人類が栽培した最古の植物のひとつ、ヒョウタン。
古くは1万年前から活用されてきた植物で、水入れ、楽器、徳利、装飾品、鍋、石灰入れ、食器、花器、パイプ、茶器、帽子、衣装、釣りの浮きなど、じつに多様な用途に“編集”されてきました。それは有形無形で暮らしに根づき、ある部族では神の化身として祀られたり、ある地域には「世界はヒョウタンから生まれた」という言い伝えが残っていたりと、国を問わず多種多様な場面でヒョウタンは登場します。
日本でもヒョウタンは縁深い植物で、縄文時代から存在したこともわかっています(出土した最古のヒョウタンは約9600年前と推定)。食用ヒョウタンであるユウガオはかんぴょうとして親しまれていますし、茶人の千利休は花器として、画家の富岡鉄斎も茶杓に愛用、志賀直哉は『清兵衛と瓢箪』でヒョウタンの虜になった子供の熱狂を描きました。最近では栽培したヒョウタンで工芸品やランプ、スピーカー、様々な楽器などを創作する方も多いようです。
国や時代を問わず、人々の暮らしや文化に寄り添うヒョウタンを40年以上研究し続けておられるのが、植物学者の湯浅浩史さんです。世界50か国を訪ね歩き、2015年には研究成果をまとめた『ヒョウタン文化誌』(岩波新書)を刊行。同年秋には国立科学博物館にて『世界のヒョウタン展』を開催され、約14万人もの来場者を記録、一躍ヒョウタン旋風を巻き起こしました。
新刊『日本人なら知っておきたい 四季の植物』にも、ヒョウタンは登場します。
今回のトークイベントでは、とくにヒョウタンにスポットをあて、日本人とヒョウタンの話から、世界のヒョウタン文化まで、スライドショーと共にたっぷりお話いただきます。聞き手は、ヒョウタンを編集のシンボルに掲げる「瓢箪座」のエディター中野由紀昌が務めます。
当日は福岡・糸島でヒョウタンランプやスピーカーを制作しているカラヴィンカ・タツイシさんの作品を展示します。RethinkBooksがヒョウタンのやさしい光に包まれます。
湯浅浩史(ゆあさ・ひろし)
1940年生まれ。農学博士。東京農業大学大学院農学研究科博士課修了。一般財団法人進化生物学研究所理事長・所長。東京農業大学元教授。生き物文化誌学会前会長。主な著書に『花の履歴書』(講談社学術文庫)、『花おりおり』(全5巻、朝日新聞社)、『世界の不思議な植物ー厳しい環境で生きる』(誠文堂新光社)、『植物からの警告』(ちくま新書)、『ヒョウタン文化誌』(岩波新書)など。共著に『若冲の描いた生き物たち』(学研プラス)、日本語監修に『世界の巨樹・古木 歴史と伝統』など。専攻は民族植物学、生き物文化誌、多肉植物。
聞き手:中野由紀昌(なかの・ゆきよ)
「瓢箪座(ヒョウタンザ)」を屋号に、編集・制作・企画・DTPを生業とするエディター。イシス編集学校の師範、同校九州支所「九天玄氣組」組長として、主に福岡を拠点に活動中。MUJIBOOKSキャナルシティ博多店では毎月「本は三冊で読もう。三冊屋ワークショップ」を、RethinkBooksではスタッフとして「三冊屋ナイト」を企画し、本と人と場の編集にも携わる。瓢箪座 https://www.hyoutanza.com
時間:19:00〜21:00 (18:30受付開始) / 料金:1500+1drink 500yen