カルト的な人気を誇る英国発ダーク・ファンタジー3部作の「ゴーストシリーズ」。
1作目の『ゴーストドラム』(サウザンブックス社)に続く、『ゴーストソング』と『ゴーストダンス』の翻訳出版をめざすクラウドファンディングが実施されています。
本シリーズの翻訳を手がけるのは、日本を代表する英米文学翻訳家の金原瑞人さん。
これまでに500点を超える訳書を手がける金原瑞人さんが、どうしても日本語訳を完結させたいその理由をじっくりと話していただきます。
そして、対談のご相手は「ゴーストシリーズ」の熱烈なファンの作家の深緑野分さん。子供のときに『ゴーストダンス』を読まれて、その世界観に夢中になられたといいます。昨年秋刊行の直木賞候補作・本屋大賞ノミネート作に『ベルリンは晴れているか』(筑摩書房)も話題の深緑野分さんには、「ゴーストシリーズ」をはじめ、影響を受けた作品や作家について幅広くお話いただく予定です。
トーク終了後はお二人のサイン会も開催いたします。
このお二人の対談イベントは今回が初!
奮ってご参加ください!
■「ゴーストシリーズ」の全巻翻訳出版をめざすクラウドファンディング実施中!https://greenfunding.jp/thousandsofbooks/projects/2652
■金原瑞人より
『ゴーストドラム』の続編のクラウドファンディング、きっと成立すると勝手に決めて、読み直したり、所々、訳してみたりしているのですが、やっぱりおもしろい! たとえば第2巻の『ゴーストソング』の狂言回しは、『ゴーストドラム』の敵役クズマ! こいつが本当にひどいやつで、彼に翻弄される登場人物たちが本当にかわいそう。まあ、『ゴーストドラム』でも主人公のチンギスを見事に殺しちゃったけど。今回、クズマは自分の弟子として生まれた男の子をもらいにいって断られ、ほかの村にいってその代わりになりそうな男の子をさがす、というふうな話なんだけど、もちろん、うまくいかない。そしてクズマが人々にかける呪いの残酷なこと……このあたりから物語が動き始めます。
ところで、ニール・ゲイマンの『物語 北欧神話』(原書房)が1月に出ました。ゲイマンならではの語り口が魅力の1冊です。そしてまったくの偶然なのですが、『ゴーストソング』のなかで、クズマが村人たちに「バルドルとロキ」の話をするところがあります。いうまでもなく北欧神話のなかの有名なエピソードで、ゲイマンの『物語 北欧神話』のなかにも出てきます。元になっているのは同じ話なので、基本の部分は同じなのですが、このふたつ、まったく別の話になっています。語り口もまったく違います。そのあたり、今回の青山ブックセンターでちょっとお話しできればと思っています。
金原瑞人 かねはら みずひと
1954年岡山市生まれ。法政大学教授・翻訳家。児童書やヤングアダルトむけの作品のほか、一般書、ノンフィクションなど、今までに500作品を超える翻訳を手がける。訳書に『ゴーストドラム』『豚の死なない日』『青空のむこう』『国のない男』『不思議を売る男』『バーティミアス』『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』『ジョン万次郎 海を渡ったサムライ魂』『さよならを待つふたりのために』など。エッセイに『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』『翻訳のさじかげん』など。日本の古典の翻案に『雨月物語』『仮名手本忠臣蔵』『怪談牡丹灯籠』。
■深緑野分より
容赦なく肌を突き刺す氷のように残忍な皇帝と、心まで凍らせる冷酷な皇女。雪の一片まで支配された冬の国で、言葉の魔法を持つ魔女が太鼓を叩き、呼びかける――中学生の時に出会って以来、私はこの物語が持つ苛烈な世界観と主人公チンギスの強い魂に魅せられ、愛し続けてきました。オマージュに「氷の皇国」という短篇を書いたくらいです。『ゴーストドラム』の続編が刊行され、広く読まれることを心から願っています。
深緑野分 ふかみどり・のわき
1983年、神奈川県生まれ。小説家。2010年「オーブランの少女」が第7回ミステリーズ!新人賞で佳作に入選、2013年に同作を含む短編集『オーブランの少女』(東京創元社)でデビュー。2015年に刊行した初長編『戦場のコックたち』(東京創元社)は、第154回直木賞や2016年本屋大賞の候補になり、各誌ミステリ・ランキングでも軒並み上位を獲得するなど高い評価を得る。他の著書に『分かれ道ノストラダムス』(双葉社)。2017年、第66回神奈川文化賞未来賞受賞。
日程
2019年3月22日 (金)
時間
19:00~20:30
開場 18:30~
料金
1,350円(税込)
定員
110名様
会場
本店 大教室