【ジュンク堂 難波店】
ロマンスという一見おかしな形容詞をつけられている言語群(スペイン語、ポルトガル語、フランス語、イタリア語などをまとめてそう呼ぶ)の全体を対象とする学問がロマンス語学です。
個別言語はともかく、総体としてのロマンス語学は日本ではなおざりにされていた。
なぜそれがロマンスなのかの疑問はさておいて、話者が世界の総人口約76億の1割以上を占めているそれらは全て、ローマ帝国の言語であったラテン語を祖先としている。
上記の4言語に加えてルーマニア語、カタルーニャ語、古オック語その他にまで視界を広げ、それらすべての音韻・語彙・文法などの歴史的発展をラテン語の段階から記述するという日本語では事実上最初の企てに挑戦したのが本書です。
著者は英語の教師でしたがラテン語の専門家でスペイン留学の経験を持ち、幾つかのロマンス語を話しわける経験をヨーロッパでしてきました。
ロマンス語の歴史には読んで面白い事例が数多くあり、それは英語の歴史などとは比べ物にならないほどで言語そのものを深く認識するのに役立つ知識となるはずです。
『星の王子さま』のフランス語原文と他の5ヶ国語訳及びラテン語訳とを対照させることでロマンス語はどう似ていてどう違うのかもわかってきます。
同じ言葉を喋っているつもりであった人々が、フランスの地域とイタリアの地域とでは意志が通じ合わなくなった。
それはなぜなのか、いつのことなのか、というのも沢山ある話題の一つです。
中世ヨーロッパ商業世界研究の第一人者で『声と文字』の著者、大阪市立大学で同僚であった大黒俊二氏との対話でその問題もさらに展開されるでしょう。
【プロフィール】
大黒 俊二(おおぐろ しゅんじ)
1953年愛媛県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。
1984年より大阪市立大学助手・講師・助教授・教授を経て、現在名誉教授。
著書に『嘘と貪欲―西欧中世の商業・商人観―』(名古屋大学出版会、2006年)、『声と文字』(岩波書店、2010年)など。
小林 標 (こばやし こずえ)
1945年北海道生まれ。1967年京都大学文学部卒。
京都大学助手、京都産業大学教授、大阪市立大学教授を歴任、大阪市立大学名誉教授。
著書に『ラテン語文選』(大学書林、2001年)、『ラテン語の世界』(中公新書、2006年)、『ローマ喜劇』(同、2009年)など。
【開催日時】
2019年5月28日(火)16:00~18:00
【会 場】
ジュンク堂書店 難波店
大阪市浪速区湊町1丁目2-3 マルイト難波ビル TEL 06-4396-4771
難波店3階カウンター前特設会場。入場無料。
【受 付】
同店3階カウンター、お電話でも予約承ります。
このトークセッションは大阪公立大学共同出版会の第35回OMUPサロンとのジョイント企画です。