2015年3月10日(火)

「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展」× 「新印象派-光と色のドラマ」 開催記念講座

杉山菜穂子 × 布施英利 × 山崎まどか から学ぶ 印象派のABC
~印象派から新印象派まで。彼らの生きた時代と技術

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現在、「ワシントン・ナショナル・ギャラリー展~アメリカ合衆国が誇る印象派コレクションから」(三菱一号館美術館)、「新印象派-光と色のドラマ」(東京都美術館)が開催中です。ワシントン・ナショナル・ギャラリー展では同ギャラリー創設者の長女かつパトロンのエイルサ・メロン(1901-1969)の審美眼によって選び抜かれたモネ、ルノワール、ドガなどを筆頭としたフランスの印象派~ポスト印象派のコレクションが展示されます。新印象派展では、スーラはじめ、シニャックやリュス、マティスまで、印象派の技法を科学的視点で発展させ、点描画法を試みた画家たちが紹介されています。
日本のみならず、世界中で人気の高い印象派ですが、彼らの試みは、当時、とてもアヴァンギャルドで、フランス国内ではなかなか認められず、美術界から激しく批判を浴びせられる上に、コレクターには見向きもされず、と大変な苦労を強いられたようです。しかし、それにめげず展覧会を開き続けた結果、アメリカの富裕層が積極的にコレクションをしはじめるなど、徐々にその試みと才能が認められ、突出した存在となっていきました。エイルサも遠くアメリカから印象派を愛した重要な人物です。
そんな印象派の活動や作品を間近で見てきたスーラやシニャックなど若手の画家たちが印象派の様式を色彩論や光学など科学の視点から発展させたのが新印象派でした。さらに、この新印象派はマティスなど、のちにフォーヴィスムと呼ばれる画家たちに大きな影響を与えました。このように印象派や新印象派の画家たちは、保守的な美術界に一石を投じ、新しい絵画表現を追求し、のちの絵画に大きな影響を与えた重要な運動であったと言えるでしょう。

今回は、印象派と新印象派の作品を一堂に見ることができるこの貴重な機会に、コラムニストの山崎まどかさんをモデレーターに、ワシントン・ナショナル・ギャラリー展担当の学芸員 杉山菜穂子さん、そして美術批評家の布施英利さんを講師にお招きし、「印象派が認められるまでの道のりと葛藤(フランスとアメリカの関係を中心に)」「印象派の画家たちの技術的な挑戦」と、彼らの「生きた時代」と「技術」の2つの側面から印象派から新印象派までの理解を深めていきます。
印象派の画家たちは、どうして批判にさらされながらも自らの表現を貫いたのか、それを間近で見ていた後の新印象派の画家たちは何を思い、印象派の表現を発展させたのでしょうか。彼らの飽くなき絵画表現への探求と葛藤を考える機会にしたいと思います。

日程詳細

第1回
2015年3月10日(火)
19:00~21:00
〔美術史編〕印象派画家たちが生きた時代
~フランスとアメリカでの印象派、エイルサという1人の女性の視線から
講師:杉山菜穂子
(三菱一号館学芸員、ワシントン・ナショナル・ギャラリー展担当)
聞き手:山崎まどか
第2回
2015年3月24日(火)
19:00~21:00
〔技術編〕印象派と色彩理論~新印象派を中心に
講師:布施英利(美術批評家)
聞き手:山崎まどか

 

杉山 菜穂子

杉山 菜穂子

すぎやま なおこ

三菱一号館美術館学芸員。
専門はフランス近代美術。
パリのオルセー美術館学芸部門で研修後、三菱一号館美術館開館記念展「マネとモダン・パリ」展(2010年)、「トゥールーズ=ロートレック」展(2011年)、「ヴァロットン ―冷たい炎の画家」展(2014年)などを担当。

三菱一号館美術館公式サイト:http://mimt.jp/

布施英利

布施英利

ふせ ひでと

批評家。1960年群馬生まれ。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業。同大学院美術研究家博士課程修了。学術博士。東京大学医学部助手(解剖学)等を経て、現在に至る。著書に『構図がわかれば絵画がわかる』『色彩がわかれば絵画がわかる』『パリの美術館で美を学ぶ』(以上、光文社新書)、『脳の中の美術館』『体の中の美術館』『子どもに伝える美術解剖学』(以上、筑摩書房)、『美の方程式』『「進撃の巨人」と解剖学』(以上、講談社)などがある。芸術と科学の交差する、美術の理論を研究している。

布施英利さん公式twitter:https://twitter.com/fusehideto

山崎まどか

山崎まどか

やまさき まどか

コラムニスト。
東京出身。清泉女子大学卒。主な著書に「イノセント・ガールズ」(アスペクト) 「女子とニューヨーク」(メディア総合研究所)「オリーブ少女ライフ」(河出書房新社)等。 共著に「ハイスクールU.S.A. アメリカ学園映画のすべて」(国書刊行会)翻訳書にタオ・リン「イー・イー・イー」(河出書房新社)。​

山崎まどかさん公式サイト:http://romanticaugogo.blogspot.jp

展覧会情報

ワシントン・ナショナル・ギャラリー展

~アメリカ合衆国が誇る印象派コレクションから
2015年2月7日(土)~5月24日(日)
三菱一号館美術館
http://mimt.jp/nga/

新印象派-光と色のドラマ

2015年 1月24日(土)~2015年3月29日(日)
東京都美術館
http://neo.exhn.jp/

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