悲愛の詩学
悲しみの経験を避けて生きることはできません。それは、誰のことも思わず、何も大切にしないことになります。大切に思う人、大切に思うことが失われたとき、人は悲しみを感じます。悲痛、悲嘆という言葉があるように、それはときに痛みと嘆きの日々に私たちを引きこみます。
しかし、その一方で、悲愛という言葉もあります。昔の人は、「かなし」を「悲し」「哀し」とだけでなく「愛し」、「美し」も「かなし」と読みました。
石牟礼道子、内村鑑三、柳宗悦、あるいは中世の歌人たちなど、幾人かの先人の言葉に寄り添いながら、悲しみの奥に潜む意味、「悲しみの秘義」を考えてみたいと思います。
(若松 英輔)
若松英輔(わかまつ・えいすけ)
批評家。1968 年(昭和43年)新潟県生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学科卒業。「越知保夫とその時代 求道の文学」で第14回三田文学新人賞受賞。
著書に『井筒俊彦 叡知の哲学』『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会)、『魂にふれる 大震災と、生きている死者』『池田晶子 不滅の哲学』(トランスビュー)、『吉満義彦 詩と天使の形而上学』『内村鑑三をよむ』(岩波書店)、『涙のしずくに洗われて咲きいづるもの』(河出書房新社)、『生きる哲学』(文春新書)、『霊性の哲学』(角川選書)などがある。
日時:2016年3月15日(火) 19:00~20:30(開場18:30)
場所:紀伊國屋書店新宿本店8階イベントスペース
参加費:1000円(当日、入場時にお支払いいただきます)
ご予約:2月29日(月)10:00~
店頭およびお電話にてご予約を受け付けます。
※ご予約は新宿本店3Fカウンターにて受け付けます。
※3F直通電話番号03-3354-5703
定員:45名
※定員数に達しましたら受付を終了させていただきます。