2016年3月31日(木)

東京国際文芸フェスティバル開催記念フェア「漱石がつなぐ100年の文学」(3月31日まで開催中)

今年、没後100年にあたる漱石。
英語や漢文に通じ、母語の内と外を往還しながら、近代日本小説を築いたひとりです。
自身だけでなく、芥川や百閒ら弟子の作品も読み継がれ、また現代の作家にも漱石の影響は息づいています。
日本でもっとも”フォロワー”をもつ作家といえるかもしれません。
漱石と、その影響を感じる作品とをつなぎ〈今に生きる漱石〉を表現したフェアです。

場所:新宿本店2階催事コーナー
開催期間:2016年3月2日~1か月程度

漱石の友人たち

仰臥漫録

仰臥漫録

正岡子規 / 角川学芸出版
2009/09出版
ISBN : 9784044094089
価格:¥720(本体¥667)

「便通やや硬し/繃帯とりかえ、牛乳五勺、ビスケット、煎餅/まぐろのさしみ、飯二わん…」明治34年9月、命の果てを意識した子規は、今日食べたもの、服用した薬、家のこと、俳句、短歌などを和紙へ秘かに綴り始め、生きる力をつなぎとめていた。
丁寧な筆遣いの文章と、完全収録した庭の景色や来訪者、見舞いの品などを描いたスケッチの色彩が、世紀を超えてなお深く鮮やかに胸を打つ。著者紹介
正岡子規[マサオカシキ]
1867年松山生まれ。本名常規、のち升。別号獺祭書屋主人、竹の里人など。帝大退学後、陸羯南の日本新聞社に入社。記者として日清戦争従軍中に病を得る。『ホトトギス』や新聞『日本』を舞台に俳句・短歌の革新をおこない、高浜虚子、松瀬青々、河東碧梧桐ら俳人、伊藤左千夫、長塚節ら歌人を育成、『墨汁一滴』『俳諧大要』など数々の名著を残した。1902年9月19日没、34歳。

俳句とはどんなものか

俳句とはどんなものか

高浜虚子 / 角川学芸出版
2009/11出版
ISBN : 9784044094126
価格:¥637(本体¥590)

俳句とはどんなものか―この素朴で根源的な問いに虚子が答える。
俳句とは十七字の文学である、俳句とは芭蕉が作り上げた文学である、俳句とは季を詠う文学である、俳句とは…これらを軸に、詳しく具体的に分かり易く論を展開する。
実作入門書のベストセラー『俳句の作りよう』の姉妹篇として、戦前戦中を通じて100刷を超えた名著、初の文庫化。
初心者向け「俳諧略史」を完全収録。著者紹介
高浜虚子[タカハマキョシ]
1874年松山生まれ。本名、清。能楽保存に尽力した池内家に生まれ、後に高浜の名跡を継承。子規、漱石、碧梧桐らと親交を結び、小説を著す一方で、『ホトトギス』発行人となって今日の俳句隆盛の基礎を作る。「客観写生」「花鳥諷詠」など、広く老若男女に俳句を伝え広めると共に、多くの優れた俳句作家を育成した。文化勲章受章。1959年4月8日没、85歳。

漱石の弟子たち

冥途

冥途

内田百間 / 筑摩書房
2002/12出版
ISBN : 9784480037633
価格:¥1,134(本体¥1,050)

意識と無意識のあわいに立ちのぼる奇妙な風景。
無気味なようで、可笑しいようで、心もとないようで。
曖昧な夢の世界を精緻な言葉で描く、表題作をはじめ「旅順入城式」など特異な百閒の小説33篇。著者紹介
内田百閒[ウチダヒャッケン]
1889-1971。小説家、随筆家。岡山市の造り酒屋の一人息子として生れる。東大独文科在学中に夏目漱石門下となる。陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学などでドイツ語を教えた。『冥途』『旅順入城式』『百鬼園随筆』『阿房列車』など著書多数。1967年、芸術院会員推薦を辞退。酒、琴、汽車、猫などを愛した。本名、内田栄造。別号、百鬼園 。

柿の種

柿の種

寺田寅彦 / 岩波書店
1996/04出版
ISBN : 9784003103777
価格:¥756(本体¥700)

