たとえば、ロベルト・バッジョが「イタリアの至宝」ならば、盟友柿内芳文氏は「出版界の至宝」だろうと思う。
おそらく、それを彼本人にいうと大いに困惑するだろうが、その圧倒的な実績は、偶然の産物ではない。
20代ですでに会計士山田真哉氏を擁し『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を大ヒットさせてミリオン(100万部)編集者の仲間入りを果たした。それだけではない。『非属の才能』、『99%は仮説』、『就活のバカヤロー』と光文社新書を舞台にヒットを連発させて、請われ、星海社に移籍後も、今度は星海社新書編集長として瀧本哲史氏が大きく世に出るきっかけとなった『武器としての決断思考』を大ヒットさせ、同年代のホープ作家木暮太一氏と『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』をヒットさせる。その後、活躍の舞台を、新書から一般書の方にも移す。ホリエモンこと堀江貴文氏が出所したあとにプロジェクトを組んで作った『ゼロ』や、アドラー心理学ブームの先駆けとなった『嫌われる勇気』をヒットさせ、今度はコルクの佐渡島氏に請われてコミックの編集に舞台を移し、今は『ドラゴン桜』で有名な三田紀房氏の『インベスターZ』を担当している。
ざっと思い出してみても、これくらいある。
これだけの実績を持っていても、柿内氏は、いつまで経っても少年のようである。
「三浦さん、今、面白いことやっているんですよ」
と、目を輝かせて言うことが、尽く、未来に実現している。
彼が言ったことが、現実になる。トレンドになる。
そこに新しい道が出来て、まわりの大勢が大慌てでその道に殺到する。
僕は、ここ数年、不思議な思いでそれを見てきた。
『嫌われる勇気』が大ヒットした後に会った時も、
「二年前に言っていたことが、現実になりましたね」
と、振ったとしても、
「そうですね。それよりも、今、面白いことをやっているんですよ」
と、新しいことについて語るのだ。
そもそも、柿内芳文氏との出会いには、ひとりの男が関わっている。
出版界を、まさに「野武士」的に逞しく生きている乙丸益伸氏である。
みんな青臭くてムダに熱いという共通点があって、意気投合。
不定期的に、3人で「超」青臭く、「超」前向きに未来を語り合う「青草会」というものを主に高田馬場で開催していた。
乙丸氏が語る未来は具体的だった。
彼はフリーの編集者として、主に経済書を数多くの出版社と組んで当時半ば異端視されていた「リフレ派」の本をプロデュースし続けてきた。出版を通じて日本にマクロ経済の視点を導入して、デフレを解消させるというのが悲願だった。
僕らは夜遅くまで、彼が語る経済理論を聞かされ、いつも終電がなくなり、大雪の中、歩いて池袋まで帰ったこともあった。
それが、「アベノミクス」として、実現している。
柿内氏は「武器としての教養」について厚く語っていた。教養は武器だと、それを若い世代に配るのが使命だと。
その半年後に出たのが、『武器としての決断思考』で、これが大ヒットして、それ以降、「武器」という言葉が数多くの本のタイトルに踊ることになった。
また、あるとき、柿内氏はとある心理学について熱く語っていた。その心理学の本を世に広めたいのだと。
その数年後に出たのが、『嫌われる勇気』だった。
そして、当時、まだ何物も持ちえていなかった僕は、新しいかたちの書店を創りたいと語っていた。
それでできたのが、天狼院書店だった。
青草会は、別に、月に一度定期的に開催していたわけでもないし、それぞれが超絶忙しかったので、本当に、気が向いた時にやるというくらいだったが、不思議なことに、あそこで青臭く語ったことが、すべて実現した。
それぞれ、仕事やイベント、プライベートなどでそれからもいろんなかたちで度々会っていたが、そういえば「青草会」として集まることは久しくなかった。
未来を「超」青臭く、そして「超」前向きに語る青草会、これを今回、天狼院で公開イベントとしてやろうと思う。
個人的には前々から柿内氏に聞きたかった、柿内氏が尊敬する伝説の編集者神吉晴夫氏のことについて、聞いてみたい。
光文社の社長をつとめ、カッパブックスを創りあげて、晩年はかんき出版を作って亡くなられた、常に時代を先導してきた神吉晴夫というスーパー編集者について、ミリオン編集者の柿内氏の口から聞くのは大変興味深いだろうと思う。
また、乙丸氏も同じ編集者として、タイトル付けやその他、柿内氏に聞きたいことが山ほどあるという。
今からとても楽しみだ。
ともすれば、仕事だということを忘れそうになる笑。
これは100万部を出したことがある編集者や著者だけが登壇できる大好評「ミリオンズ・サミット」の定期版「ミリオンズLIVE」の第一回目でもある。
できれば、ビールなどを片手に、僕らがこたつにはいって青臭く語り、参加者の皆様はそれを取り囲んでそれに参加するという形が理想だが、もし、早々に定員があふれるようなことがあれば、少し大きな場所を借りてやろうと思う。
ミリオンズLIVE、公開青草会への皆様の参加を、楽しみにお待ちしております。
一緒に、未来について「超」前向きに、そして「超」青臭く語り合いましょう。
【概要】
日時:1月28日(水)
19:30〜21:30(受付開始19:00)
定員:20名様
*店員がすぐにオーバーする場合、会場を移して定員を増やす可能性がありますが、席がなくなり次第、締め切らせていただきますので、興味のある方はお早めにお申込みください。
参加費:5,000円
*年間パスポートをお持ちの方は無料で参加できます。(ドリンク代別)
場所:天狼院書店「東京天狼院」
*会場を移す可能性もありますので、続報にご注意ください。
【お申込はFacebookページか問い合わせフォーム、もしくはお電話でもお受けします】
2015年1月28日(水)