今年7月末に初の単著となる『マルセル・デュシャンとチェス』(平凡社)を上梓された新進気鋭の美術評論家、中尾拓哉さん。本書は、20世紀を代表する芸術家、マルセル・デュシャンが没頭したことで、「芸術の放棄」として語られた「チェス」へと着目し、これまで見過ごされてきた、その制作とのつながりを精緻に解き明かす意欲作です。
今回は、現代アートの祖と目されるデュシャンに加え、言語学者フェルディナン・ド・ソシュール、奇想の作家レーモン・ルーセルらがチェスをプレイしていたという共通点から、その無類の生き方を読み解く「55ノート」を発表されているマルチタレント、いとうせいこうさんをゲストにお招きし、トークイベントを開催します。デュシャンの脳内にチェスを通じて入り込み、遊ぶ──Play with Marcel Duchamp──かのごとく、20世紀最大の芸術家の底知れぬ不可思議さや面白さを、存分に語り合っていただきます。
中尾拓哉 なかお・たくや
1981年東京生まれ。美術評論家。多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。2014年に論考「造形、その消失において――マルセル・デュシャンのチェスをたよりに」で『美術手帖』通巻1000号記念第15回芸術評論募集佳作入選。著書に『マルセル・デュシャンとチェス』(平凡社)。
いとうせいこう
1961年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業。編集者を経て、作家、クリエーターとして、活字・音楽・舞台など、多方面で活躍。音楽活動においては日本にヒップホップカルチャーを広く知らしめ、日本語ラップの先駆者の一人である。86年、アルバム『建設的』にてCDデビュー。著書に小説『ノーライフキング』『想像ラジオ』(第35回野間文芸新人賞受賞)『存在しない小説』『鼻に挟み撃ち 他三編』『我々の恋愛』『どんぶらこ』、エッセイ集『ボタニカル・ライフ』(第15回講談社エッセイ賞受賞)、「文芸漫談」を活字化した奥泉光との共著『小説の聖典』『漱石漫談』などがある。「したまちコメディ映画祭in台東」では総合プロデューサーを務めた。
日程:2017年11月8日 (水)
時間:19:00~20:30 開場 18:30~
料金:1,350円(税込)
定員:110名様
会場:本店 大教室
お問合せ先
青山ブックセンター 本店
電話:03-5485-5511
受付時間:10:00~22:00
書籍情報
『マルセル・デュシャンとチェス』
中尾拓哉=著
4,800円+税
気鋭の美術評論家がチェスとデュシャンの失われた関係を解き明かし、制作論の精緻な読み解きから造形の根源へと至る、スリリングにしてこの上なく大胆な意欲作。生誕130年、レディメイド登場100年。今なお世界を刺激してやまない現代アートの祖の企てが明らかになる。