日常のなかの不思議を研究した物理学者で,随筆の名手としても知られる寺田寅彦の短文集.大正9年に始まる句誌「渋柿」への連載から病床での口授筆記までを含む176篇.「なるべく心の忙(せわ)しくない,ゆっくりした余裕のある時に,一節ずつ間をおいて読んでもらいたい」という著者の願いがこめられている.(解説=池内 了)

中勘助詩集

中勘助詩集

中勘助、谷川俊太郎 / 岩波書店
1991/11出版
ISBN : 9784003105184
価格:¥540(本体¥500)

静かな濃密な時の流れの中で,日常の細部を大切に書きつづけた孤高の詩人・中勘助(1885-1965).その問題で生涯苦しんだ身内の人々への痛切な感情,大好きな子どもたちのこと,骨太な人生観照的思索等が簡潔なことばで紡ぎだされ,作者の深い感情と魂の遍歴が心に沁みわたる.短歌・俳句をまじえたエレガントな詩歌集.

地獄変/偸盗

地獄変/偸盗

芥川龍之介 / 新潮社
2011/10出版
ISBN : 9784101025025
価格:¥399(本体¥370)

“王朝もの”の第二集。
芸術と道徳の相剋・矛盾という芥川のもっとも切実な問題を、「宇治拾遺物語」中の絵師良秀をモデルに追及し、古金襴にも似た典雅な色彩と線、迫力ある筆で描いた『地獄変』は、芥川の一代表作である。
ほかに、羅生門に群がる盗賊の悽惨な世界に愛のさまざまな姿を浮彫りにした『偸盗』、斬新な構想で作者の懐疑的な人生観を語る『藪の中』など6編を収録する。著者紹介
芥川龍之介[アクタガワリュウノスケ]
1892-1927。東京生れ。東京帝大英文科卒。在学中から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石の激賞を受ける。その後今昔物語などから材を取った王朝もの「羅生門」「芋粥」「薮の中」、中国の説話によった童話「杜子春」などを次々と発表、大正文壇の寵児となる。西欧の短編小説の手法・様式を完全に身に付け、東西の文献資料に材を仰ぎながら、自身の主題を見事に小説化した傑作を多数発表。’25(大正14)年頃より体調がすぐれず、「唯ぼんやりした不安」のなか、薬物自殺。

漱石の子孫たち

漱石の思い出

漱石の思い出

夏目鏡子、松岡譲 / 文藝春秋
1994/07出版
ISBN : 9784167208028
価格:¥734(本体¥680)

見合いから死別まで、漱石と生涯を共にした鏡子夫人にしか語ることのできない新たな人間・夏目漱石の赤裸々な姿を浮き彫りにする。

漱石の長襦袢

漱石の長襦袢

半藤末利子 / 文藝春秋
2012/05出版
ISBN : 9784167801939
価格:¥648(本体¥600)

漱石文学館はなぜないのか、ふたりはどんな夫婦だったのか……ハラハラドキドキの事実。
孫娘が語る、漱石と鏡子、夫婦の肖像。著者紹介
半藤末利子[ハンドウマリコ]
1935(昭和10)年、東京生まれ。上智大学卒。エッセイスト。父は夏目漱石門下の作家松岡譲、母は漱石の長女筆子。夫は昭和史研究家の半藤一利。44年、父の故郷である新潟県長岡市に疎開。高校卒業まで暮した長岡が、第二の故郷となる。六十の手習いで文章を書き始める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

漱石の評論たち

夏目漱石 決定版

夏目漱石 決定版

江藤淳 / 新潮社
2006/03出版
ISBN : 9784101108025
価格:¥884(本体¥819)

従来の漱石神話をことごとく打破して、生活人漱石の内面に肉薄した画期的論文『夏目漱石』は、著者23歳の年に刊行された。
以来漱石とのつき合いは二十余年に及び、批評家江藤淳の多彩な評論活動の根幹をなしている。
明晰な論理と豊かな洞察力で卓越した漱石観を示す著者の漱石論考のすべてを収録した本書は、漱石論の白眉であると同時に、最良の漱石文学案内の魅力にあふれている。

夏目漱石論

夏目漱石論

蓮実重彦 / 講談社
2012/09出版
ISBN : 9784062901758
価格:¥1,728(本体¥1,600)

