国際的な哲学者サイモン・クリッチリーによる『BOWIE』は、かつてないデヴィッド・ボウイ論として各国で翻訳出版され、ボウイの音楽のように知的でエロティックであり、かつ特別な親密さをともなった原著の内容に、世界中が注目しました。ついで日本でも昨年2017年のクリスマスイブ、ボウイの死から2年を数える直前に、『ボウイ その生と死に』としてその邦訳版が刊行され、坂本龍一氏の帯文どおりの意義深い内容とリズミカルな文体を日本語として見事に結晶させた訳文、清々しくかつ親密なテイストと手触りのもつブックデザイン、そして音楽家・坂本龍一氏の明晰な帯文、鋤田正義氏の静謐なボウイのポートレイト写真、訳者作成の関連105曲のプレイリスト(Spotify)などにより、いままでのボウイ論、評伝などでは飽き足らなかったファンの心を深くとらえています。
本イベントは、いままでにもさまざまなかたちでボウイの全体像へと鋭く言及し、そのうえで今回の見事な翻訳を果たされた東京大学大学院総合文化研究科の田中純さんと、主宰する劇団SWANNYで大きく活躍中であり、ボウイのパフォーマンスの数々に心奪われる新世代の演劇家・作家の千木良悠子さんのおふたりが、ボウイの音楽とその人生、めくるめく「変化」の意味するところなどを中心に、ライブやPV映像を参照しながら、自由に、存分に語り合っていただきます。また、ブックデザインを担当した祖父江慎さんも加わり、訳文の繊細さとダイナミズムを伝えるための本文組をはじめ、各国語版の体裁から日本語版の画期的な造本設計について、興味深いお話をがっつりとうかがいます。それぞれのフィールドで活躍するお三方の初顔合わせの貴重な機会を、どうぞご期待ください!
【プロフィール】
田中純
1960年生まれ。東京大学総合文化研究科教授。イメージ論、思想史。博士(学術)。2010年、フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞受賞。著書に、『アビ・ヴァ―ルブルク 記憶の迷宮』(青土社、2001/新装版:2011、第24回サントリー学芸賞受賞)、『都市の詩学──場所の記憶と徴候』(東京大学出版会、2007、第58回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)、『政治の美学──権力と表象』(東京大学出版会、2008、第63回毎日出版文化賞受賞/「自殺するロックンロール──デヴィッド・ボウイにおけるロック・イデオロギー」所収)、『過去に触れる──歴史経験・写真・サスペンス』(羽島書店、2016)、『歴史の地震計──アビ・ヴァ―ルブルク「ムネモシュネ・アトラス」論』(東京大学出版会、2017)など。ボウイについての書き下ろし著作を準備中(岩波書店より刊行予定)。Twitter IDは@tanajun009。
千木良悠子
慶應大学文学部卒。作家、劇作家、演出家、映画監督。在学中から三田文学に小説を発表。以降、小説、エッセイなど多数執筆。舞台や映像作品で女優としても活躍中。著作に『猫殺しマギー』(産業編集センター)、『青木一人の下北沢ジャングル・ブック』(ソニー・マガジンズ)、ノンフィクション『だれでも一度は、処女だった』(理論社ほか)。主宰する劇団SWANNYにて、台本、演出含めて高い評価を受けた『小鳥女房』をはじめ、ファスビンダー『ゴミ、都市そして死』、ジュネ『女中たち』などの海外演劇の演出も手掛ける異才。Twitter IDは@yukox。
祖父江慎
1959年生まれ。ブックデザイナー。緻密な組版と自由自在な造本に定評がある。1995年、造本装幀コンクール日本書籍出版協会理事長賞。1997年、講談社出版文化賞、2004年、造本装丁コンクール文部科学大臣賞ほか受賞。また、ディック・ブルーナ(ミッフィー)、チャールズ・M・シュルツ(スヌーピー)から美内すずえ、岡崎京子まで、展覧会の会場構成なども多数手がける。著作に『祖父江慎+コズフィッシュ』(パイインターナショナル)、『文字のカタチ』(福音館書店)、『オヤジ国憲法でいこう!』(しりあがり寿との共著・理論社ほか)など。Twitter IDは@sobsin。
日程 / 2018年1月20日 (土)
時間 / 18:00~19:30 開場 17:30~
料金 / 1,350円(税込)
定員 / 110名様
会場 / 本店 大教室
お問合せ先 / 青山ブックセンター 本店
電話 / 03-5485-5511
受付時間 / 10:00~22:00