【ジュンク堂 池袋本店】
華厳思想は、大乗仏教の経典『華厳経』をベースに、広く東アジアで発展した仏教思想の一つとして知られています。
そこでは、縦横無尽の「縁起」の教え、つまり、あらゆる存在が折り重なり作り上げる壮麗かつ柔軟な宇宙観が展開されています。
その思想は近年、仏教学のみならず、文化人類学やアートの分野でも注目されつつあります。
野呂、唐澤、亀山からなる華厳研究グループは、結成以来、「夢」を一つのキーワードに、華厳思想の特質と思想史的意義について議論を積み重ねてきました。
このグループの活動の背景には、龍谷大学において開催された「華厳の世界―『華厳経』と南方マンダラ―」(2017年1月)と「人類知のポリリズム―華厳思想の可能性―」(2018年2月)があります。
私たちは、これらのシンポジウムでご講演いただいた中沢新一氏(思想家、人類学者)と河合俊雄氏(臨床心理学者)の言葉に刺激を受け、現代における華厳思想の意義について真摯に思索を重ねてきました。
今回、企画しているイベントは、私たちの最新の研究成果を広く世に問うことにあります。
具体的には、まずは華厳思想のもつ「可能性」について議論を行うことを目的とし、そのヒントとなる歴史的な華厳思想家たちの思想と夢に注目していきます。
明恵上人然り、南方熊楠然り、華厳思想と夢は切っても切り離せません。
そして、そのような先人たちが華厳思想を夢との関連でどう捉えてきたのか、さらに彼らがどのように「現実」を開いていこうとしたのか、その「わざ」についても考えていきたいと思っています。
当日お越しの皆様には各登壇者がそれぞれの観点から選び抜いた「華厳思想を深く知るためのブックリスト」を、会場限定で配布いたします。
【講師紹介】
◆華厳研究グループ
2017年4月より本格的な活動を開始。月に1回1~2時間ほど、各回テーマを決めつつも、はば広く華厳思想について議論を行う。具体的には、『明恵上人夢記』や『風姿花伝』のような古典から、井筒俊彦、湯浅泰雄、中沢新一といった現代の思想家の著作まで、多彩なテクストの精読に基づき、仏教学、宗教学、哲学、心理学といった複数の領域にまたがる華厳思想の意味と役割について論じる。
◆登壇者
野呂靖
1979年生まれ。龍谷大学文学部准教授。博士(文学)。
専門は仏教学。日本の華厳思想・真言密教の展開に関する研究。
近年では現代における仏教の役割についても関心を持ち研究を進めている。
主な著書・論文に『明恵上人夢記訳注』(共著)、『華厳―無礙なる世界を生きる』(共著)、「中世華厳教学における浄土義解釈」、「明恵門下における『即身成仏義』解釈」など。
唐澤太輔
1978年生まれ。龍谷大学世界仏教文化研究センター博士研究員。
早稲田大学大学院社会科学研究科修了。博士(学術)。
専門は、哲学・倫理学、文化人類学、華厳思想の研究、南方熊楠研究。
近年は、南方熊楠とアートの関係についても研究を進めている。
著書に『南方熊楠―パサージュに立つ者―』(2014年)、『南方熊楠―日本人の可能性の極限―』(2015年)など。
黒瀬陽平
1983年生まれ。美術家、美術批評家。〈ゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校〉主任講師。
東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。
2010年から梅沢和木、藤城嘘らとともにアーティストグループ「カオス*ラウンジ」を結成し、展覧会やイベントなどをキュレーションしている。
主なキュレーション作品に「破滅*ラウンジ」(2010年)、「キャラクラッシュ!」(2014年)、「カオス*ラウンジ新芸術祭2015『市街劇 怒りの日』」(2015年)など。
「瀬戸内国際芸術祭2016」にカオス*ラウンジとして参加。著書に『情報社会の情念』(NHK出版)。
twitter:@kaichoo
亀山隆彦
1979年生まれ。龍谷大学非常勤講師。博士(文学)。
専門は仏教学、密教学。
主要な著書・論文に、『聖一派 中世禅籍叢刊第4巻』(共著)、『聖一派 続 中世禅籍叢刊第11巻』(共著)、「六大と赤白二渧 : 真言密教思想における胎生学的教説の意義」、「『駄都秘決鈔』の五蔵曼荼羅理解」
twitter:@TakaKame7
開催日時:2019年02月28日(木)19:00開場 19:30開演
★入場料はドリンク付きで1500円です。当日、会場の4F喫茶受付でお支払いくださいませ。
※事前のご予約が必要です。1階サービスコーナーもしくはお電話にてご予約承ります。
※トークは特には整理券、ご予約のお控え等をお渡ししておりません。
※ご予約をキャンセルされる場合、ご連絡をお願い致します。(電話:03-5956-6111)
■イベントに関するお問い合わせ、ご予約は下記へお願いいたします。
ジュンク堂書店池袋本店
TEL 03-5956-6111
東京都豊島区南池袋2-15-5