2016年10月8日(土)

管啓次郎 × 文月悠光 「さびしさと言葉の光――エイミー・ベンダーに学んだこと」 『レモンケーキの独特なさびしさ』(角川書店)刊行記念

logo_rethinkことし刊行されたエイミー・ベンダーの長編『レモンケーキの独特なさびしさ』は、食べるとそれをつくった人の感情がわかる少女と、その家族の物語。
「鋭敏な感じやすさ」がひとつのテーマであるこの作品の訳者である管啓次郎さんは、ご自身が詩人でありながら、翻訳者としても活躍されていて、エイミー・ベンダーの作品もすべて手掛けています。
また、エイミー作品のファンである詩人の文月悠光さんは、「わたしが詩人であること」を、その活動のなかで、揺れながら考え抜きながら実践されており、最近はエッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)を刊行されたばかりです。
このたびは、そんなおふたりをお招きし、エイミー・ベンダー作品を起点に、お互いの作品について、また、言葉使いとして生きることについて、自由にお話いただきます。
たのしい2時間をお過ごしください。

『レモンケーキの独特なさびしさ』作品概要
「種明かしをするわけにはいかないので、ここではただ、この本を書いているあいだ、感じやすい(sensitiveである)とはどういうことかについてたくさん考えていた、とだけいっておきましょう」――エイミー・ベンダー

9歳の誕生日、母がはりきって作ってくれたレモンケーキを一切れ食べた瞬間、ローズは説明のつかない奇妙な味を感じた。不在、飢え、渦、空しさ。それは認めたくない母の感情、母の内側にあるもの。
以来、食べるとそれを作った人の感情がたちまち分かる能力を得たローズ。魔法のような、けれど恐ろしくもあるその才能を誰にも言うことなく――中学生の兄ジョゼフとそのただ一人の友人、ジョージを除いて――ローズは成長してゆく。母の秘密に気づき、父の無関心さを知り、兄が世界から遠ざかってゆくような危うさを感じながら。
やがて兄の失踪をきっかけに、ローズは自分の忌々しい才能の秘密を知ることになる。家族を結び付ける、予想外の、世界が揺らいでしまうような秘密を。
生のひりつくような痛みと美しさを描く、愛と喪失と希望の物語。
角川書店 書籍ページ

出演者情報
管啓次郎(すが・けいじろう)
明治大学大学院理工学研究科新領域創造専攻ディジタルコンテンツ系教授。明治大学「野生の科学」研究所運営委員。主な著書に『コロンブスの犬』『狼が連れだって走る月』(いずれも河出文庫)、『本は読めないものだから心配するな』『ストレンジオグラフィ』(いずれも左右社)、『斜線の旅』(インスクリプト、読売文学賞)、小池桂一との共著『野生哲学』(講談社現代新書)などがあります。詩集「Agend’Ars」4部作は『時制論』をもって完結(左右社)。最新作は『The Dog Book』(NOHARA BOOKS)。

文月悠光(ふづき・ゆみ)
詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。高校3年の時に出した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少の18歳で受賞。早稲田大学教育学部在学中に、第2詩集『屋根よりも深々と』を刊行。今年9月、初のエッセイ集『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)を刊行。ウェブマガジン「cakes」でエッセイを連載中。10月末に、第3詩集『わたしたちの猫』をナナロク社より刊行予定。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩の朗読、書評の執筆など広く活動中。

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時間:18:00〜20:00 (17:30受付開始) / 料金:1500+500yen 1drink

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