70年代後半、数多ある文芸評論とは一線を画し、読書界に衝撃を与えた斬新な漱石論。
三十数年を経た現在もなお挑発をやめない名著。著者紹介
蓮實重彦[ハスミシゲヒコ]
1936・4・29‐。フランス文学者、映画批評家。東京都生まれ。東京大学仏文学科卒業。パリ大学にて博士号取得。東京大学教授を経て、東京大学第26代総長。著書に『反=日本語論』(読売文学賞)『凡庸な芸術家の肖像』(芸術選奨文部大臣賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

漱石の”子供”たち

漱石の漢詩を読む

漱石の漢詩を読む

古井由吉 / 岩波書店
2008/12出版
ISBN : 9784000237215
価格:¥2,160(本体¥2,000)

漱石の漢詩は、日本近代文学の比類ない独立峰。
作家古井由吉が、漱石文学の精髄を、漢詩に突き止める。
日本語の個性とその衰弱は、何に由来するのか。
失われた日本語の可能性を照らし出す、漢詩のポエジーと象徴。
死を前にして、解き放たれた漱石の想像力が、見えない世界の調べと映像を結晶させる。著者紹介
古井由吉[フルイヨシキチ]
1937年生まれ。東京大学大学院独文学専攻修士課程修了後、金沢大学で講師を、立教大学で助教授を勤める。70年、『杳子』で芥川賞受賞。以降、作家活動に専心する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

明暗

明暗

夏目漱石 / 新潮社
2010/01出版
ISBN : 9784101010199
価格:¥810(本体¥750)

勤め先の社長夫人の仲立ちで現在の妻お延と結婚し、平凡な毎日を送る津田には、お延と知り合う前に将来を誓い合った清子という女性がいた。
ある日突然津田を捨て、自分の友人に嫁いでいった清子が、一人温泉場に滞在していることを知った津田は、秘かに彼女の元へと向かった…。
濃密な人間ドラマの中にエゴイズムのゆくすえを描いて、日本近代小説の最高峰となった漱石未完の絶筆著者紹介
夏目漱石[ナツメソウセキ]
1867-1916。1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)に生れる。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学した。留学中は極度の神経症に悩まされたという。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表し大評判となる。翌年には『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。’07年、東大を辞し、新聞社に入社して創作に専念。日本文学史に輝く数々の傑作を著した。

続明暗

続明暗

水村美苗 / 筑摩書房
2009/06出版
ISBN : 9784480426093
価格:¥907(本体¥840)

漱石の死とともに未完に終わった『明暗』―津田が、新妻のお延をいつわり、かつての恋人清子に会おうと温泉へと旅立った所で絶筆となった。
東京に残されたお延、温泉場で再会した津田と清子はいったいどうなるのか。
日本近代文学の最高峰が、今ここに完結を迎える。
漱石の文体そのままで綴られて話題をよび、すでに古典となった作品。
芸術選奨新人賞受賞。著者紹介
水村美苗[ミズムラミナエ]
東京生まれ。12歳で渡米。イェール大学卒、仏文専攻。同大学院修了後、帰国。のち、プリンストン大学などで日本近代文学を教える。1990年『續明暗』を刊行し芸術選奨新人賞、95年に『私小説from left to right』で野間文芸新人賞を受賞。98年に辻邦生氏との往復書簡『手紙、栞を添えて』刊行。2002年『本格小説』で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

彼岸過迄

彼岸過迄

夏目漱石 / 新潮社
2010/08出版
ISBN : 9784101010113
価格:¥594(本体¥550)

現代の愛の不毛はこの作品からはじまった。
自意識が強く内省的な男と、自由で積極的な女。
漱石の男女観を見事に結実させた恋愛小説。誠実だが行動力のない内向的性格の須永と、純粋な感情を持ち恐れるところなく行動する彼の従妹の千代子。
愛しながらも彼女を恐れている須永と、彼の煮えきらなさにいらだち、時には嘲笑しながらも心の底では惹かれている千代子との恋愛問題を主軸に、自意識をもてあます内向的な近代知識人の苦悩を描く。
須永に自分自身を重ねた漱石の自己との血みどろの闘いはこれから始まる。

春の庭

春の庭

柴崎友香 / 文藝春秋
2014/07出版
ISBN : 9784163901015
価格:¥1,404(本体¥1,300)

