師とし、フランス絵画の技術や絵画への姿勢、思想を習得/吸収し、《読書》にてサロンの入選を果たすまでに力をつけました。帰国後、黒田はフランスで培った外光派の描写によって日本の洋画界に風穴を開けたとともに、東京美術学校にて西洋画の教鞭をとる中で、日本美術のアカデミズムを築くことに尽力をしてきました。

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そんな黒田は、今日では日本近代絵画の巨匠、洋画の父と呼ばれ、まさに日本美術の近代化を考える上で必要不可欠な人物ですが、彼が留学時に西洋絵画の技術や思想を目の当たりにして受けた衝撃は、現代を生きる私たちには想像にできないほど計り知れなかったかもしれません。

では、一体、黒田はフランスで何を目の当たりにし、何を感じたのでしょうか。
なぜ、黒田は日本美術の近代化にそこまで奮闘をしたのでしょうか。
黒田を突き動かしたものとは何だったのでしょうか。

今回は、三浦篤さん、山梨絵美子さん、そして松嶋雅人さんと、本展のキュレーションを務められたお3方全員にご出演いただき、黒田の作品の魅力のみならず、画業人生を通じ、黒田が何を成し遂げようとしたのか、彼が日本の美術界に対して抱いた野心と使命に接近します。
さらに、急速にグローバル化が進み、オリンピックの開催も控えている今日、黒田が身を以て経験した、日本と西洋の間での葛藤についてみていくことで、現代を生きる私たちがいかにして世界と対峙すべきかをも考える機会にしたいと思います。

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松嶋雅人さんからのメッセージ
博物館に勤めて以来、日本における歴史的な造形物を扱っていますが、展示活動のなかで、それらが歴史年表のなかの単なる一行で記されるものではなく、それらが持つ「現代的意味」とは何かを、何とかお伝えしようといつも考えています。専門は近世絵画ですが、それらは「歴史的遺物」ではなく、私たちの価値観や生活にも、いろいろな点で色濃く反映しています。明治維新から150年経ち、日本の社会は大きく様変わりしていますが、明治大正に生きた黒田清輝の活動も、現代に生きる私たちに、さまざまなことを投げ掛けているはずです。その意味について、私なりに考えたことをお話しできればと思います。

チケットのご予約はこちら

概要
日程:2016年4月19日 (火)
時間:19:00~21:00 開場18:30~
料金:1,944円(税込)
定員:110名様
会場:本店 大教室

お問合せ先
青山ブックスクール
電話 03-5485-5513
メール culture@boc.bookoff.co.jp

営業時間 平日 10時~20時 土・日・祝休み

住所
東京都渋谷区神宮前5-53-67
コスモス青山B2F
青山ブックセンター本店内

三浦篤 みうら・あつし
1957年、島根県生まれ。
東京大学大学院総合文化研究科教授
東京大学教養学部教養学科卒業(フランス分科)。東京大学大学院人文科学研究科美術史学修士、同博士課程を経て、フランス政府給費留学生として渡仏。パリ第4大学で西洋近代美術史を専攻。帰国後、日本学術振興会特別研究員、日本女子大学講師、東京大学教養学部助教授、同大学院総合文化研究科助教授を経て2006年より現職。

専門は西洋近代美術史、特に19世紀フランス絵画史(マネ、ファンタン=ラトゥール、アカデミスム絵画など)と日仏美術交流史(ジャポニスム研究、日本近代洋画史など)。

プロフィール詳細、論文・主著等、下記リンク先よりご覧いただけます。
東京大学 三浦篤研究室

山梨絵美子 やまなし・えみこ
独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所企画情報部長。
東京大学文学部美術史学科卒業文学学士。同大学人文科学研究科美術史学科修了文学修士。1983年米国テキサス州立大学美術史学部留学。1984年4月より東京国立文化財研究所美術部研究室となり、独立行政法人化、組織改革に伴い、東京文化財研究所企画情報部研究員となって現在に到る。

主な著書に、「黒田清輝と公的な場の絵画」『美術史の六つの断面』(美術出版社 1992年)、『アーティスト・ジャパン22 黒田清輝』(同舟舎 1992年)、「油絵を描く将軍」『幕末・明治の画家たち』(ぺりかん社 1992年)、『高橋由一と明治前期の洋画』(至文堂「日本の美術」349 1995年)、『日本の近代絵画』(共著)(ブレーン出版 1997年)、『黒田清輝 《智・感・情》』(中央公論美術出版 2002年)などがある。

松嶋雅人 つしま・まさと
1966年 大阪市生まれ。
東京国立博物館学芸研究部列品管理課平常展調整室長
金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科卒業。同大学大学院修士課程修了。東京藝術大学大学院博士後期課程単位取得満期退学。東京藝術大学、武蔵野美術大学、法政大学非常勤講師後、1999年より東京国立博物館研究員。

調査研究以外にも、細田守監督作品への設定協力や、日本の絵画や博物館を紹介するため、テレビ・ラジオへ勢力的に出演している。

東京国立博物館公式WEBサイト

展覧会情報

特別展「生誕150年 黒田清輝─日本近代絵画の巨匠」

2016年3月23日(水)〜2016年5月15日(日)
東京国立博物館 平成館にて
http://www.seiki150.jp/

黒田清輝出品作品より『湖畔』、『智・感・情』

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