現代世界文学の最高峰に君臨し続ける謎の天才作家トマス・ピンチョン。代表作の『重力の虹』は、33万語、100万字から成る世界文学史上、空前の大作といわれる超巨編。
その新訳刊行を記念して、トマス・ピンチョン全集の監修者であり、本書の翻訳を手がけた佐藤良明さんと、同シリーズ『メイスン&ディクスン』翻訳を担当した柴田元幸さんをお招きし、ピンチョン作品に表れるモチーフや表現について、アメリカ文学の多様さについて、翻訳についてなど縦横に語っていただきます。
トーク終了後、佐藤良明さん、柴田元幸さんによるサイン会を行います。
佐藤 良明
さとう よしあき
1950年生まれ。アメリカ文化研究者。専門はアメリカの文学、思想、ポピュラー音楽。〈トマス・ピンチョン全小説〉ではシリーズの監修および、最新作Bleeding Edgeを含め、7作品の翻訳に携わっている。
柴田 元幸
しばた もとゆき
1954年生まれ。翻訳家。現代小説を中心に英米文学を精力的に翻訳するほか、文芸誌「MONKEY」の責任編集を務める。〈トマス・ピンチョン全小説〉では『メイスン&ディクスン』の翻訳を担当(日本翻訳文化賞受賞)。
ふたりの共著に『佐藤君と柴田君』(白水社)、『佐藤君と柴田君の逆襲!!』(河出書房新社)、共編著に『ロック・ピープル101』(新書館)などがある。
※本トーク内容は、「新潮」に掲載予定です。
書籍情報
『重力の虹』上・下 (トマス・ピンチョン全小説)
トマス・ピンチョン/著 佐藤良明/訳
出版社:新潮社 2014年9月刊行
四六判変型 / 上巻751ページ・下巻750ページ
各4,536円(税込 / 本体4,200円)
世界文学史上に空前の伝説を刻んだ33万語、
100万字超の巨篇――新訳成る!
耳をつんざく叫びとともに、V2ロケット爆弾が空を切り裂き飛んでくる。ロンドン、1944年。情報局から調査の命を受けたスロースロップ中尉は――。ピューリッツァー賞が「卑猥」「通読不能」と審査を拒否した超危険作にして、今なお現代文学の最先端に屹立する金字塔がついに新訳。詳細な註と膝を打つ解説、索引を付す。
トマス・ピンチョン Thomas Pynchon
現代世界文学の最高峰に君臨し続ける謎の天才作家。寡作な上に素顔も経歴も非公表だが研究者により以下が判明している。1937年5月8日、ニューヨーク州ロングアイランド生まれ。ピンチョン家はアメリカ最古の家柄のひとつで父は測量技師。16歳で名門コーネル大学に入学、応用物理学を専攻するも英文科に転じ、2年間の海軍生活ののち最優等で卒業。2年ほどのボーイング社勤務後は作品以外の消息を完全に絶つ。1963年、『V.』でデビュー、フォークナー賞を受賞する。第2作『競売ナンバー49の叫び』(1966)でローゼンタール基金賞受賞。第3作『重力の虹』(1973)でアメリカ最大の文学賞である全米図書賞を受賞するが、本人が授賞式に現れず物議を醸す。以後、1984年に初期短篇集『スロー・ラーナー』を刊行した以外は実質17年間沈黙する。その沈黙を突如破り、1990年『ヴァインランド』発表。1997年には『メイスン&ディクスン』を刊行、2006年『逆光』(Against the Day)、2009年『LAヴァイス』(Inherent Vice)と、一作ごとに世界的注目を浴びる。ノーベル文学賞候補の常連だが、受賞しても式に現れないのではと囁かれている。