2016年6月11日(土)

橋口譲二 × 寺尾紗穂「声に寄り添う〜個人として、表現者として」 『ひとりの記憶 海の向こうの戦争と、生き抜いた人たち』(文藝春秋)刊行記念

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写真家の橋口譲二さんが著した『ひとりの記憶 海の向こうの戦争と、生き抜いた人たち』の刊行を記念して、トークイベントを開催いたします。太平洋戦争の前後に旧植民地や国外に渡り、戦争終結後も自らの意志で現地にとどまることを選び、そこで暮らしている人たちがいました。それは元兵士たちだけではありません。本書は、彼ら/彼女らに会うために、インドネシア、台湾、中国、韓国、サイパン、ロシア、キューバなどを訪ね歩いた橋口さんが、これまで取り組んできた写真集や通常のノンフィクションとも異なる新たな表現を模索しながら、最初の取材から刊行までに20年の歳月をかけて書き下ろされた作品です。

“今を生きる僕らは日々の生活の中で人間関係や社会や現実との付き合い方に悩み、希望や挫折を繰り返している。当たり前のことだが戦前、戦中、戦後を生きた人たちも僕らと同じ人間で個々の悩みや問題を抱え、希望を持って生きて来ていたはず。(…)個人を見つめるその人の語る言葉に寄り添うことで、僕らが知らない「戦争」やあの時代を生きていた人たちが見ていた希望や夢に近づけるかもしれない。” ——「まえがき」より

収録された10人それぞれの生き方からは、「戦争」という言葉で一括りにされることで抜け落ちてしまう、当時の社会の雰囲気や多様な個人の価値観が伝わってくると同時に、寛容さが失われつつある現在の社会を逆照射してくるようです。

そして今回のトークの相手には、ミュージシャンの寺尾紗穂さんをお迎えします。同じく日本統治時代の旧南洋諸島で営まれていた人々の生活に興味を抱いた寺尾さんも、サイパンや沖縄、八丈島へと赴いて独自の調査を重ね、南洋の地で紡がれた人々の交流や記憶、戦争の痕跡を「個」の視点から書き記した『南洋と私』(リトルモア)を昨年出版されています。世代も職業を違う2人に共通する、戦争を知らない私たちに伝えたかったこととは? 初対面となる2人の表現者の対話にご期待ください。

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時 間 _ 15:00~17:00 (14:30開場)
場 所 _ 本屋B&B 世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F
入場料 _ 1500yen + 1 drink order

(プロフィール)
橋口譲二(はしぐち・じょうじ)
1949年鹿児島県生まれ。19歳で上京。日本各地を放浪の後、写真家となる。1981年、路上に集まる若者をとらえた『視線』でデビュー、以来一貫して人間の存在を見つめるドキュメントを発表し続けている。主な作品に『ベルリン物語』『都市で暮らす一人の部屋』『17歳の軌跡』『対話の教室』(星野博美との共著)、写真集に『俺たち、どこにもいられない』『十七歳の地図』『職』『夢』『動物園 ZOO』『Father』『Couple』『Hof−−ベルリンの記憶』など多数。

寺尾紗穂(てらお・さほ)
1981年東京都生まれ。大学時代に結成したバンドThousands Birdies’Legsでボーカル、作詞作曲を務める傍ら、ピアノ弾き語りの活動を始める。2015年には7作目となるアルバム『楕円の夢』をリリース。2010年よりビッグイシューサポートの音楽ライブ、座談会、炊き出しなどを行う「りんりんふぇす」を主催するほか、映画やCMへの楽曲提供、ノンフィクションやエッセイなど執筆の分野でも活躍中。著書に『評伝 川島芳子』『愛し、日々』『原発労働者』がある。

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