2017年3月、現代美術家・宮島達男さんの新刊書籍『芸術論』が上梓されます。
この本には、宮島さんがこの10年間、教育の現場に携わりながら各紙に寄稿してきた文章や、若い世代のために発信してきた言葉からの選り抜きが収められています。そして、世界に衝撃を与えたデビューから30年の節目を刻む意義も込め、宮島芸術の根幹となる「哲学」について、踏み込んだ解説を施した2編の文章を、新たに書き下ろしとして加えました。
2千数百年間にわたってアジア、そして日本の精神性の底流に息づき、幾多の豊饒な文化を育んできた大乗仏教の精髄の生命観。若き日の宮島さんが、それをいかにして世界に通じる概念として〝翻訳〟し、その自身の打ち立てたコンセプトに促されながら「創作」と「社会との関わり」を重ねてきたかが、赤裸々に綴られた書籍となっています。
今回のイベントでは、宮島達男さんの指名で本書の編集を行った東晋平さんを聞き手に迎え、あらためて「宮島哲学」の深淵や、芸術やアーティストと社会の新しい関係、さらにシドニー個展の反響や3月3日から始まる東京での個展などのお話を、宮島さんに語っていただこうと考えています。
また、この日は東日本大震災から7年目に入る大切な日でもあり、六本木ヒルズにある宮島さんのパブリック・アート「カウンター・ボイド」も、同日から3日間限定で再点灯されます。本年から宮城県の牡鹿半島を舞台にスタートする宮島さんの新しい東北プロジェクトなどについても、さまざまお話しいただく機会となるでしょう。
終了後、宮島さんのサイン会も開催いたします。
宮島達男 みやじまたつお
現代美術家
1986年東京藝術大学大学院修了。1988年ヴェネツィア・ビエンナーレ、新人部門に招待され、デジタル数字を用いた作品で国際的に注目を集める。以来、国内外で数多くの展覧会を開催。世界30カ国250カ所以上で作品を発表。最近の主な個展としては、「生と死─ 命の光」展(霧島アートの森、2015年)、「コネクト・ウィズ・エブリシング」(シドニー現代美術館、2016年)がある。1993年ジュネーブ大学コンペティション優勝。1998年第5回日本現代芸術振興賞受賞。1998年ロンドン芸術大学名誉博士授与。2006 -2016年東北芸術工科大学副学長。2012 -2016年京都造形芸術大学副学長。代表作に「メガ・デス」など。また、長崎で被爆した柿の木2世を世界の子どもたちに育ててもらう活動、「時の蘇生・柿の木プロジェクト」も推進している。
東晋平 ひがししんぺい
文筆家・編集者
フリージャーナリストとして30年にわたり、国内外の約1000人をインタビューしてきた。1997年に神戸で起きた酒鬼薔薇事件に際し、山下彩花ちゃんの遺族の手記を企画構成。深い死生観に根ざした〝絶望を希望に転じる〟言論として、計30万部のベストセラーとなり、司法や報道のあり方にも変化をもたらした。2013年には宮島達男の対談集『アーティストになれる人、なれない人』(マガジンハウス)を編集。主な仕事に『彩花がおしえてくれた幸福』(共著)、『陸前高田から世界を変えていく』(編集)、『オーランド・セペダ自伝』(編訳)など。
概要
日程:2017年3月11日 (土)
時間:18:00~19:30 開場 17:30
料金:1,080円(税込)
定員:110名様
会場:本店 大教室
お問合せ先
青山ブックセンター 本店
03-5485-5511 (10:00~22:00)
書籍情報
『芸術論』
現代美術家・宮島達男がこの10年間に書きためた珠玉の言葉の数々を1冊の本に収録。書籍初収録となる貴重なドローイングも多数掲載し、宮島哲学の根幹にある思想や行動理念を平易な言葉で紹介する。 アートダイバー