あの水色の家の中を覗いてみたい――一人の女性の好奇心が、街に積もる時間と記憶の物語をひもといていく。
鮮烈な文学のパノラマ。第151回芥川賞受賞作。行定勲監督によって映画化された『きょうのできごと』をはじめ、なにげない日常生活の中に、同時代の気分をあざやかに切り取ってきた、実力派・柴崎友香がさらにその手法を深化させた最新作。離婚したばかりの元美容師・太郎は、世田谷にある取り壊し寸前の古いアパートに引っ越してきた。
あるとき、同じアパートに住む女が、塀を乗り越え、隣の家の敷地に侵入しようとしているのを目撃する。
注意しようと呼び止めたところ、太郎は女から意外な動機を聞かされる……
「街、路地、そして人々の暮らしが匂いをもって立体的に浮かび上がってくる」(宮本輝氏)など、選考委員の絶賛を浴びたみずみずしい感覚をお楽しみください。著者紹介
柴崎友香[シバサキトモカ]
1973(昭和48)年、大阪生れ。2000(平成12)年に刊行されたデビュー作『きょうのできごと』が行定勲監督によって映画化され、話題となる。『その街の今は』で、’06年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞受賞。また、咲くやこの花賞を受賞。’10年、『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞受賞。’14年「春の庭」で芥川賞受賞。

文鳥/夢十夜

文鳥/夢十夜

夏目漱石 / 新潮社
2002/09出版
ISBN : 9784101010182
価格:¥464(本体¥430)

人に勧められて飼い始めた可憐な文鳥が家人のちょっとした不注意からあっけなく死んでしまうまでを淡々とした筆致で描き、著者の孤独な心持をにじませた名作『文鳥』、意識の内部に深くわだかまる恐怖・不安・虚無などの感情を正面から凝視し、〈裏切られた期待〉〈人間的意志の無力感〉を無気味な雰囲気を漂わせつつ描き出した『夢十夜』ほか、『思い出す事など』『永日小品』等全7編。

茗荷谷の猫

茗荷谷の猫

木内昇 / 文藝春秋
2011/09出版
ISBN : 9784167820015
価格:¥679(本体¥629)

「東京」に行けば何かを成せると思っていた。
幕末から昭和にかけ涙を流しながら夢にすがる名もなき野心家達を暖かい筆致で描く。著者紹介
木内昇[キウチノボリ]
1967年、東京生まれ。出版社勤務を経てフリーランスとなり、インタビュー雑誌を主宰する。2004年、『新選組 幕末の青嵐』で小説家デビュー。2008年に発表した本書『茗荷谷の猫』で注目される。2009年、第2回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。2011年、『漂砂のうたう』で第144回直木賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

火花

火花

又吉直樹 / 文藝春秋
2015/03出版
ISBN : 9784163902302
価格:¥1,296(本体¥1,200)

売れない芸人徳永は、師として仰ぐべき先輩神谷に出会った。
そのお笑い哲学に心酔しつつ別の道を歩む徳永。
二人の運命は。笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。又吉直樹[マタヨシナオキ]
1980年大阪府寝屋川市生まれ。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人。コンビ「ピース」として活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

夢十夜を十夜で 『新人文感覚1風神の袋』『新人文感覚2雷神の撥』副

夢十夜を十夜で 『新人文感覚1風神の袋』『新人文感覚2雷神の撥』副

高山宏 / 羽鳥書店
2011/12出版
ISBN : 9784904702307
価格:¥1,404(本体¥1,300)

学生たちと読み解く夏目漱石『夢十夜』の世界。
書き下ろし300枚。
驚きの想像力を発揮する学生たちと教師・高山宏との白熱コラボレーションが、漱石研究へ新たな一石を投じる。高山宏[タカヤマヒロシ]
1947年、岩手県久慈市生まれ。現在、明治大学国際日本学部教授。1968年刊行の『観念史事典』に魅了され、学の行き詰りがどういう感覚のどういう人々によって突破されるかの構造と歴史を追うのに夢中となり、結果的に領域横断的試みを続けるもの書きの一人となる。翻訳の質量は伝説的で、本人自身は翻訳家、最近はアート(Art/Ars)の人としての自覚が強い。別名学魔。著訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
など、約120点をならべました。ぜひ店頭でご覧くださいませ。

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